熱闘 上位独占

未来のJAPANを目指す児童、生徒がこの夏、大活躍を見せた。
「あきらめない」スピリットはソフトボール王国の誇り。
一関の、岩手の、東北の代表として挑んだ2012年夏を追う。 

関小ヤンキーズ スポーツ少年団 
藤原昌弘監督・藤原愛里主将・部員15人 

結成7年目の夏、宮崎で旋風
初出場で全国16強の快挙

1関小ヤンキーズ
●取材協力 宮崎県小林市 下り藤利教・鶴田健介

「第26回全日本小学生女子ソフトボール大会」は8月3日から6日まで宮崎県総合運動公園運動広場で開かれ、岩手第1代表として出場した関小ヤンキーズスポーツ少年団(一関小)が初出場でベスト16入りする快進撃を見せた。

猛打炸裂、県の頂点へ

05年に結成した関小ヤンキーズは、一関小の6年生7人、5年生4人、4年生1人、3年生3人の15人からなる。
歴史あるチームの多い本市では新鋭チームだ。

川崎町の川崎運動広場で5月12、13の両日開かれた県南地区予選会は4つのブロックに分かれてのリーグ戦。
関小は強打で相手をねじ伏せ、全勝で県大会へ進んだ。

県大会は6月2、3の両日、奥州市の水沢サンスポーツランドで行われた。

初戦で安代スポーツ少年団(八幡平市)に10本塁打など30安打の猛攻で41-0と大勝した関小は、準決勝で強豪千厩ソフトボールクラブ(一関市)を19-4で破り、初のグランドファイナルへ。
決勝は同じ一関勢の東山レッドウィングスと対戦。
試合は序盤から一進一退の白熱した好ゲーム。
関小は3-3で迎えた5回、四球で出た藤原愛里が俊足を生かして三進。
内野ゴロの間に生環し、勝ち越した。
7回には藤原、細川珠央の長打などで2点を加え、試合を決めた。
守っては、細川が要所を締める投球で東山打線を4回の3点に抑え完投。
関小は6-3で東山を破り、初優勝を飾った。

全国初出場で16強の快挙

「第26回全日本小学生ソフトボール大会」は8月3日から6日まで、宮崎市で開かれた。
接近する台風の影響で屋外でのゲームは中止となり、「木の花ドーム」での試合になった。

ベスト8を目標に挑んだ初戦の相手は地元の延岡マリーンズ。
相手投手山口愛実は大会屈指の本格派。
これまで経験したことのない速球に手こずり、5回まで2-5とリードを許す展開に。
しかし、6回関小は、4安打と相手のミスで打者一巡の猛攻。
一挙に5点を奪い逆転すると、先発藤原愛里が延岡の追撃を振り切り、7-6で初勝利した。

2回戦はきくちジュニアSC(熊本)と対戦。
1回、2安打で2点を先制した関小は3回に2点、5回に4点を奪い試合を決める。
守ってはエース細川が無安打無得点の快投。
6、7回にも加点した関小は12-0できくちに快勝した。

3回戦の相手は強豪伊王野クラブ(栃木)。
試合は関小藤原、伊王野西山明李両エースの投げ合いで3回を終わって0 -0。
4回伊王野は、疲れの見えた藤原を攻め、長短3安打で4点を奪う。
6回にも3安打で1点を奪われた追う関小は最終回、失策で出塁した藤原が足を使った攻撃で三塁へ進み、沼沢優依の犠飛で1点を返した。
しかし、反撃もここまで。
鉄壁の守りを誇る伊王野に1-5で敗れた。

心の成長が快進撃の源

ベスト8の夢こそ破れたが、初出場で16強は快挙。
藤原監督は「大舞台で采配できたのは子供たちのおかげ」と感謝する。
快進撃については「選手の大半が昨年からレギュラー。試合慣れしているのでリードされても慌てない。常に冷静なプレーができたことが勝因」と分析する。
さらに、体力や技術だけでなく、「精神面の成長が県優勝,そして全国16強につながった」とも。

地区予選から全国大会まで9試合で126点をたたき出した破壊力抜群の攻撃が目立つが、細川珠央と藤原愛里が投げ、堅守で守りきるのが勝利の方程式。
週4回の練習では、「ゴロ処理」など徹底した基本練習を繰り返す。

全国常連チームを次々と撃破して、一気に岩手の頂点に駆け上った関小ナイン。
全国でも強豪相手に堂々の試合運びで16強入りした。

「県で勝つより県南を制する方が難しい」と言う藤原監督。
「来年も、再来年も全国へ行けるチームをつくりたい。そのためには、まず、最激戦区一関を勝ち抜く力を付けなければ」と前を見る。
新チームの戦いはすでに始まっている。

DATE

ずば抜けた選手はいないが、全員が平均点以上。
上位から下位まで誰もがクリーンアップを打つ力を持つ。
破壊力抜群の打線が得点を重ね、細川、藤原両投手の好投とバックの堅守で守り勝つのが信条だ。
【戦績】
<県>1回戦○41-1安代、準決勝○19-4千厩、決勝○6-3東山レッドウィングス
<全国>1回戦○7-6延岡マリーンズ、2回戦○12-0きくちジュニアSC、3回戦●1-5伊王野クラブ

2細川珠央 3関小 4藤原愛里 

5ベンチに戻る
1_結成7年目で初の県大会優勝、全国大会出場を果たした関小ヤンキーズスポーツ少年団
2_全国大会2回戦できくちジュニアSC相手に無安打無得点を披露したエース細川珠央
3_機動力を生かした破壊力抜群の打線は、全国でもその力を発揮。地区予選から全国大会3回戦まで9試合で126点を挙げた
4_全国大会初戦の延岡マリーンズ戦で力投する藤原愛里。主将として攻守にフル回転。チーム全国16強入りの原動力となった
5_意気揚々とベンチに戻るヤンキーズナイン 

広報いちのせき「I-style」9月1日号