住民参加の川づくり竣工

竣工を祝ってテープカットを行う関係者

平成14年の台風6号の大雨で甚大な被害を受けた東山町の砂鉄川災害復旧事業が竣工しました。
被災後の川づくりには地域住民がワークショップなどを通じてかかわり、ふるさとに集い安らぐ清流・砂鉄川となりました。

平成14年7月11日に襲来した台風6号が、旧東山町、旧川崎村を中心とする砂鉄川流域に大きな災害をもたらしたことは、記憶に新しいところ。
あれからちょうど7年の歳月が経過した7月11日、砂鉄川災害復旧事業の全部が終了。国・県・市の関係者をはじめ地権者や市民ら約200人が出席して、猊鼻渓河川敷で竣工式が催されました。
式では、主催者を代表し宮舘壽喜岩手県副知事が「洪水を防ぐのはもちろん地域に愛される清流となるよう河川管理者として努力していく」と式辞を述べました。浅井市長は「地域住民待望の事業が竣工し市としても関係者に感謝したい。地域の皆さんが災害のない安全で安心な生活を送ることができることを祈念する」と祝辞を寄せました。
また、げいび幼稚園児と保護者ら約60人が清流化に向けヤマメの稚魚を放流。竣工記念事業実行委員会では記念碑を建立し、除幕式を行いました。

被災直後の東山町内災害復旧事業竣工後の様子

平成14年の災害は、1時間あたりの雨量が最大37ミリ、降り始めから35時間で約200ミリの豪雨を観測。河川を越えた雨水が市街地や農地に流入・はんらん、床上浸水(住家)743棟、床下浸水(住家)222棟、浸水面積529ヘクタール、1178世帯3152人が避難する未曾有の被害でした。
このため、旧町村、県、国が連携し一貫した砂鉄川緊急治水対策事業を実施。県では河川激甚災害対策特別緊急事業と河川等災害関連事業(約94億円)を実施。東山町長坂から松川地内までの延長4360メートルの区間と支流となる山谷川、猿沢川を含め、河道掘削67万立方メートル(20トンコンテナで約1万個分)、護岸工9万1000平方メートル(サッカーコート約11面分)、橋りょう4基の整備で十二木橋の架け替えなどの災害復旧工事が施工されました。
また、事業実施にあたっては、住民参加の川づくりとして、懇談会やワークショツプなど4年間で36回の会合が持たれ、地域住民の意見を大きく反映した「ふるさとに集い安らぐ清流砂鉄川」の整備が行われました。

砂鉄川ガイド

大東町大原上内野地区を源流流とし、東山町中心部を経て川崎町薄衣地内で北上川と合流する延長約45キロメートルの北上川水系の一級河川で岩手県南を代表する清流。途中に国の名勝「猊鼻渓」がある。アユ釣りができる川としても有名。上流の大東町下内野自治会では、環境保全を目的にカジカの放流や石磨き大会を開催。地域資源としての活用も図られている。
河川整備は、下流域について、旧川崎村当時の平成元年から10年度まで一般河川改修事業として63億円が投入された。10年8月の北上川からの逆流などによる洪水被害を受け、11年から16年まで、国直轄で床上浸水対策特別緊急事業(256億円)が実施された。

(広報いちのせき 平成21年8月15日号)