昔から慶弔のもてなしや年中行事のごちそうなど、あらゆる場面でもちを食べる風習が根付く一関地方。
今、そのもち食文化を生かしたまちづくり「一関・平泉もち街道」への取り組みが始まっています。多くの飲食店や宿泊施設などでもちを提供し、「もちの里」として当地方をPRするとともに、地域の産業の振興に役立てていこうとするものです。
一関地方のもち文化の歴史とその伝承・新たな取り組みなどについて、今回から5回シリーズで掲載します。

①一関地方の正式なもてなし料理「もち本膳」

元旦のもち膳もち振る舞い行事の再現の様子

この地方のハレの食として、最高のもてなし料理とされてきた「もち本膳」があります。冠婚葬祭などの行事の種類によって、その食の内容は若干異なりますが、お膳はもちだけで整えられ、その出し方や食べ方にもルーツがあるなどこの地方独特のものです。
もち本膳では、「取持ち(おとりもち)さん」と言われる接待役の口上があり、食べ方もその人の指示に従って進められます。お祝いの席では、招く側と招かれた側がそれぞれ謡を上げ、時と場合による仕切りがあるなど、武家の伝統を受け継いだ食儀礼と言えます。

(広報いちのせき平成20年6月1日号)