矢越駅

優しい時間が流れる駅

JR大船渡線の「矢越駅」。
昭和3年9月2日に千厩、小梨、折壁駅とともに開業した。
開業当初は貨物の引き込み線もあり駅員も常駐していたが、58年3月、無人駅へ。

しかし、地元では「駅利用者の便利を確保」するため、国鉄OBらに窓口業務を委託。
平成15年4月まで窓口業務を維持してきた。

駅のすぐ近くで自動車修理工場を営む芳賀三郎さん(69)が今回の案内人。
三郎さんを含む駅周辺の5軒の家が役割を分担、協力して清掃や草取りなどを行っている。
「公共の場所ほどきれいに。それで使う人がさわやかな気分になれる。自然ときれいに使ってくれる。まず自分たちが手足を動かして、使う人の心を引き出すのさ」とあくまで自然体。

雪かきが行き届いた通路やホーム。
待合室にはごみ一つなく、ガラスが見えないほど磨かれた窓とベンチに置かれたお手製の座布団が利用客を迎えてくれる。

窓から差し込む暖かな日差し、振り向けば室根山。
小さく居心地がいい待合室には優しい時間が流れる。

矢越駅を出ると上り列車は、母なる室根山に見送られ、小梨駅に向かう。

優しい時間に浸れる駅

平成17年3月に改築された駅舎

トンネルを抜けると次の停車駅、小梨駅はもうすぐ

芳賀三郎さん案内人
芳賀三郎さん 芳賀自動車整備工場

皆で駅の清掃などをはじめて25、6年。
作業した後の慰労会も楽しみの一つ。
作業中に運転士さんと交わす、ちょっとしたあいさつも励みです。

いちのせきの広報誌「I-style」3月1日号