「完全復興」を全国に発信

中央を横切るのが20年11月開通した国道342号祭畤大橋仮橋。その傍らで、新設する橋の工事が盛んに進めらています

本市西部を震源とする岩手・宮城内陸地震が発生して、6月で2年が経過します。
市は、被災者への生活再建支援を継続するとともに、本年を震災からの完全復興の年と位置づけて、
真湯・須川間ウオーキング、国道342号再開通記念行事など、関係機関と連携して、さまざまな事業に取り組みます。
本号では、22年度に行う完全復興に向けた各種事業の概要をお知らせするとともに復興に向けて取り組む人たちを紹介します。

国道342号真湯~須川間の開通は5月30日。

この日の前後を中心に、関係機関と連携しながら関連イベントを秋まで継続して行います。
開通日前日の5月29日には、復旧工事が完了した開通前の国道342号真湯ゲートから須川温泉間をウオーキングやマラソンでたどる二つのイベントを実施。
国道が開通する5月30日には、道路管理者の岩手県が開通記念行事を行うとともに、市や商工会議所、観光協会で組織した実行委員会が祝賀会を開催。

6月26日から一泊二日で国道342号再開通記念登山を実施します。
そのほか、開通日から11月ごろまで▽国道342号開通記念産直市▽本寺地区での産直342円セール▽震災復興地・骨寺村荘園訪問者受け入れ▽一関温泉郷協議会加入施設宿泊者への地元農産品プレゼント▽クーポン券付きチラシの配布―などを行っていきます。
現段階での事業の概要は次のとおりです。詳細が決まっていない事業については、決まり次第随時お知らせしていきます。

国道342号真湯・須川間ウオーキング

ウオーキングの総距離は約9.5キロメートル。

参加者342人を一般公募します(詳細は広報4月1日号に掲載、受付期限は4月30日)。
◎問い合わせ先…教育委員会体育課電話0191-25-6596

国道342号真湯・須川間リレーマラソン

市内7地域から選出された7チームと、近隣市町村などからの招待チームによるリレーマラソンを5月29日に開催します(一般参加は募集しません)。
国道342号真湯ゲートをスタートし、ゴールの須川高原温泉まで約15キロメートルを1チーム5人のランナーがリレー方式で走り、須川高原温泉前広場でウオーキング参加者と合流。

完全復興を祝います。
◎問い合わせ先…教育委員会体育課電話0191-25-6596

国道342号真湯~須川間開通祝賀会一般参加者募集

復旧に携わった人々や多くの支援に感謝し、関係者と住民がともに喜び合い、復興への思いを新たにするため開催します。
■日時…5月30日日曜日14時~16時
■会場…矢びつ温泉瑞泉閣
■募集人員…20人
■会費…4000円
■申込方法…希望者は、住所、氏名、電話番号を明記し、「はがき」またはファクスFAX0191-21-8800で申し込む

※申し込み者が多数の場合は抽選
■受付期限…5月7日(金)※必着
◎申し込み・問い合わせ先…本庁建設課計画係

国道342号開通記念産直市

市と厳美産直協議会が連携して行います。
1.よかったね!厳美街道産直市
5月30日、道の駅厳美渓で1回目の集合イベントを実施し、11月まで、月1回ずつ行います。
2.厳美街道産直スタンプラリー
5月30日から11月まで、会員の産直を回るスタンプラリーを行い、2カ月に1回ずつ抽選で地場産品を進呈します。
◎問い合わせ先…本庁農政課電話0191-21-8427

震災復興地・骨寺村荘園訪問者受け入れ

6月から5回に分けて、骨寺村荘園遺跡と祭畤大橋を見学するツアーを実施します。
■見学先例…駒形根神社、骨寺村荘園遺跡休憩所、祭畤大橋、須川高原温泉、ブルーベリーハウス、道の駅厳美渓など
◎問い合わせ先…本庁骨寺荘園室骨寺総務係

復興への期待(1)

一関温泉協議会会長稲垣智雄さん

一関温泉郷協議会理事長 稲垣智雄さん

応援いただいた皆さんに今の姿見てほしい

雪の中、開業準備をする須川高原温泉

―これまでを振り返って、温泉施設の被害や風評被害から立ち直るために行ってきたことや、お客さんからの支援でうれしかったことは何ですか。

一関温泉郷では、須川高原温泉とかみくら温泉で大きな被害があったものの、それ以外はほとんど被害がありませんでした。

しかし風評被害により、入り込み客数は一時、例年の3分の1に落ち込むことに。風評被害は市内だけでなく、県全体に及びました。

20年8月、岩手の元気な姿をアピールしようと当時の浅井市長さんらと一緒に東京銀座の岩手銀河プラザに赴き、安全さを訴えました。

テレビ各社で報道されたことでさまざまな皆さんに励ましを受け、大変うれしく思いました。

須川高原温泉は壊滅的な被害を受けましたが、なんとか同年7月中に営業を再開。

国道の通行止めにより一関側から行けないため、一ノ関駅から北上、秋田経由でバス送迎を行っています。

バス運行に苦労はあるものの、毎年の湯治を楽しみにしている遠方からのお客様が変わらずに訪れ、従業員たちは、大変うれしい思いをしたと聞いています。

―真湯、須川間の国道342号が再開通する今年、どのようにお客さんを迎えようとしていますか。
思いがけず早い開通に、工事関係者の皆さんに大変感謝しています。

道路の復旧は進んでいますが、一方で山腹はまだまだ傷跡が生々しく残っています。

これまで当地を応援いただいた全国の皆さんに、復興に向けて頑張っている姿、そして傷跡を通して自然災害の恐ろしさをも含めて、見ていただきたい。温泉郷総出で迎える準備を進めているところです。

温泉郷協議会の事業として、お客様への感謝を形にしたいと3420円で宿泊できる期間限定のプランを計画しています。地元素材を生かした料理、地元農産物が当たる抽選など工夫を凝らすことで、足を運んでもらうきっかけになればと思います。
一関温泉郷は、眺望の素晴らしいかんぽの宿いちのせき、渓谷美が売り物の渓泉閣といつくし園、骨寺村荘園遺跡と矢びつダムに接する瑞泉閣、山あいの野趣あふれるかみくら、高原の大自然と全国でもまれな強酸性の泉質を誇る須川高原温泉と、多様性に富んでいます。
この機会に、市民の皆さんにも改めて地元の温泉の魅力を体験していただければと願っています。

(広報いちのせき 平成22年4月15日号)