名勝へいざなう駅

猊鼻渓駅

7月の初め、JR大船渡線「猊鼻渓駅」を訪れた。
駅の近くには日本百景の一つ名勝「猊鼻渓」がある。

猊鼻渓は、砂鉄川の流れが石灰岩を浸食してつくり出した約2キロに及ぶ渓谷で、川岸には高さ100 メートル超える断崖絶壁がそびえる。
休日には県内外から訪れる大勢の観光客でにぎわう。
船頭が謡う「猊鼻追分」を聞きながら絶景を眺める舟下りは、もう、言葉にならない。

同駅は昭和61年11月1日、旧国鉄が最後に行ったダイヤ改正と同時に開業した。
「名勝の玄関口として町中心部に新駅を」と十年以上にわたる地域を挙げた取り組みが実を結んだ「請願駅」である。
国鉄は翌62 年4月に民営化してJRになった。

長坂交通安全母の会下町分会長の石川薫さん(49)が今回の案内人。

同会は長年にわたり同駅の清掃活動を行っている。
「会員59 人が週1回、2、3人ずつ交代で清掃しています。(観光客が多いので)以前は、ホームや線路にまでごみが捨ててあって大変でした」と石川さん。

駅から船着場までは5分ほど。
地域住民の生活の足として、名勝へいざなう駅として、多くの人が利用する猊鼻渓駅。
この駅を出ると上り列車は陸中松川駅を目指す。

案内人
石川薫さん
長坂交通安全母の会下町分会長

石川薫さん
町の中心にあって便利です。
平日は、多くの高校生が利用しています。
一方、大勢の観光客が利用する地域の顔。
常にきれいにしておきたいですね。

1柴宿駅を出た上り列車の車窓から望む猊鼻渓の船着場2駅前広場の藤棚も見所の一つ。6月には薄紫色の藤の花が満開に
3猊鼻渓駅のホームの長さは、3両編成の列車が停車しても対応できる75メートル4駅を出て、すぐ目に付くのが観光案内板。多くの観光客が立ち止まる
1_柴宿駅を出た上り列車の車窓から望む猊鼻渓の船着場
2_駅前広場の藤棚も見所の一つ。6月には薄紫色の藤の花が満開に
3_猊鼻渓駅のホームの長さは、3両編成の列車が停車しても対応できる75メートル
4_駅を出て、すぐ目に付くのが観光案内板。多くの観光客が立ち止まる

広報いちのせき「I-style」8月1日号