一関手話サークル「ひろば」

「学び合うのが楽しみ」手話を日常的にしたい

多様な表現を覚えたいと手話を学ぶ会員

「ボランティアという意識はない。皆で集まることが楽しいし、互いに学びあう仲間です」。一関手話サークル「ひろば」の小岩光太郎会長(32)の言葉には気負いがありません。昭和48年結成され、会員は現在34人。健聴者と聴覚障がい者がともに会員で、聴覚障がい者を講師に、手話を学んでいます。
毎週火曜の夜に行われている手話講習会。7月下旬のこの日は20人が参加。真剣な表情でビデオを見た後、講師を囲んで復習しました。講習後のミーティングは一転、和やかな雰囲気。発言者が言葉と手話を織り交ぜながらイベントへの参加報告、交流会のお知らせなどを行っていました。
同会は、初代会長を務めた小野寺博人さんが当時勤めていた一ノ関駅で聴覚障がい者とうまく意思疎通ができなかった経験から、手話を学びたいと有志とともに設立。二十代から六十代と幅広い年代の会員が活動しています。講習会のほか、お花見やボーリングなどの交流会の開催、福祉まつりでの手話通訳など多彩な活動を展開。より高い技術習得のため手話通訳士の資格取得を目指す会員もいます。長年の地道な活動が認められ、今年の春の褒章で緑綬褒章を受章しました。
久保田美恵子副会長(52)は活動歴13年。「手話は単に言語の一つ。英語を学ぶのと同じ」と久保田さん。「ろう者は音が聞こえないだけで、あとは同じ。ろう者の先輩から学ぶことは多い。健聴者とろう者が対等に、互いに学び合う場」と、楽しみがあるから活動が続いていると説明します。
設立時からのメンバーである石川隆さん(58)は、手話講習会での講師役を長年務めました。「ここに来てみんなと話すのが楽しみ。今は(手話講師の)後継者もできて、ほっとしています」とにこやかに手話で話します。
「英語のこんちにはの『ハロー』を知っている人は多いけれど、手話の『こんにちは』を知っている人は少ない。手話がもっと日常的なものになれば」と語る久保田副会長の言葉が、会員みんなの思いを代弁します。

活動メモ

■活動日時…毎週火曜19:00~21:00
■活動場所…一関市総合福祉センター
■連絡先…一関市社会福祉協議会 電話0191-23-6020

(広報いちのせき 平成21年9月1日号)