大乗寺のオシラサマ

口寄せをするオカミサマが祭具として用いたオシラサマが多数奉納された大乗寺のオシラサマ

岩手県の民間信仰の一つに「オシラサマ信仰」があります。一般的には目の神、蚕の神、農業の神、馬の神などとして信仰されてきたオシラサマは、オシラボトケやオシラガミとも呼ばれ、長さ約30センチ程度の桑や竹を芯として、それにオセンタクと呼ぶ布切れをまとった形をしています。布切れを頭からかぶせているものは「包頭型」、布の中央部に切れ目を入れ、そこから頭を出しているものは「貫頭型」として区別されています。
川崎町薄衣の大乗寺には、包頭型184体、貫頭型16体、合計200体のオシラサマが奉納されています。貫頭型のオシラサマの中には、武士や烏帽子をかぶった人面型のもの、オシラサマを収納するお宮と一緒に仏像やお金、経文などが納められたものも確認できます。
大乗寺にまつられているオシラサマは、口寄せをするオカミサマ(オガミサマ、イタコともいわれる)が祭具として用いたもの。オカミサマが亡くなり後継者がいなかった際に、まつることもできず粗末に扱うこともできなかったオシラサマが、自然発生的に大乗寺に納められるようになった、といわれています。
東北地方で信仰された養蚕や農業の神様という性格のものとは異なり、オカミサマとの関係を考察する上で重要な資料がまとまって存在する大乗寺のオシラサマは平成20年11月、県の有形民俗文化財に指定されました。
現在でも、オシラサマの祭日である10月16日には、僧侶や現在活動しているオカミサマたちが遠方から集まり、それぞれのオシラサマに赤い布を1枚着せて(コロモガエ)大切に祭っています。当地方の民間信仰の移り変わりを垣間見ることができる、貴重な資料です。

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川崎支所教育文化課 TEL 0191-43-4021 

一関博物館案内

テーマ展民芸の美 菅原清蔵コレクション2

柳宗悦の民芸運動に共鳴し、岩手県南地方を中心に多彩な民芸資料を収集した菅原清蔵のコレクションを、一括寄贈を機に公開します。柳や棟方志功などとの交流も紹介します。

秀衡椀(三ツ組)竈神(かまど(かま)がみ)
■会期…2月14日(土)~3月15日(日)

【展示解説会】
学芸員が展示資料を解説します。
■日時…2月22日(日)・3月8日(日)14時~15時※通常入館料で観覧いただけます。

問い合わせ先
一関市博物館 TEL 0191-29-3180
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(広報いちのせき平成21年2月1日号)