括要算法 加速法により精密に円周率を算出

関孝和の遺稿を集めて出版された『括要算法』。4巻で構成されている『括要算法』中の、円周率について記述しているページ(図1)

*テーマ展「没後三百年 関孝和と和算の世界」(6月8日まで開催)で展示中

江戸時代の数学者関孝和の門弟たちが、関の遺稿を集めて出版した本です。関の亡くなった翌年の宝永6(1709)年に完成し、正徳2(1712)年に出版されました。
第四巻の最初に、円周率に関する記述があります。円周率は洋の東西を問わず多くの数学者の関心を引き、その値を求める試みが数学の発展に寄与してきました。
中学1年生の数学の教科書には、円周率を求めた人と求められた正しい結果(小数点以下の桁数)として、ギリシャのアルキメデス(紀元前3世紀)2桁、中国の祖冲之(5世紀)7桁、フランスのビエート(16世紀)10桁、オランダのルドルフ(17世紀)35桁、日本の建部賢弘(18世紀)40桁とあります。建部賢弘は、関孝和の高弟です。
『括要算法』では、始めに直径1尺の円に内接する4角形があるとし(図1)、次々に8角形、16角形…と倍にしていき、13万1072角まで辺を計算し、3.14159265359微弱(小数点以下10桁までが正しい)を求めています。この本にはありませんが、関は、少なくとも小数点以下16桁まで正しい結果を得ています。その方法は、ほとんどの和算家と同じ内接多角形を用いたものですが、数列に加速法を用いて精密な値を求めることに成功しています。加速法は、現在はエイトケン加速と呼ばれるもので、20世紀になって開発され、数値計算では必須のものとして昭和25年ごろから用いられています。
円周率は、平成14年には、スーパーコンピューターにより、1兆2411億桁まで計算されました。このような現代の目からみても、関孝和の加速法の発見は高く評価されています。

一関市博物館案内

チャレンジ週末学芸員

博物館学芸員の仕事を体験してみませんか。今回は、日本画下絵の整理を予定しています。

◇日時…6月8日(日)10時~15時

◇定員…高校生以上10人 

体験・刀の見方入門編

刀剣を実際に手に取って見所を解説します。

◇日時…6月22日(日)10時30分~11時30分・13時30分~14時30分

◇定員…各回一般10人

はくぶつかんこどもくらぶ
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◇定員…小学生以上50人※小学生は保護者同伴

◇参加費…50円

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◇日時…7月27日(日)13時30分~16時

◇定員…小学生以上25人※小学生は保護者同伴

◇参加費…200円

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江戸時代に親しまれた数学書『塵劫記』から、測量や土木工事、√に関する問題などを解説します。
◇日時…①6/14②7/12③8/23④9/6⑤10/4⑥11/1⑦.12/13の各土曜、13時30分~15時

◇講師…岩手県和算研究会

◇定員…一般36人

(広報いちのせき平成20年6月1日号)