中東北拠点都市への基礎づくり予算

平成23年度の一般会計予算の総額は604億5964万円。
22年度と比較で2.7%の増。
本号では、23年度予算のあらましをお知らせします。

予算の概要

本市の財政状況は、地域経済の回復の遅れにより、市税収入の伸びは期待できず、依然として厳しい状況にあり、歳入の多くを地方交付税(※1)が占める財政構造になっています。
そのため、国および景気の動向に大きく影響を受ける構造になっています。
このような中、23年度予算は、子育て支援と暮らしやすい環境を充実させ、市独自の雇用対策などと併せて定住促進にもつなげ、さらに公共施設の再配置や長寿命化など、次世代につなぐまちづくりを進めていきます。
これらソフトとハードの両面から、中東北の拠点都市としての基礎づくりを進めていく予算とし、次の重点施策を柱に据えて編成しました。

  1. 「中東北」の拠点都市一関の形成
  2. 雇用対策
  3. 企業育成
  4. 産業振興
  5. 教育・人材育成
  6. 保健・福祉・医療の連携充実
  7. 地域コミュニティの自立支援
  8. 環境対策
  9. 内陸地震からの復興と教訓を生かしたまちづくり
  10. 平泉文化遺産の世界遺産登録に向けた支援

※東日本大震災からの復旧復興については、補正予算などで対応していきます。

市の会計と予算総額

市の予算は、市の基本的な事務や事業を行う一般会計、国民健康保険や下水道事業のように加入者や利用者が負担する特定の収入で経費を賄う13の特別会計、経費を水道料金による収益で賄う水道事業会計の3つに区分されます。
一般会計の予算額は、604億5964万円で、前年度当初予算額と比べて15億6329万円(2.7パーセント)の増加となりました。
予算額が増加したのは、磐井川堤防改修に伴う公共施設の移転事業、各種予防接種の公費負担および小学生の医療費無料化などによるものです。
特別会計は、簡易水道事業特別会計が、配水管布設工事などの整備費の増により、7億4481万円(33.6パーセント)の増加となり、下水道事業特別会計が、処理場建設工事などの整備費の減などにより3億7809万円(10・4パーセント)減少しました。
一般会計、特別会計、水道事業会計の全会計での予算総額は838億8117万円で、19億5160万円(2.4パーセント)増加しました。

一般会計歳入の内訳

一般会計歳入

歳入のうち自主財源(※2)である市税収入は、厳しい経済情勢から、22年度と比べて1730万円(0.2パーセント)減少となる一方、依存財源(※3)は、地方交付税が12億3437万円(5.9パーセント)増加する見込みとなります。
しかし、市税や地方交付税などの歳入だけでは財源が不足することから、8億6099万円の基金を取り崩し、財源を確保しました。また、市の借入金である市債は、臨時財政対策債(※4)の減額などにより、前年度と比べ6億9469万円の減少となりました。

一般会計歳出の内訳

一般会計歳出

歳出を目的別(※5)に見ると、民生費が159億552万円で最も大きな割合を占め、次いで教育費89億8300万円、公債費87億9302万円と続きます。
性質別(※6)に見ると、総合計画基本計画事業などの実施にあてる投資的経費(※7)は、総額では108億9866万円となっており、22年度より13億5179万円増加しています。
内訳では一関水泳プール整備事業費が8億2410万円、一関東第二工業団地立地促進事業費が6億2566万円増加しています。
義務的経費(※8)は、22年度と比べて1833万円(0.1パーセント)減少して291億1031万円となっています。
これは、扶助費が子ども手当などで8億2592万円増加したものの、人件費が職員数の削減などで2億6684万円、公債費が市債の繰り上げ償還の効果などで5億7741万円減少したことによるものです。

23年度予算の規模

会計名 当初予算額 22年度比増減率(%)
一般会計 604億5964万円 2.7
特別会計 国民健康保険 126億4678万円 ▲0.6
後期高齢者医療 10億3530万円 ▲0.8
介護サービス事業 4526万円 14.8
土地取得事業 344万円 ▲2.5
金沢財産区 1001万円 ▲2.6
都市施設等管理 1億8335万円 110.5
工業団地整備事業 5822万円 54.8
市営バス事業 1億4883万円 4.6
簡易水道事業 29億5905万円 33.6
下水道事業 32億4024万円 ▲10.4
農業集落排水事業 2億9224万円 ▲3.2
浄化槽事業 1億6987万円 ▲4.1
物品調達 3254万円 ▲4.5
水道事業会 計 25億9640万円 0.1
合計 838億8117万円 2.4

市債と基金の残高見込み

市の借入金である市債の23年度末の残高見込みは、公共事業のために借入れたものが、一般会計で559億3496万円、特別会計と水道事業会計を含んだ全会計の合計では1029億7396万円となる見込みです。
一般会計分は臨時財政対策債の減額により減少し、特別会計分では簡易水道事業の整備により増加しています。
これらを市民1人当たりにすると、一般会計では約47万円、全会計では約86万円となります。
また、市の貯金ともいえる基金の主なものの23年度末の残高見込みは、財政調整基金が48億9518万円、市債管理基金が43億67万円となる見込みです。
この2つの基金の合計を市民一人当りにすると、約8万円となります。
本年度も、市民の皆さんからお預かりする大切な税金を効果的、効率的に活用するともに、財政運営の健全化に努めます。

※本年度の主な事業については、5月1日号に掲載します。

用語の解説

※1地方交付税…全国市町村の行政サービスが一定水準になるように、国から配分されるお金
※2自主財源…市税や使用料など、市が自主的に収入することができる財源
※3依存財源…地方交付税、国・県支出金など、国や県から交付される財源や市債など
※4臨時財政対策債…地方交付税の代替として借り入れ、償還金の全額が後年度に国から交付される借金
※5目的別経費…経費を行政的性質を基準として分類したもの
※6性質別経費…経費を経済的性質を基準として分類したもの
※7投資的経費…道路、学校の建設など、社会資本の整備や災害復旧に要する経費
※8義務的経費…人件費(職員の給与、議員報酬など)、扶助費(社会保障制度の一環として、生活困窮者、児童、老人、障がい者などを援助する経費)、公債費(市の借金(市債)の償還金)を合計したもので、その支出が義務づけられ、任意に削減できない経費

(広報いちのせき 平成23年4月15日号)