長沼 守敬(ながぬま・もりよし)

長沼守敬

幕末の一関に生まれた長沼守敬は、明治時代に最も活躍した洋風彫刻家です。
東京帝国大学( 現東京大学) 医学部できょうべんをとったエルウィン・ベルツ(ドイツ)、ユリウス・スクリバ(ドイツ)や実業家澁澤榮一らの肖像彫刻を数多く手掛けました。

写真は、台湾の鉄道敷設に尽力した工学博士長谷川謹介の像を制作中の長沼です。
左手には彫刻べらを持っています。
像の右手はまだ荒々しい作りで、外套の上には使いかけの油粘土とへらが置かれています。
等身大を上回るこの作品は明治43(1910) 年に銅像として完成し、台北市に設置されました。
しかし、現在は所在不明で頭部のみ鋳造されたものが残されています。
この他にも、戦時中の金属回収で失われたり、行方不明になったりした長沼の作品は少なくありません。

展覧会「歿後70年彫刻家長沼守敬展―守敬・ロダン・碌山・光太郎―」では、《長谷川謹介像 頭部》をはじめとする長沼作品の他、オーギュスト・ロダン、荻原碌山(守衛)、高村光太郎の彫刻を展示しています。

広報いちのせき「I-style」8月1日号