守られるから 守るへ

行政や消防に頼るだけでなく
自分たちでできる防災への取り組み
コミュニティFMを活用した災害時の情報伝達
消防団と自主防災組織の強化充実
災害に強いまちづくりは加速する

コミュニティFMを活用
災害時の情報伝達

市は今年4月、一関コミュニティFM「FMあすも」を開局した。緊急時や災害時にはFMあすもを通じて防災情報や災害情報を速やかに発信する体制を整えた。

5月4日に大雨洪水警報が発表された際には、午前7時から午後6時までの間に番組内で水位情報を提供したり、注意を喚起したりと10回にわたって市民の安全を守るための情報提供を行った。

大きな災害が起きた場合は市が災害対策本部を設置して「臨時災害用FM放送局」を開局する。

FMあすもは、市が進める「災害に強いまちづくり」を実現するための重要な情報媒体。前倒しして開局した。
現在良好に受信できるエリアは市全域の約7割で、約3割が難聴エリアだ。
市は、9月頃をめどに新たな中継局を設置して受信エリアを拡張していく。
中継局を追加設置しても聞こえない場合は、さらに中継局を設置する。
それでも聴取できない世帯は個別対策を行うなど、全ての市民が正常に受信できる環境を13年3月までに整える計画だ。

平成の町火消し
郷土愛にあふれる消防団

消防団は消防組織法に基づく消防機関。
郷土愛にあふれる住民組織だ。
地域の消防防災リーダーとして、住民の安全と安心を守るため、昼夜を問わず活動している。

市消防団(大森忠雄団長)は、年間を通してさまざまな訓練や活動を展開している。
災害現場に飛び込むということは、わが身を危険にさらすこと。
最前線で活躍できるのは、日ごろの厳しい訓練があればこそだ。

団員にはさまざまな知識と技術の習得が求められる。
消防操法訓練や水防訓練は、機械器具の取り扱いや操作方法、河川増水時の堤防決壊を防ぐ工法などを習得する機会であり、本市の防災上、欠くことのできない訓練である。

岩手・宮城内陸地震と東日本震災を経験した今、多くの市民が消防団の存在意義を再認識している。
団員の意識や士気もさらに高まっている。

防災のカギは助け合い、支え合う、真のコミュニティーの再生

人災をなくすためそれが自主防災活動だ

近年、高齢化や核家族化の進行と社会構造の変化によって、家庭力が低下したり、地域の連帯感が薄れたりしている。

防災の基本は「助け合い」。
自分から家族へ、そして隣近所、地域へと、足元から支援の手を伸ばしていく構図が不可欠だ。
災害時、確実に機能する組織であるためには、まず「地域を知り、人を知る」ことが大切。
互いの家や家族のことを把握しておくことが重要だ。
地域の高齢者や障がい者の安否確認や避難誘導できる体制を、日ごろから築いておこう。

東日本大震災のように同時広域的に発生する大規模災害では、行政や消防などの支援の手が届くまでには相当な時間がかかることを覚悟しなければならない。
そこまで生き抜くための「備え」は自分で準備するしかない。

人災をなくす―。

それが自主防災活動の目的だ。
人を守り、支え、助け、救うのは人である。
地域の絆こそ、自主防災活動の原点だ。

一関地区支部消防操法競技会で訓練の成果を競う消防団員(6月10日)一関地区支部消防操法競技会で訓練の成果を競う消防団員(6月10日)
一関地区支部消防操法競技会で訓練の成果を競う消防団員(6月10日)
【成績】ポンプ車の部(1)花泉第3分団(2)千厩第3 分団(3)川崎第1分団 小型ポンプの部(1)室根第1分団、(2)藤沢第1分団(3)東山第3分団

市内の自主防災組織も参加した一関市水防訓練(7月1日)市内の自主防災組織も参加した一関市水防訓練(7月1日)
市内の自主防災組織も参加した一関市水防訓練(7月1日)

藤沢地域第24区自治会の自主防災訓練(6月17日)藤沢地域第24区自治会の自主防災訓練(6月17日)藤沢地域第24区自治会の自主防災訓練(6月17日)藤沢地域第24区自治会の自主防災訓練(6月17日)
藤沢地域第24区自治会の自主防災訓練(6月17日)

いつも地域に寄り添って、防災情報で命をつなぐ
一関コミュニティFM放送局 千葉康司放送局長

一関コミュニティFM放送局 千葉康司放送局長
災害や緊急事態にも対応できる体制を整えている。
速やかに情報を発信して、二次災害を防ぐことがラジオの役目。
災害時などには関係機関と連携しながら、対処の方法などを正確に伝えていきたい。
防災や減災にラジオの情報伝達力を発揮していきたい。

コミュニティFM

コミュニティFM
日常は、身近な情報を提供し、緊急時や災害時は防災情報を発信する。
停電時でも機能するメディア。
安全・安心のまちづくりを実現するために重要な役割を担う。
国レベルで認知されている情報媒体でもある。

守りたいものがある、士気を高めて防災の最前線へ
一関市消防団室根第1分団第2部  菅原実副部長

一関市消防団室根第1分団第2部  菅原実副部長
自分たちのまちは自分たちで守りたい。
内容の充実した訓練を継続的、積極的に実施し防災力を高めていきたい。
操法競技会も訓練の一つ。
県大会では一関市消防団の意気込みを示したい。
団員の活動を社会全体が理解し協力してくれる環境も必要だ。

消防団

消防団
火災、風水害、震災などの災害対応のほか、地域密着性、要員動員力および即時対応力といった特性を生かしながら、地域コミュニティの維持、振興にも大きな役割を果たしている。
本市は、1本部8地域本部体制だ。

命も財産も自ら守る、災害に負けない地域の連帯を
藤沢地域第24区自治会 千葉ひろあき会長

藤沢地域第24区自治会 千葉ひろあき会長
東日本大震災の時もそうだったが、災害時には「誰でもできる」「何でもできる」ことが重要。
シナリオを明かさない訓練は、そのために欠かせない。
さまざまな災害が想定されるが、これまで積み重ねてきた経験を生かして、地域住民の命を守り、安全を確保していきたい。

自主防災組織

自主防災組織
「地域を知り、人を知る」自主防災組織は災害時、最も素早く確実に機能する組織。
地域内での人災をなくすことが目的だ。
藤沢第24区自治会は、シナリオを明かさない訓練を重ね、意識を高め、スキルアップしている。

広報いちのせき「I-Style」 平成24年7月15日号