決算

市の22年度決算の概要と総務省が実施している「地方財政状況調査」による普通会計(他の市町村と比較しやすいよう共通の基準で調整したもの)の決算の状況をお知らせします。

■22年度の歳入と歳出

「予算」は、1年間に入ってくるお金(歳入)と使うお金(歳出)の計画です。
これに対し、実際のお金の使いみちと仕事の内容をまとめた実績が「決算」です。
家庭に例えれば家計簿です。

「歳入」は市に入ってきたお金です。
「歳出」は市が使ったお金です。
22年度普通会計の歳入総額は626億5千万円。
国の補助対象事業の減少(国庫支出金の減)や景気低迷による個人所得の減少(市民税の減)などにより、前年度比9億2千万円(1・4%)の減です。

これに対し、歳出総額は604億4千万円で、前年度比5億5千万円(0・9%)の増です。
22年度に実施した主な事業は下表のとおりです。

歳入から歳出を差し引いた額は22億1千万円です。
この差引額から繰越金(年度内に支出が終わらなかったため、翌年度へ繰り越すお金)を引いた額が黒字です。
これらは主に一般家庭の貯金にあたる「基金」に積み立てます。
市の貯金(各種基金のうち「財政調整基金」と「市債管理基金」)の合計は前年度比25億7千万円(32・8%)増の104億2千万円です。

22年度の市財政は黒字ですが、市税など市が自主的に収入できる財源「自主財源」は26・7%です。

これに対し、地方交付税や補助金など国や県から交付される財源「依存財源」は73・3%です。
まだまだ国や県への依存度が高いことがわかります。
市の借入金「市債」残高は、前年度比1億円(0・1%)減の741億3千万円です。

一関市は旧藤沢町と本年9月26日に合併したため、22年度決算は旧市町に分けて掲載します。10、11ページは一関市の決算、12ページは藤沢町の決算です。
普通会計の歳入状況

 普通会計の歳入状況

普通会計の歳出状況
【目的別分類】

普通会計の歳出状況(目的別分類)

分野毎の使われ方で分類しています。
歳出総額は604億4千万円で21年度と比べ5億5千万円(0.9%)の増です。

【性質別分類】

普通会計の歳出状況(性質別分類)
財政運営の健全性や弾力性を分析するのに適します。
内訳は■義務的経費=284億円(47.0%)■投資的経費=109億8千万円(18.2%)▼その他の経費=210億6千万円(34.8%)─です。

■15の特別会計

市には一般会計のほかに15の特別会計があります。
特別会計は、特定の収入を特定の支出に充てるような事業の収支を明確にするために一般会計と区別して設けられています。

このほかに、地方公営企業法の規定が適用され、使用料などその事業の収入などで運営する会計があり、これを「公営企業会計」といいます。
一関市では水道事業が該当します。

一関市の市民一人当たりの決算状況と県内他市平均との比較

■行財政改革の推進など

行財政改革の推進などにより各種経費を削減しました。
このうち一関市の人件費は、職員数20人の減です(一般会計の人数比較)。

後年度の財政負担を軽減させるため、有利子の県借入金を繰り上げ償還しました(後年度負担軽減額2千万円)。

市債の繰り上げ償還を行った19年度から23年度までの5カ年の後年度負担軽減額は9億4千万円です。

第2次行政改革大綱の意見募集

市は第2次行政改革大綱の策定を進めています。
計画の策定にあたり、市民皆さんの意見を反映させるため、意見を募集(パブリックコメント)します。
計画案は、本庁財政課と各支所地域振興課に備え付けるほか、市ホームページに掲載します。

■応募方法

意見は住所、氏名、連絡先(電話番号など)を明記の上、郵送、ファクス、電子メール(様式不問)でも受け付けます。

■受付期間

11月1日(火曜日)~11日(金曜日)

■応募先

〒021-8501(住所不要)本庁財政課
tel0191-21-8233/Fax0191-21-2164/電子メールzaisei@city.ichinoseki.iwate.jp

旧藤沢町の財政状況
合併前の旧藤沢町の22年度決算

■歳入歳出状況

旧藤沢町の22年度歳入総額は、68億3千万円。地方交付税などの増加や繰越財源としての繰越金の増加などにより、前年度比14億円(3.7%)の増です。

歳出総額は54億1千万円で、前年度比1億3千万円(2.5%)の増です。実施した主な事業は■農山漁村活性化プロジェクト支援事業=7千4百万円■町道宮ノ脇線整備事業=5千6百万円■林道大橋線整備事業=3千9百万円■介護サービス基盤整備事業補助金=3千2百万円■町道花藤線整備事業=2千万円■経営体育成交付金事業=1千8百万円■地域情報通信基盤整備事業=1千3百万円■ふじの実学園スプリンクラー整備事業補助金=1千2百万円─などです。

普通会計の歳入状況

普通会計の歳入状況

普通会計の歳出状況
【目的別分類】

普通会計の歳出状況(目的別分類)

分野毎の使われ方で分類しています。
歳出総額は54億1千万円で21年度と比べて1億3千万円(2.5%)の増です。

【性質別分類】

普通会計の歳出状況(性質別分類)

財政運営の健全性や弾力性を分析するのに適します。
内訳は■義務的経費=19億3千万円(35.6%)■投資的経費=6億円(11.2%)■その他の経費=28億8千万円(53.2%)─です。

■合併関連事業

合併に向けた事務事業整理などのために実施した事業は■病院事業会計からの長期借入金償還=1億1千8百万円■藤沢型農業確立資金の融通に関する基金最終造成=1億8百万円■合併準備経費=6百万円─です。

■借入金および基金の残高

旧藤沢町の借入金である町債の残高は21年度より6千万円(1.3%)減少し、44億5千万円です。

旧藤沢町の貯金(各種基金のうち「財政調整基金」と「減債基金」)は21年度より1億1千万円(33・3%)増の4億5千万円です。

なるほど財政用語

  • 市税 市民税、固定資産税など皆さんが納める税金
  • 地方交付税 地方の財源の偏りを調整するために国から交付されるお金
  • 地方債 国や銀行などから借りるお金
  • 国・県支出金 特定事業に対して国や県から交付されるお金
  • 義務的経費 歳出のうち支出が義務付けられたお金
  • 扶助費 法令に基づき支給する生活保護費・児童手当など扶助するお金
  • 公債費 地方債として借り入れたお金の返済金
  • 投資的経費 道路や施設の建設などに支出されるお金(普通建設事業費と災害復旧事業費を合わせて投資的経費といいます)
  • 普通建設事業費 道路、橋、学校、公園など社会資本整備のお金
  • 物件費 賃金、旅費、消耗品費、委託料などの総称
  • 補助費等 各種団体に対する助成金や一部事務組合への負担金など
  • 繰出金 一般会計と特別会計、または特別会計相互間で支出されるお金
  • 財政調整基金 突発的な災害や緊急を要する経費に備える基金
  • 市債管理基金・減債基金 地方債(借金)償還の増加に備える基金

全項目で健全化基準をクリア
一関市と旧藤沢町の22年度健全化判断比率

■今後の財政運営について

今後、地方交付税の減額や国の地方財政計画の縮減などにより、市の財政運営は厳しくなる見込みです。

このような状況の中で市は、▼歳出=経常的な経費の縮減などにより一層の行財政改革を推進▼歳入=積極的な収納対策により税収の確保に努める▼市債=繰り上げ償還などによる将来負担の軽減▼基金=計画的な運用─など、財政基盤の安定化を図りながら各種事業を進め、市民サービスの水準を確保します。

■健全化基準をクリア

19年6月に「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」が制定され、財政の健全性の公表が義務付けられました。
下表のとおり5つの指標で地方公共団体と地方公営企業の健全性を判断するものです。

一関市と旧藤沢町の22年度決算に基づく健全化判断比率等は、いずれも健全化基準をクリアしています。

しかし、これはあくまで法定の指標にすぎず、基準を下回れば財政運営上、問題がないということではありません。
他の財政指標も含め、総合的に検証・分析する必要があります。

市総合計画を推進するためには、安定した財政基盤を維持し続けることが重要です。
市は、財政の健全化に全力を尽くします。実現するためには市民皆さんの力が欠かせません。

小さなことでも家族みんなが心掛ければ、家計は節約できます。
例えば、▼公共施設を大切に使う▼介護予防に努める▼病気を予防する─など、日常生活で一人一人ができることはたくさんあります。

家庭のお金を家族が大切に使うように、みんなで市のお金を大切に使いましょう。


(1)実質赤字比率=一般会計などの赤字の程度を示す割合(2)連結実質赤字比率=財産区会計を除く全ての会計の赤字の程度を示す割合(3)実質公債費比率=一般会計などが負担する借入金などの大きさを指標化し、資金繰りの程度を示す割合(4)将来負担比率=一般会計などの借入金や将来支払う可能性のある負債などの額を指標化し、将来財政を圧迫する可能性の程度を示す割合(5)資金不足比率=水道事業などの公営企業の資金不足額を事業規模と比較して算出される公営企業の資金繰りの程度を示す割合*(1)~(4)のいずれかが早期健全化基準に達すると、自主的な改善努力による財政健全化が必要。財政再生基準に達すると、国などが関与して確実な再生が必要

■その他の財政指標 経常収支比率=財政の弾力性を示す指標。高いほど教育施設や道路などの整備に充てられる一般財源が少なく、硬直した財政状況である■一関市85.2■旧藤沢町80.0■県内他市平均84.2/財政力指数=標準的な行政サービスを提供するために必要となる支出に対する市税収入などの割合を示す指標。値が1に近いほど財政力が強い■一関市0.38■旧藤沢町0.22■県内他市平均0.43

もしも市の財政を家計に例えたら

一関市の普通会計22年度決算額約604億円を年収500万円の「家計」に例えてみました。

健全な財政運営には市民一人一人の力が必要です

一関市財政課 金野 亨主事一関市財政課 金野 亨主事

下のグラフは、一関市の普通会計約604億円を年収500万円の「家計」に例えてみたものです。
家族が働いて得た収入(給与やパート収入)は約113万円。
収入の多くを実家や兄弟からの援助(地方交付税や国・県支出金)に頼っています。
小さな節約もみんなで続ければ出費を抑えることができます。
市財政の健全化には、市職員はもとより皆さん一人一人の力が必要です。

 

(広報いちのせき 平成23年11月1日号)