技能五輪で世界を相手に「銅」 夢を実現するために努力する期待の若手職人

鳥畑慎さん

茨城県ひたちなか市の(株)日立製作所水戸事業所に勤務する鳥畑慎(まこと)さん(20)は、本市川崎町の出身。
今年7月、ドイツ・ライプチヒ市で開かれた第42回技能五輪国際大会「電子機器組立て」職種の部に出場し、見事銅メダルに輝いた。

子供の頃からものづくりが好きで、ロボットコンテストや電子機器の組み立てなどに興味がわいたという。
中学時代、進路指導などのパンフレットに見つけた「技能五輪」の4文字に心が揺さぶられ、ものづくりへの意欲は一気に加速した。

2008年3月に川崎中を卒業。同年4月、茨城県の日立工業専修学校電気科に進み、3年間みっちり学んだ。
11年4月、技能五輪の職種「電子機器組立て」を習得するため、日立製作所水戸事業所に入所。連日の厳しい訓練で知識を身に付け、技術を磨いた。
努力は実り、12年の第50回技能五輪で日本一に。ついに国際大会出場の切符を手に入れた。

国際大会には53の国や地域から約千人が出場。このうち「電子機器組立て」職種には16カ国16人がエントリー。
設計図を読んで加工した部品をはんだ付けする組み立てや障害を発見して改修する技能などを競った。
競技は過酷で連続4日間、毎日4時間以上行われた。慎さんは、HITACHIの強力なスタッフと一丸となって世界一を目指した。
「体力的にはきつかったが、集中力は途切れなかった」と振り返る慎さん。金こそ逃したが、世界を相手に銅メダルを獲得した。
「表彰台に立つことができて、とてもうれしかった」と素直に喜ぶ。

技能五輪の結果は、企業の評価にもプラスになる。「自分のスキルが企業に与える影響は大きい」とプライドをにじませる。

好奇心こそ学びの原動力。
知識を身に付け、技術を磨いたら、自分で身の回りのモノを作ることができるようになった。
夢を持つ。夢に向かって努力を重ねる。夢は必ず実現できることを身をもって知った。

今後は、指導員として技能五輪と関わり、選手育成に力を注ぐ。
一方で、研究や開発の道を歩むため、再び学びの場に身を置くという。
プレッシャーを感じるいとまがないほど忙しく戦の日々はこれからも続く。

いつかは世界一を―

止まることのない二十歳のパイオニアは、「最終目標はノーベル賞です」と前を見た。

銅メダルと賞状 課題に取り組む鳥畑慎さん

右:世界を相手に獲得した銅メダルと賞状
左:第42回技能五輪国際大会「電子機器組立て」職種の部で課題に取り組む鳥畑慎さん。表情は真剣そのもの

Profile

1993年一関市川崎町生まれ。日立工業専修学校電気科卒。
2011年4月(株)日立製作所水戸事業所入所。
13年7月第42回技能五輪国際大会「電子機器組立て」職種の部で銅メダル獲得。
現在指導員として五輪選手育成に励んでいる。茨城県ひたちなか市在住、20歳 

 

 広報いちのせき「I-Style」 平成25年9月15日号