「一関市研究開発プラザ」開所 地域産業の高度化・新事業展開を支援

関係者のテープカットで研究開発プラザ開所を祝いました

新製品・新技術の開発や起業を目的に研究開発を行う企業や個人への貸し研究室として、萩荘の県南技術研究センター南側に市が整備した「一関市研究開発プラザ」=萩荘=の開所式が1月10日、行われました。
式では、浅井市長が「地域の製造業を取り巻く環境は大きく変化しており、企業には技術力・研究開発力の強化がますます求められている。当プラザの整備は、地域企業の技術革新・新事業展開に大いに弾みがつき、企業の競争力の強化と併せて、地域経済の底上げに大きく貢献するものと期待している」と式辞。祝辞や入居者の紹介などの後、関係者がテープカットを行い開所を祝いました。
国の補助を受け、約4460万円の建設費で整備した同プラザは、敷地面積1100平方メートル、建物は軽量鉄骨造り平屋建て延べ床面積208.64平方メートルで、研究室4室(実験室タイプ、事務室タイプ各2室)のほか、会議室、給湯室、トイレを備えています。隣接する一関高専、県南技術研究センターの分析機器などの利用や共同研究など、複合的な活用により、技術開発や新事業展開への取り組みに資するものと期待されています。
 入居者は昨年11月から募集し、四つの研究室すべてに決まって、開所式を迎えました。 
 入居するのは、オゾン発生器およびオゾンを活用した殺菌、脱色、消臭、酸化分解などのオゾン処理装置の研究開発を行う「㈱オーエンス」(萩荘)、焼却炉・炭化炉に代わる産業廃棄物処理装置の開発を行う「㈱ユー・エス」(真柴)、低コストで環境に負荷の少ないプリザーブドフラワーの加工技術開発を行う「プリザーブドフラワー加工技術研究所」(舞川)、難粉砕性砕料の低コスト微粉砕機の開発製造、難分離粉体の分離技術開発を行う「粉体製造・分離技術研究所」(真柴)の4事業者です。

「新たな可能性への第一歩」

講演する関満博(一橋大学大学院教授)さん 1月10日、研究開発プラザ開所記念行事として、「新技術開発フォーラム」がベリーノホテル一関で催され、「地域振興と中小企業に期待されるもの」と題し、関満博・一橋大学大学院教授=写真=が講演しました。
 日本全国、アジア諸国の地域産業の現場を数多く訪れて研究活動を行っている関さんは、地域の産業振興のキーワードとして▽対中認識▽産学連携▽人材育成―の三つを掲げ、近年急速な発展を遂げている中国の経済事情や日本国内各地の産業振興、人材育成の取り組みなどについて紹介しました。
 「バブル経済崩壊後、日本経済を取り巻く状況は大きく変化した。これからの経営者には、▽アジア・中国への比重の高まり▽高齢化し、豊かになった国民▽IT▽環境―を組み合わせた企業の課題を自らつくり、解き明かすことのできる能力が求められている」と意識改革の重要性を説き、研究開発プラザの開所に当たって、「地域に密着した高専のある一関は産学連携に有利。新たな可能性に踏み出す第一歩として、この地に合った戦略ポイントを見つけ、新しい日本を一関が切り開いていくという意識を」と語りかけました。
 参加した約120人は、豊富な実例を交えながら明快な語り口で進められる関さんの講話に引き込まれ、メモを取るなどして熱心に聞き入っていました。

 (広報いちのせき平成20年2月1日号)