博物館だより 21

阿佐田哲也作「ホームスィートホーマー」原稿

阿佐田哲也作「ホームスィートホーマー」原稿

作家色川武大は、色川の名前で主として純文学作品を、阿佐田哲也の名前でマージャンなどを題材とした大衆小説を執筆しました。
写真は、阿佐田の名で「週刊文春」昭和63(1988)年1月14日号に掲載された「ホームスィートホーマー」の原稿です。老人ホームに、老化防止に役立てばとマージャン卓とパイを寄附した男が、後輩と一緒にひともうけしようとその老人ホームに乗り込む話で、男たちのもくろみとは裏腹に、老人たちの独特のペースに巻き込まれていくユーモラスな短編小説です。マージャンに関する小説やエッセイを書いた阿佐田には、マージャンパイのはんこを押して原稿を作っているといううわさもあったようですが、この原稿には、鉛筆でパイの略図を示しています。
編集者として色川作品の多くを世に出した村松友視は、作品によって字の大小を操作するのが、色川流のスタイルのようだと書いています。前回紹介した色川作品「狂人日記」原稿の、マス目いっぱいの大きな文字と比較してみてください。男の狂気を内側から描いた色川最初にして最後の長編小説と、阿佐田の軽妙な短編の違い。小説の原稿は本来人の目に触れるものではありませんが、作品に臨む作家の姿勢が表れています。

一関市博物館案内

テーマ 展1 没後20年 阿佐田哲也と色川武大の世界

■会期…6月7日(日)まで
【関連行事】

ジャズコンサート

(2)日時…6月7日(日)18時30分~20時、演奏…G・Bポップジャズオーケストラ、Expression Jive
※会場はいずれも博物館で、入場無料。事前申し込み不要。当日は20時30分まで開館します。

体験・刀の見方入門編

初めて刀に触れてみたいと思っている方を対象に、刀を実際に手に取っていただき、見方・見どころを解説します。
■日時…6月21日(日)午前の部10時30分~11時30分、午後の部13時30分~14時30分

■参加費…無料

講演会 近世の絵図は語る

■日時…6月28日(日)13時30分~15時30分

■演題…近世の絵図は語る―近世絵図史料論の課題

■講師…小野寺淳茨城大学教授

■定員…100人

■参加費…無料

【通年の定期講座】
古文書講座「御郡方御用留を読む」

一関藩の民政を担当した御郡方の「御用留」を解読し、江戸時代の村方行政のあり方を探求します。
■日時…初回5月31日(日)13時~15時、以降12月まで全6回

■定員…36人

■参加費…300円(資料代)

和算講座初心者コース 楽しむ和算

江戸時代に出版された『勘者御伽双紙』を読み解きながら、庶民が親しんだ和算の世界を楽しみます。岩手県和算研究会会員が講師を務めます。
■日時…初回6月13日(土)13時30分~15時、以降12月まで全7回

■定員…36人

■参加費…無料

(広報いちのせき 平成21年5月1日号)