老松先人顕彰太鼓保存会

力強い太鼓の響きで先人の偉業を伝えたい

練習に励む会員

澄みきった秋の星空に、力強い太鼓の音が鳴り響く―花泉町の老松先人顕彰太鼓保存会(佐藤教昭会長、会員29人)は、老松公民館を拠点に、毎週日曜、練習に励んでいます。
地区の有志が「先人顕彰太鼓を創設して、老松が誇る偉大な先人たちの偉業を後世に伝えたい。そして、これを地域の活力増進につなげたい」との思いから、平成16年7月、地域に組織の立ち上げを要請。佐藤会長を中心に何度も話し合いを重ね、17年1月、同会が結成されました。
顕彰する先人は、▽岩手県南を全国屈指の和算隆盛の地域に築きあげた、和算家・千葉胤秀▽日本の医学医術の進歩発展の基礎を確立させた医学者・千葉理安▽厳しい封建制度の中で一揆を起こし、命をかけて農民を救った義民・千葉惣左エ門の3人。
結成後、同会はオリジナル曲の創作を仙台市秋保町の民族舞踊団ほうねん座に依頼しました。
曲の題材となった義民の千葉惣左エ門は寛政9(1797)年、厳しい封建制度の下、旧一関藩領の十三カ村の農民が結集して起こした百姓一揆の総訴人代表。自身は落首の刑に処されたものの訴状は認められ、農民を救った惣左エ門の姿を太鼓で表現し、『流れ義民太鼓』が出来上がりました。
“貧困”“直訴”“祈り”“躍進”の四つの場面で構成される曲は三尺太鼓の打ち鳴らしから始まり、“直訴”の場面では、ほら貝やたけぼらを使って、惣左エ門らが百姓一揆を決行する臨場感を演出。演者が途中で農民の衣装に衣替えしたり、大小の太鼓を複数人が入れ替わって打ったりと、見ごたえのある演出と迫力のある内容に仕上がりました。
日ごろの練習の成果が地域の人たちに認められ、地元の行事や祭りで、この曲を披露。最近では、結婚式などのお祝いごとにも招かれる機会が増えました。
現在は、この曲の修練に努める一方、あと二人の先人、千葉胤秀と千葉理安の生涯を表現する曲を来年三月完成予定でほうねん座に作曲を依頼。「それぞれの先人たちの偉業にちなんだ演出をしたい」と曲の出来上がりを心待ちにする佐藤会長。曲に込められた先人たちの偉業が、太鼓の響きを通じて後世へと引き継がれようとしています。

活動メモ

■活動日時…毎週日曜19:00~21:00
■活動場所…老松公民館

(広報いちのせき 平成21年10月1日号)