美味しかったものを思い出して提供する「ぬくもり」の味
今後は次の世代に引き継ぎたい

農家レストランや道の駅で懐かしい味を提供している

農家レストランや道の駅で懐かしい味を提供している千葉秀子さん
農家レストラン「ぬくもり」経営。川崎生活改善グループ連絡研究会会長。

「かにばっと」で平成8年、岩手県「食の匠」に認定。

川崎町薄衣。68歳

家レストランで「かにばっと」を提供する傍ら道の駅でおこわやもちなど加工品を販売する千葉秀子さん。以前からの料理好きかと問えば「いいえ。嫁いでからも、義母まかせで」と答えます。「実家の母、義母、地域の人などが、昔作ってくれたおいしいものを作っているだけ。皆さんがわたしの先生」と感謝。結婚以来、タバコ、イチゴ、稲作、和牛繁殖など家業の農業一筋でした。
機は50代で生活改善グループに加入したこと。「家計簿をつけたり、栗拾いや山菜採りに興じたり。心の豊かさを感じられるようになりました」。何にでも徹底的に取り組む秀子さん。グループの仲間で野菜の直売を始めたところ、売れ行きがいいので家庭菜園も本気に。この女性たちの取り組みが現在の道の駅かわさき設立の端緒になりました。
崎ならではの味だからとEボート大会などのイベント時、皆で調理しふるまっていた「かにばっと」。近所のカニ採り名人・今野泰次郎さん直伝の味です。当時生活改善グループの代表を務めていたことから秀子さんが食の匠に認定されましたが、「自分一人の成果でなく、グループでの取り組みが認められただけ」と振り返ります。
れまで秋限定の味だったかにばっとを、通年食べられるように保存方法を工夫したり、多くの人が食べやすい味にしたのが秀子さんのオリジナル。カニ漁を担当する夫・庄平さん(71)と二人三脚で歩んできました。現在は「自分が引き継いだように、誰かにこの味を引き継いでもらいたい。それが恩返し」と調理場に立つ毎日です。

(広報いちのせき 平成21年12月15日号)