桜町中学校特設合唱部

先輩の伝統を受け継ごう― 練習重ね紡いだハーモニー

一関地方児童・生徒音楽発表会の席上、磨き上げたハーモニーで観客を魅了した桜町中学校特設合唱部員

2年連続全国の大舞台に立った桜町中学校特設合唱部。10月25日、金沢市で行われた全日本合唱コンクール(全日本合唱連盟など主催)中学部門混声の部で、昨年に続き金賞を受賞しました。
11月10、11の両日催された一関地方児童・生徒音楽発表会の最後を飾った同部の発表は、凱旋公演さながらでした。アナウンスの後、観客の期待を表すかのような少し抑えめの拍手に続き、部員72人が歌い出しました。
NHK学校音楽コンクールの課題曲「エール」に続き、全日本合唱コンクールで歌った英語曲「アースソング」とインドネシア民族音楽をアレンジした「ジャンガー」。時に荘厳に、時に力強い旋律が会場に響き渡り、演奏終了後、大きな感動の拍手が会場を覆いました。
「他の部活と違い、特設合唱部は1年単位の経営」と語る、同部顧問の伊藤淳子教諭。今年の同部は昨年12月、活動をスタート。本来の合唱部員16人を核に、運動部や他の文化部などとかけもちする多くの部員は部活終了後の午後5時から、特設合唱部員として活動します。「夏休みの活動日数は、休み30日のうち29日」と合唱部長の加藤実希さん(3年)。美しいハーモニーは、たゆまぬ練習のたまものでした。
「初めはばらばらだったのが、練習を重ねるうちに、自分たちの色が出てきてきれいな響きになってきました」と合唱の喜びを語る加藤さん。テノールのパートリーダーを務める男声の牽引役、神山洸樹君(3年)は「入学後初めて先輩の合唱を聞いて、『すごい』とあこがれた」と振り返り、合唱に打ち込む多くの部員の声を代弁します。
同中に赴任して7年目で生徒を3度目の全国大会に導いた伊藤教諭。「合唱は、みんなで力を合わせないとできないこと。周りの声をよく聞き、自分の声を高めて、サウンドの中にいる自分を楽しみ、合唱を通して人として学んでほしい」と生徒に期待します。一方、「合唱のまちとして名高い一関。市内の合唱団の公演を聴くことが生徒の勉強になるし、関係者が指導や支援を惜しみなくしてくれることがありがたい」と感謝します。
先ごろ、22年度の特設合唱部員の募集が終わりました。1・2年生で65人。加藤さんは「初めは大変だし、壁もあると思うけれど、一人一人くじけず頑張って、壁を乗り越えてほしい」と後輩にエールを送ります。この12月からは、先輩たちの築いた土台の上に立つこの65人が、新たなハーモニーを紡いでいきます。


(広報いちのせき 平成21年12月1日号)