21年度決算

市の21年度決算の概要と総務省が実施している「地方財政状況調査」による普通会計(他の市町村と比較しやすいよう共通の基準で調整したもの)の決算状況をお知らせします。

■歳入の状況

(1)市税の減

20年度と比較して、6億8千万円の減(△5.7%)となりました。

これは、主に景気の低迷などの影響により個人給与所得や企業収益が減少し市民税が減少したことによるものです。

(2)地方交付税の増

地方の財源の偏りを調整するため国から交付される地方交付税は、地方交付税の代わりに発行が認められる市債(臨時財政対策債)を含めると20年度と比較し9億7千万円の増(4.1%)となりました。

これらにより、市税などの自主財源の割合が20年度の31.0%から26.1%に、依存財源の割合が69.0%から73.9%になりました。

■歳出の状況

(1)21年度に実施した主な事業
▽統合大原小学校建設事業 7億円
▽真滝学校給食センター建設事業 5億7千万円
▽駅東前堀線道路改良事業 3億8千万円
▽消防緊急指令施設整備事業 3億6千万円
▽テレビ難視聴地区解消事業 1億4千万円
▽私立認可保育園改築事業費補助金 1億3千万円
▽第三子以降保育料無料化事業 1億1千万円(歳入の減額分含む)
▽骨寺荘園地区整備事業 6千万円
▽妊婦健康診査事業 5千万円
▽在宅寝たきり高齢者等家族介護手当支給事業 3千万円
(2)経済対策などの事業
国の補正予算と合わせて経済対策などの事業を実施しました(60億9千万円)。
▽緊急雇用創出事業・ふるさと 雇用再生特別基金事業 2億5千万円
▽経済対策のための臨時交付金事業 24億円
▽定額給付金給付事業 19億6千万円
▽後年度計画事業の前倒しなど 6億5千万円
▽その他の国の追加経済対策など 8億3千万円
20~22年度総額は120億9千万円となる見込みです。
(3)地震災害復旧・復興事業
岩手宮城内陸地震に係る災害復旧事業費は、災害復旧費が11億2千万円(一般会計と簡易水道事業特別会計)復興費9千万円(真湯・祭畤地区再開発など)の計12億1千万円です。

■行財政改革の推進など

行財政改革の推進などにより各種経費を削減しました。

そのうち人件費については、職員数が44人の減です。(一般会計における人数比較)

また、後年度の財政負担を軽減させるため、高利率の市債の繰り上げ償還を行いました(後年度負担軽減額2億2千万円)。

■21年度決算統計による決算

(1)歳入の状況(グラフ1)

歳入の総額は635億6千万円で20年度と比較して10.6%(63億円)の増となりました。

歳入の状況

(2)歳出の状況
歳出の状況は609億9千万円で20年度と比較して9.5%(54億円)の増となりました。
歳出には基本的な分類として、行政目的による「目的別分類」と、経費の経済的性質による「性質別分類」があります。
【目的別分類(グラフ2)】

分野ごとの使われかたで分類しています。

目的別分類

【性質別分類(グラフ3)】
財政運営の健全性や弾力性を分析するのに適します。

歳出の内訳は、義務的経費が270億円で44.3%、投資的経費が115億4千万円で19.9%、その他の経費が224億5千万円で36.8%となりました。

性質別分類

(3)借入金および基金の残高
市の借入金である市債の残高は20年度より1.2%(9億3千万円)減少し、742億3千万円となりました。
また、市の貯金ともいえる財政調整基金と市債管理基金の合計額は20年度より12.4%(8億7千万円)増加し、78億4千万円となりました。
(4)市民一人当たり決算・県内13市平均との比較

市民一人当たりに使われた額や、市税として負担いただいた額などを県内13市の平均と比較した状況はグラフ4のとおりです。

市民一人当たり決算・県内13市平均との比較

■今後の財政運営について

今後見込まれる地方交付税の減額や国の地方財政計画の縮減などにより、市の財政運営は厳しさを増していくと見込まれます。

そのような状況の中、歳出については経常的な経費の縮減など一層の行財政改革を推進し、歳入については、積極的な収納対策による税収の確保などに努めます。

また、市債の繰り上げ償還による将来負担の軽減や基金の計画的な運用など、財政基盤の安定化を図りながら、各種事業を進めていきます。

■21年度会計別の決算状況(単位:万円)

会計名歳入歳出差し引き
一般会計634億4445608億819025億6255
特別会計国民健康保険(事業勘定)121億3471118億40262億9445
国民健康保険(直診勘定)5億8325億731101
老人保健12401097143
後期高齢者医療10億144710億1299148
介護サービス事業388038791
土地取得事業3593590
金沢財産区 1084200884
都市施設等管理859285920
工業団地整備事業171617160
市営バス事業1億61871億61870
簡易水道事業22億451622億45160
下水道事業39億759739億7040557
農業集落排水事業3億2713億2701
浄化槽事業1億72541億72531
物品調達33023096206
合計841億6193812億845128億7742


すべての項目で健全化基準をクリア

地方公共団体の財政の健全化に関する法律(財政健全化法)に基づき算定した、市の21年度決算に基づく健全化判断比率と資金不足比率の状況をお知らせします。

■財政健全化法とは

地方公共団体には、次の事柄が義務付けられています。
  1. 健全化判断比率等の議会への報告、公表
  2. 健全化判断比率等が基準以上となった場合、財政の早期健全化、公営企業の経営の健全化あるいは財政の再生を図るための計画を議会の議決を経て策定、公表など

■算定の対象

健全化判断比率等の算定は、一般会計などの普通会計だけでなく、市の財政運営に影響を及ぼす公営事業会計、一部事務組合、地方公社などの財政負担も対象となります。

■健全化判断比率の基準

健全化判断比率には,

  1. 実質赤字比率
  2. 連結実質赤字比率
  3. 実質公債費比率
  4. 将来負担比率

の四つがあります。

これらの指標を「健全」、「早期健全化・経営健全化」そして「財政再生」の3段階で財政の状況をチェックします。
算定された各比率および算定対象となる会計の範囲は、次ページ表のとおりです。
1.実質赤字比率
福祉、教育、まちづくりなどを行う一般会計などの実質的な赤字の程度を指標化し、財政運営の悪化の度合いを示すものです。
ポイント!
当市の一般会計などについては赤字が生じていないため、実質赤字比率はありません。21年度における一般会計などの決算の黒字額は、21億5千万円です。
2.連結実質赤字比率
財産区会計を除くすべての会計の赤字と黒字を合算して、地方公共団体全体の赤字の程度を指標化し、地方公共団体としての運営の悪化の度合いを示すものです。
ポイント!
当市はすべての会計について赤字が生じていないため、連結実質赤字比率はありません。21 年度における全会計の実質収支額の合計は、31億3千万円の黒字です。
3.実質公債費比率
一般会計などが負担する借入金の返済額やこれに準じる額の大きさを指標化し、資金繰りの程度を示すものです。
ポイント!

当市の比率は17.6%で、早期健全化基準(25%)を下回っています。

一般的に、公債費やこれに準じる経費は、削減したり、先送りしたりすることができない、いわゆる義務的経費であり、この比率が高まると、財政の弾力性が低下します。

市では、18%(地方債の発行について許可が必要となる比率)を超えないよう、財政運営に努めています。

4.将来負担比率
地方公共団体の一般会計などの借入金(地方債)や将来支払っていく可能性のある負債などの残高の程度を指標化し、将来財政を圧迫する可能性が高いかどうかを示すものです。
ポイント!
当市の比率は151.6%で、早期健全化基準(350%)を下回っています。

■資金不足比率

公営企業の資金不足を、公営企業の事業規模である料金収入等の規模と比較して指標化したものです。この比率が高くなるほど料金収入で資金不足を解消することが難しくなります。 
ポイント!
当市では、水道事業、簡易水道事業、下水道事業、農業集落排水事業、浄化槽事業、工業団地整備事業の公営企業会計がありますが、すべての会計で黒字であり、資金不足はありません。
なお、その他の財政指標については、次ページ下表のとおりです。

■まとめ

当市の21年度決算に基づく健全化判断比率等はいずれも早期健全化基準を下回っています。
しかし、健全化判断比率等はあくまで法定の指標であることから、早期健全化基準を下回れば財政運営上、問題がないということではありません。他の財政指標も含め総合的に財政状況を分析していく必要があります。
市総合計画の着実な推進を図るためには安定した財政基盤を確立する必要があることから、市民の皆さんのご理解とご協力を得ながら、なお一層の財政健全化の推進に努めていきます。
◎問い合わせ先
 本庁財政課財政係

健全か判断比率などの対象範囲

健全か判断比率などの状況と各段階の数値基準

■その他の財政指標

1.経常収支比率

財政構造の弾力性を表す指標で、この比率が高いほど投資的経費などに使用できる一般財源が少なく、財政構造が硬直化していることを示します。

地方税、普通交付税のように使途が特定されておらず毎年度経常的に収入される財源(経常一般財源)のうち、人件費、扶助費、公債費などの経常的支出に充てられた割合を表します。

▽一関市…88.1% ▽県内13市平均…88.6%
2.財政力指数

地方公共団体の財政力を表す指標で、この値が1に近いほど財政力が強いことを示します。

普通交付税を算出する際に求められる各市町村の標準的な収入(基準財政収入額)を各市町村で標準的な行政サービスを提供するために必要となる支出(基準財政需要額)で除して得た数値の3カ年の平均値です。

▽一関市…0.40 ▽県内13市平均…0.43

 (広報いちのせき 平成22年11月1日号)