新月駅

宮城県の地名を語る駅

市内室根町にある「新月駅」。
昭和4年、大船渡線・折壁―気仙沼間の営業開始に合わせて開業した。
駅名の「新月」は宮城県の旧新月村(現在の気仙沼市新月地区)に由来する。
近くで美容室を営む小山友子さん(59)に案内していただいた。

かつては、朝一番の下りで100 人以上の乗り降りがあり、1 日の乗降客も250 人以上を数えたという新月駅。
昭和43 年から同駅前で酒店を営む小山三郎さん(71)は「有人駅だったころは、駅員さんとも家族同様の付き合いをさせてもらいました。蒸気機関車の汽笛の音や地響きには、何とも言えない情緒があったものです。今は乗り降りする人も少なく、駅前の活気もなくなってしまったのは寂しい限り」と当時を懐かしむ。

昭和47 年に無人化され現在は、通学する高校生が利用するほか、乗り降りする人もまばら。
昔と変わらぬ景色、静かに流れる時間に時折響くキハの走行音。
昭和の香りが残り、懐かしく旅愁を誘うローカル線の駅がそこにある。

市内の最も東にあり、人や物の往来を見守ってきた新月駅。
この駅を出ると上り列車は折壁駅を目指す。

少し寂しく、懐かしい景色。まばらに残った冬柿の橙色が印象的

少し寂しく、懐かしい景色。

まばらに残った冬柿の橙色が印象的

車窓から眺める冬の景色が旅愁を誘う

車窓から眺める冬の景色が旅愁を誘う

小山酒店 小山三郎さん小山酒店 小山三郎さん小山酒店

自主的に清掃活動をしています。
そのご縁もあってか駅の管理を頼まれ、名誉駅長にも任命されました。
駅員さんの引っ越しの際には荷物を運ぶ手伝いをしたことも。
当時の駅員さんたちとは、今でも交流しています。

小山美容室 小山友子さん小山美容室 小山友子さん

嫁いでから35 年、毎日駅を列車を見て暮らしています。
息子を含め、この辺の高校生はみんな利用する駅。
地域の人たちで清掃活動も行っています。

いちのせきの広報誌「I-style」1月1日号