ILCを一関市発展の骨格に位置付け 市民と共に未来を開く

勝部修市長

今後4年間の市政推進のかじを取る勝部修市長に2期目の決意と抱負を聞いた

中東北の拠点都市一関の形成

私は、岩手県南・宮城県北地域を「中東北」と位置付け、発展させたいと考えています。
「中東北の拠点都市一関の形成」という言葉を、全てを集約したスローガンに掲げ、子育て支援、雇用対策、産業振興や災害に強いまちづくりなどを重点施策として市政運営に努めてきました。

こうした取り組みを継続してきたことで、中東北の拠点都市としての基礎づくりは、おおむね順調に推移しているものと認識しています。

最優先課題は放射能汚染対策

山積する課題の中で、最優先で取り組まなければならないのは、東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う放射性物質による汚染問題への対策です。
除染実施計画に基づく放射線影響の低減を最優先課題として取り組みます。

特に、農林産物の安全を守り、産地の信頼を回復したいと考えています。
汚染された牧草・稲わら・たい肥・しいたけほだ木の一時保管と処分を前進させ、向こう5年間で市内の汚染廃棄物の処分を終わらせるとともに食の安全安心を発信して風評被害対策に努めていきます。
「ふるさと一関」を確実に取り戻します。

道路側溝には、放射性物質に汚染された土砂が2年半以上も放置され、堆積しています。
現状のままでは限界であり、国に対して、汚染土砂の処理方針を速やかに示すよう強く申し入れます。

高齢化や人口減少への対応も重要

高齢化・人口減少社会への対応も大きな課題です。

高齢社会への対応は、行政サービスのあり方を社会構造に合ったもの、お年寄りに優しいものに変えていく必要があります。
問題を先送りせず、具体的な検討を進めていきます。

人口減少への対策も重要です。
これまで「子育てしやすい環境づくり」を重要施策に小学生までの医療費無料化、各種予防接種の無料化、保育料の軽減などを進めてきました。
子育て支援施策の一層の拡充に向け、検討を進めていきます。

急激な人口減少に伴う地域社会(コミュニティー)の活力低下が危惧されています。
本市への移住・定住の受け入れに向けた環境整備や結婚活動支援に取り組むほか、若者の地元定着を支援します。

また、キャリア教育、就職支援、地元定着支援と子供の成長過程に合わせた一連の施策で子育て世代を支援します。
子育てする親にとって、子供の就職、定着が「子育ての卒業試験」だと私は考えています。

国際化に向けた協働のまちづくり

国際リニアコライダー(ILC)の国内建設候補地に北上高地が選ばれました。

私は、このプロジェクトを「一関市発展の骨格」に位置付け、市民の皆さまと一緒に国際化に対応したまちづくりに取り組んで参ります。

そこで重要なのが「協働によるまちづくり」です。
一関発展のために、市民と行政の真の協働は、何としても実現しなければなりません。市民一人一人が「まちづくりの当事者」としての意識を持って取り組めるよう協働の取り組みを進めます。

今年4月、スイス・ジュネーブにある欧州合同原子核研究所(CERN)を視察する勝部修市長
今年4月、スイス・ジュネーブにある欧州合同原子核研究所(CERN)を視察する勝部修市長

世界を観る眼で一関を拓く

人類の夢を実現するILCは、学術研究の分野で日本が国際貢献できる数少ないプロジェクトです。

世界に一つだけの実験研究施設を中東北に、ふるさと一関に実現させ、「世界と日本の多様な文化が出会うまち」「人類の夢が実現する科学のまち」「世界が集い世界に羽ばたくまち」を築いて参ります。
この地域に生まれた子供たちが、この地域で育ち、暮らしていくことが一つの目標でもあります。

私は、新しい夢を持つことを忘れずに、また、その夢を現実のものとするために、固い信念を持って、積極果敢に、情熱的に、全身全霊で市政を運営したい。

山積する市政課題と正面から向き合い、市民と一緒に世界を観みる眼で一関を拓(ひら)いて参ります。

PROFILE

1950年千厩町生まれ。亜細亜大法学部卒。
74年岩手県庁入庁。総合雇用対策局長、総合政策室長、県南広域振興局長などを歴任。
09年の一関市長選で初当選。就任後は、
1_雇用対策を柱とする経済対策
2_災害に強いまちづくり
3_子育てしやすい環境づくり
―を重点施策に、市民生活の安全安心を第一に市政運営に努めてきた。
3年間で11企業を誘致、コミュニティFMの立ち上げ、平泉ナンバーの実現などさまざまな分野で手腕を発揮してきた。
趣味は石集め。両親は室根町と大東町の出身。現在の実家は東山町にある。
一関市大手町在住 63歳 

 

 広報いちのせき「I-Style」 平成25年10月15日号