空、花、愛―バスの中に花泉の魅力を見つけました

花泉地域を走る市営バスは全15コース
車窓からのどかな田園風景が広がります
買い物に、通院に、用足しに、
一人でも、仲間と一緒でも利用できるみんなのバスです
バスで地域を散策なんてのもすてきです

 ★COMMUNITY BUS

花泉地域で3月12日から福祉バスに代わって、市営バスが運行されています。
市営バスは15路線を週2日、2便ずつ運行。
新しい市民の足として活躍しています。


花泉支所前で3月12日行われた出発式後、第1号の市営バスが出発

コミュニティバスとは

コミュニティバス(略称「コミバス」)は、自治体などが住民の移動手段を確保するために運行するバスです。

市街地や中山間地などの交通空白地帯で公共交通サービスを提供したり、主要施設や観光拠点などを循環したりするなど、さまざまな運行形態があります。

従来の乗合バスとの大きな違いは、住民の交通の利便性向上を目的とする「地域住民の足」であること。
子供、高齢者や身体障害者など、自分で車などを運転できない人たちが商店街、医療機関や公共施設などに行くための大切な交通手段です。

今なぜ、コミバスが必要なのか?

市の高齢化率(65歳以上)は平成22年国勢調査で30.3%。超高齢社会(高齢化率24%以上)に突入しています。
国立社会保障・人口問題研究所によると32年には35.8%になると推計されています。

市の面積は1256平方キロメートル。
東西63キロ、南北46キロという広大な市域には、駅やバス停から遠い地域も多く、高齢者や身体障害者が移動するには大変な状況です。
この「移動しにくさ」が原因で、閉じこもりがちになることも少なくありません。

私たちは、日常的に人や社会と関わることで、充実した人生を送ることができます。
高齢社会を「幸齢社会」にするためにも、移動手段の確保は重要です。

通院、買い物や用足しに、気軽に利用できるコミバスはシルバー世代の公共の足。
年を取っても元気に街へ繰り出せる高齢者にやさしい社会の実現に向け、コミバスが大きく貢献すると考えられます。

始まりは福祉バス

花泉地域では、旧花泉町時代の昭和54年4月1日から「福祉バス」を運行してきました。

福祉バスは、町内の医療機関へ通院する人の「通院専用バス」で、当初は1日2路線、週3日の運行でした。
その後、もっと多くの通院に利用してもらおうと1日2路線、週5日(月~金曜日)で10コースを運行、花泉地域のほぼ全域をカバーしました。

しかし、車両は国の制度を活用して「へき地の患者輸送のため」に整備されたもの。
利用できるのは、医療機関からおおむね4キロメートル以上、もしくは交通機関を利用して15分以上離れた地域の住民に限られました。

福祉バス運行から見えたもの

福祉バスの運行で、前述の条件を満たす住民は、「通院の足」を確保することができました。

しかし、条件を満たせない人は、福祉バスを利用することができないため、通院が不便だったり、買い物に出掛けることができなかったりしました。
自動車を運転できない高齢者や子供など、交通弱者への対応が課題として急浮上したのです。

平成21年4月、花泉地域の全住民を対象に、公共交通のあり方を考える「地域懇談会」が開かれ、同年7月には、市民と市職員が協働で「花泉地域公共交通検討会」を設置、23年4月までに12回もの会議が開かれ、バスルートやバス停などについて検討を重ねました。

さらに、永井、涌津、油島、花泉、老松、日形、金沢の7地区で「地域懇談会」が開かれるなど、地域を挙げて花泉の公共交通を考えました。

当時の検討委員で花泉支所地域振興課の篠光昭(しのみつあき)地域協働係長は「通院に限定された福祉バスではなく、誰もが利用できる公共交通サービスを求める声が多くありました」と振り返ります。

こうして、花泉地域は全ての住民が利用できるコミバス「市営バス」の運行に向け、走り出しました。

地域住民の足として欠かせない存在

商店街を走る低床バス。鮮やかなボディーカラーが印象的だ
商店街を走る低床バス。鮮やかなボディーカラーが印象的だ

花泉地域公共交通検討会の様子。
花泉地域公共交通検討会の様子。検討委員21人が12回もの会議を開き、市営バスの運行に向けて検討を重ねた

出発式であいさつする勝部修市長。「
出発式であいさつする勝部修市長。「懇談会やワークショップに参加してくださった皆さんに感謝する。地域は人口減少や高齢化が進んでいる。福祉バスから市営バスに切り替わったが、これに満足することなく、継続して地域の実情を踏まえた地域に必要とされる形に見直していくことが大事」と述べた。

笑顔あふれる市営バス、皆さん利用してください

篠光昭地域協働係長
花泉支所地域振興課 篠光昭地域協働係長

多くの皆さんに気軽に、安心して利用してほしいです。
まだ利用したことのない人は、ぜひ、一度利用してください。
市営バスの中では出会いがあり、会話が生まれます。
みんなで街に出掛けて、心と体をリフレッシュしてください。
人も街もますます元気になってほしいです。
 

広報いちのせき「I-style」6月1日号