市は6月13日から、東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射線量の測定を市立の小中学校、私立を含む幼稚園・保育園、市内4カ所の消防署などで継続して行っています。
市は、これまでの測定結果を踏まえ、より踏み込んだ対応を進めます。

これまでの測定から

現在、施設全体の放射線量が「1時間当たり1マイクロシーベルト」を超えている市の施設は、確認されていません。
市独自の測定で局所的に地上高50センチで1マイクロシーベルトを超えた施設は4カ所あり、早急に除染作業を実施しました。

また、これまでの測定結果から、▼雨どいや軒下など雨水の集まる場所(特に水が外部に流れ出さず、そこから蒸発するような場所)▼流れの悪い側溝にたまった泥、大量の汚泥がたまった側溝の集積ますの上▼沿道などの草刈りや枝はらいで出た刈り草や枝を大量に集積した場所―などは、周りより放射線量が高い場合があることが分かっています。

現在、学校給食で使われている野菜などの産地では、国の暫定基準値を超える放射性物質は検出されていません。

気を付けたいこと

このことから市は、現段階では通常の学校生活や日常生活などを制限する状況にはないと判断しています。
次のことに気を付けましょう。

▼土や砂を目や口に入れない▼川、池や水たまりの水は飲まない▼屋内に入るときは、衣服や髪についた土やほこりを落とす▼外から帰ったら、うがいや手洗いをする▼傷口に土や砂がついたときは、きちんと洗い流す▼屋根などから落ちてくる雨水がたまる場所ではあまり遊ばせない▼野焼きを控える―など、日常気をつけているようなことを行うことで対応できるものと考えています。

農業分野における測定結果

県が9月末までに実施した測定結果では、野菜・果実、飼料稲、デントコーン、麦わら、原乳のいずれからも国の暫定基準値を超える放射性物質は検出されませんでした。

また、収穫が進むコメについて、県が行った放射性物質の本調査の結果は、市内全域と平泉町で放射性セシウムは検出されず、安全性が確認されました。

今後の市の対応

市は、市内の放射線の状況を把握するため、多くの市民が利用する公民館や体育館などの公共施設や自治集会所など合わせて845カ所で独自の測定を実施するほか、岩手県が行う農産物などの測定結果について、今後も広報やホームページで公表していきます。

また、市立小中学校、幼稚園、保育園(所)、児童館の120施設については、より詳細な調査を実施し、結果を公表するほか、毎時1マイクロシーベルト以上の放射線量が測定された場合、効率的・効果的に線量が低減する方法をその施設と協議した上で、早期に除染作業を実施するなど低減対策を実施することにしています。

空間放射線量の測定の様子
空間放射線量の測定の様子

放射能に関する用語解説

■ベクレル(Bq)…放射能の強さを表す単位。

■シーベルト(Sv)…人体への影響の度合いを示す単位。
1シーベルト(sv)=1000ミリシーベルト(msv)=100万マイクロシーベルト(μsv)

■1時間当たり1マイクロシーベルト…8月26日に文部科学省が福島県などに出した「福島県内の学校の校舎・校庭等の線量低減について(通知)」によるもの。

■放射性セシウム…気化しやすく、飛散しやすい特徴があります。
半減期(放射線を出す能力が元の半分になるまでの期間)が30年と長いものもあり、主に土壌汚染、海洋汚染の原因になります。

■放射性ヨウ素…呼吸や飲食により体内に吸収されやすく、甲状腺に集まる性質があります。
半減期(放射線を出す能力が元の半分になるまでの期間)が8日と短いため、早い段階で放射能を出さなくなります。

■不検出…放射性物質が存在しない、もしくは定量下限値(※)未満であること。
※今回のコメの測定における定量下限値はセシウム134、同137ともに20Bq/kgです。

各消防署における放射線量(9月27日現在)

施設名 測定時間 測定値μsv/時 備考
一関西消防署(一関) 9時00分

1.0メートル:0.20

0.5メートル:0.24

 
一関南消防署(花泉) 9時00分

1.0メートル:0.24

0.5メートル:0.26

 
一関東消防署(千厩) 9時00分

1.0メートル:0.29

0.5メートル:0.31

 
一関北消防署(大東) 9時00分

1.0メートル:0.19

0.5メートル:0.22

 

各地区教育施設における放射線量(9月27日現在)

施設名 測定時間 測定値μsv/時 備考
萩荘幼稚園(一関) 13時48分

1.0メートル:0.34

0.5メートル:0.37

 
花泉小学校(花泉) 10時00分

1.0メートル:0.30
0.5メートル:0.31

 
渋民小学校(大東) 12時00分

1.0メートル:0.28

0.5メートル:0.30

 
千厩小学校(千厩) 9時33分

1.0メートル:0.32

0.5メートル:0.32

 
松川小学校(東山) 10時00分

1.0メートル:0.32

0.5メートル:0.32

 
折壁保育園(室根) 13時30分

1.0メートル:0.42

0.5メートル:0.47

 
門崎保育園(川崎) 14時45分

1.0メートル:0.14

0.5メートル:0.14

 

公園などにおける放射線量(9月27日現在)

施設名 測定時間 測定値μsv/時 備考
磐井川河川公園(一関) 13時22分 1.0メートル:0.24
0.5メートル:0.26
 
愛宕児童公園(千厩) 10時08分 1.0メートル:0.34
0.5メートル:0.36
 
千厩多目的グラウンド(千厩) 9時50分

1.0メートル:0.31

0.5メートル:0.29

 

水道水の測定値(9月22日採水)

採水時間 放射性セシウム測定値
単位:Bq/kg
放射性ヨウ素測定値
単位:Bq/kg
測定団体
9時35分 不検出  不検出 岩手県

▲採水地:萩荘字脇田郷37(市脇田郷浄水場)
▲原子力安全委員会が定めた飲食物制限に関する指標値(飲料水):放射性ヨウ素300Bq/kg、放射性セシウム200Bq/kg(Bqは、放射能の量を表します)
▲水道水の基準のうち、放射性ヨウ素について100Bq/kgを超えるものは、乳児用調整粉乳や直接飲用に供する乳に使用しないよう指導することとされています。
▲測定は、毎週1回実施しています。

農畜産物における放射性物質の調査状況

調査地点 品目 放射性セシウム
単位:Bq/kg
放射性ヨウ素
単位:Bq/kg
採取日
JAいわい東管内 トマト 不検出 不検出 8月3日
キュウリ 不検出 不検出 8月3日
JAいわて南管内 ピーマン 不検出 不検出 8月3日
ナス 不検出 不検出 8月3日
小麦

10

不検出 8月5日
リンゴ 不検出 不検出 8月24日
菌床シイタケ 不検出 不検出 8月30日
ネギ 不検出 不検出 8月31日
一関市(コールドセンター) 原乳 18 不検出 9月5日

▲調査団体は全て岩手県
▲野菜・穀類の食品衛生法上暫定規制値…【放射性セシウム】500ベクレル/kg以下、【放射性ヨウ素】2000ベクレル/kg以下
▲コールドセンター…生産された牛乳を一時的に冷却・貯蔵する施設
▲原乳の食品衛生法上暫定規制値…【放射性セシウム】200ベクレル/kg以下、【放射性ヨウ素】300(100)ベクレル/kg以下※( )内は、食品衛生法に基づく乳児の飲用に関する暫定的な指標値

利用自粛中の牧草の放射性物質の調査状況

エリア 地区名 採取月日 放射性セシウム
単位:Bq/kg
測定団体
一関西部 萩荘 8月8日 3270 岩手県
下宇津野 7月12日 1170 岩手県
一関東部 三関 8月26日 694 岩手県
滝沢 9月2日 148 岩手県
花泉 涌津 7月15日 570 岩手県
東山 長坂 8月12日 527 岩手県
室根 室根高原 7月13日 2070 岩手県
藤沢西部 下中山 7月8日 1844 岩手県

▲大東・川崎地域は、6月11日の調査で暫定許容値を下回っていたため、利用自粛は解除されています。
▲一関地域の厳美町・舞川・滝沢地区、花泉地域の北小茂・南小茂地区、千厩地域の千厩・小梨・奥玉地区、東山地域の田河津・松川地区、室根地域の矢越・津谷川地区、藤沢地域の山谷・熊舘・増沢・上峰・秋内・大籠地区の利用自粛は解除されました(各地区において3回連続して暫定許容値を下回った場合に解除されます)。
▲粗飼料中の放射性物質暫定許容値…(1)放射性セシウム【乳用牛・肥育牛】300Bq/kg以下、【その他の牛】3000Bq/kg以下(2)放射性ヨウ素【乳用牛】70Bq/kg以下
▲放射性ヨウ素は、いずれの地点でも検出されませんでした。

米の放射性物質

エリア名  採取月日

放射性セシウム134

単位:Bq/kg

放射性セシウム137

単位:Bq/kg

一関 一関 9月19日 不検出 不検出
厳美 同上 不検出 不検出
舞川 同上 不検出 不検出
弥栄 同上 不検出 不検出
萩荘 同上 不検出 不検出
花泉 永井 同上 不検出 不検出
涌津 同上 不検出 不検出
油島 同上 不検出 不検出
花泉 同上 不検出 不検出
老松 同上 不検出 不検出
日形 同上 不検出 不検出
金沢 同上 不検出 不検出
大東 大原 同上 不検出 不検出
摺沢 同上 不検出 不検出
興田 同上 不検出 不検出
猿沢 同上 不検出 不検出
渋民 同上 不検出 不検出
千厩 千厩 同上 不検出 不検出
奥玉 同上 不検出 不検出
小梨 同上 不検出 不検出
磐清水 同上 不検出 不検出
東山 松川 同上 不検出 不検出
長坂 同上 不検出 不検出
田河津 同上 不検出 不検出
室根 折壁 同上 不検出 不検出
矢越 同上 不検出 不検出
大津保1 同上 不検出 不検出
川崎 薄衣 同上 不検出 不検出
門崎 同上 不検出 不検出
藤沢 藤沢 同上 不検出 不検出
黄海 同上 不検出 不検出
大津保2 同上 不検出 不検出
八沢 同上 不検出 不検出

▲本調査の結果、放射性セシウム濃度が一定水準(暫定規制値500Bq/kgのおおむね2分の1の200Bq/kg)以下であることが判明した市町村は生産者による出荷・販売が可能となりました。
▲不検出とは、放射性物質が存在しない、または定量下限値未満であることを示します(4ページ参照)。

夏作飼料作物の放射性物質

作物 調査地点 採取月日 放射性セシウム(134と137の合計)
単位:Bq/kg
測定値 換算値(水分80%)
飼料稲 一関地域 8月30日 7.0 1.9
花泉地域 8月30日 2.7 1.3
大東地域 8月30日 16.5 8.8
デントコーン 千厩地域 9月8日 不検出
東山地域 9月8日 不検出
室根地域 9月8日 10.2 7.5
藤沢地域 9月8日 不検出
麦わら 一関地域 8月1日 132 30
一関地域 8月3日 75 17

▲測定団体はすべて岩手県
▲飼料中の暫定許容値(農林水産省設定)…【放射性セシウム】300Bq/kg
▲県は、市内の夏作飼料作物(飼料用稲、デントコーン)と福島第一原子力発電所事故後に収集された麦わらの利用・流通の制限を解除しました。

たい肥の放射性物質

調査地点 採取月日 放射性セシウム
単位:Bq/kg
放射性ヨウ素
単位:Bq/kg
一関市 抽出検体1 9月5日 検出せず 検出せず
抽出検体2 9月5日 200 検出せず
抽出検体3 9月5日 200 検出せず

▲測定団体は全て岩手県
▲測定日:9月7日
▲たい肥の暫定規制値(農林水産省設定)…放射性セシウム:400Bq/kg以下
▲県は9月7日、市内全てのサンプルで暫定基準値を下回ったことから、市内の肥育農家・酪農家が製造するたい肥の利用・流通の制限を解除しました。

放射線測定情報はこちらから

●市のホームページ http://www.city.ichinoseki.iwate.jp/
 「環境放射能に関する情報(福島第一原子力発電所事故関係)」 
●岩手県のホームぺージ http://www.pref.iwate.jp/
 「環境放射能に関する情報(福島第一・第二原子力発電所事故関係)」
 「一関市における水道水の核種別放射能濃度の測定結果について」
 「地表付近の放射線量の測定結果について」 など

問い合わせ先

一関市災害対策本部、電話0191-21-2111

(広報いちのせき 平成23年10月15日号)