いろいろな具を絡めて食べる一関のもち料理
その種類は約三百にも上り、多彩さは日本一といわれている
市内では、もちを生かしたさまざまな取り組みが行われ、
郷土の食を郷土の文化として発信しようとする動きが加速している
食を文化にデザインしてしまう一関のもち事情を追う

1おいしそうに雑煮もちを食べる本寺小の小岩弥也君

一関もち食推進会議(佐藤晄僖(こうき)会長)は、市教育委員会と連携して市内小中学校の学校給食に「もち食」を提供しました。

全国学校給食週間(1月24~31日)に合わせて行われた「もち給食」は、児童・生徒の食育を推進し、郷土料理のもち食文化を継承しようという取り組みです。
このうち本寺小学校(上山サダ子校長、全校児童31人)では1月25日の給食にもちが出され、複式学級の3、4年生と同校を訪れた勝部修市長が一緒に雑煮もちを味わいました。

メニューは雑煮のほか鰆(さわら)の曲りねぎ焼き、すき煮こんぶ、みかん、牛乳の5品。
勝部市長は児童と団らんしながら「もちはあんこ、くるみ、納豆など、どんな味付けにも合います。一関地方では、昔からうれしい時も悲しい時もおもちを食べてきました」と古くから愛されてきたもちを語りました。

佐藤由奈(ゆな)さん(4年)は「市長さんの話はとても勉強になりました」と、小岩弥也(ひろや)君(3年)は「家で食べるよりもおいしかったです」と満足そうでした。

本寺小は地域の協力を得て、もち文化をテーマに田植えや稲刈りなど農作業体験を行っています。
地元産のもち米をつき、もち料理を振る舞うなど、古里に伝わるもち文化を丸ごと体験しています。
上山校長は「郷土料理のもちを知ることは、地域を知ることでもあり、もち給食は体験学習の集大成です」と話していました。

このように、農作業などを体験しながら、▼食を考える習慣▼食に関する知識▼食を選択する判断力―を身に付ける学習が「食育」です。
食育基本法では、日本人の健康な心身を育んできた「食文化の継承」が、食育目標の一つに掲げられています。
食べ物としてはもちろん、食を学ぶ教材として、郷土料理や地元産食材を学校給食に取り入れるよう求めています。

児童たちが自ら育て、収穫する。
地元でとれたもち米が、雑煮となって給食に出る―

真っ白いもちに箸を延ばし、残さずたいらげる子供たち。
その表情は、充実感でいっぱいです。
学校給食から伝えていきたい古里の味は、一関が後世に伝えたい伝統の味。
教室には、おいしさとやさしさが広がっていました。

2盛り付けをする給食当番
3上山サダ子校長4佐藤由奈さん
5勝部市長の話を熱心に聞く児童
1)おいしそうに雑煮もちを食べる本寺小の小岩弥也君
2)盛り付けをする給食当番
3)上山サダ子校長
4)佐藤由奈さん
5)勝部市長の話を熱心に聞く児童

INTERVIEW
槻山那緒(なお)さん(3年)

槻山那緒さん
お雑煮ときなこもちが好きです。
市長さんが来て、初めは緊張しましたが、市長さんのお話は勉強になりました。

佐藤陸翔(りくと)君(3年)

佐藤陸翔君(3年)
納豆もちが好きです。
一緒に出た曲がりネギもおいしかったです。
もっと給食にもちが出たらうれしいです。

もちは一関の食文化
人々の暮らしと共にある

いろいろな食べ方ができるもちは、何にでも合います。勝部修市長
お椀にも、お皿にも、どんぶりにも合います。
この地方では昔から、おめでたい時にも、悲しい時にも、おもちを食べてきました。
家を建てる時にはもちまきをしますね。
おもちは一関の食文化です。
私は「中東北ご当地もちサミット」などを開催して、一関が「もち文化の日本の中心」だと全国にPRしています。
もちサミットでは、たくさんの種のもちが並びました。
今年のサミットには、皆さんも来てください。
もちをはじめ食は大事。
好き嫌いなく食べて、丈夫な体をつくってください。

広報いちのせき「I-Style」 平成25年3月1日号