国際化に対応できる人材育成と世界に開かれたまちを目指して始まった国際交流活動
住民一人一人が理解を深め、温め合ってきた草の根交流は、やがて町と町、国と国との絆へと発展した
藤沢町の国際交流30年の歩みを振り返る

草の根交流30年の歩みを振り返る

藤沢町国際交流協会30周年記念式典
藤沢町の縄文ホールで行われた藤沢町国際交流協会30周年記念式典
 

藤沢町国際交流協会(高橋義太郎(よしたろう)会長)の「設立30周年記念式典」は昨年11月23日、藤沢町文化センター「縄文ホール」で行われ、地域ぐるみで交流を深めてきた「草の根交流」30年の歩みを振り返った。

午後1時から行われた式典に先立ち、これまでの交流を編集した記念DVDが上映された。
式典には同協会会員、市、市議会のほか、国際姉妹都市オーストラリア・セントラルハイランズ市のスコット・メイソン最高経営責任者(CEO)、ケヴ・クラックネル市議、在ベトナム藤沢会のチャン・チュン・ユン会長、日越教育交流事業で来日しているベトナムの学生たちが出席。

あいさつに立った高橋会長は「地域に根差し、世界に開かれたまちづくりの充実へ力強く歩んでいきたい」と決意を新たにした。
勝部修市長は「一関市の国際交流の原動力になる協会になってほしい」とさらなる交流活動に期待を寄せ、メイソンCEOは「責任感を持って、価値観を分け合い、賢明な努力の結果。この偉業を誇るべき」と、ユン会長は「日越の国交樹立40周年を迎え、深い交流を行っていきたい」と祝辞を述べた。

最後に、昨夏、中学生海外派遣事業に参加し、セ市などを訪れた藤沢中の生徒6人が「貴重な経験をした10日間。これからも多くの中学生に体験してほしい」と発表。
出席者は30年の歩みを振り返るとともに、一層の交流推進を誓った。

1チャン・チュン・ユン会長 2髙橋義太郎藤沢町国際交流協会長
3勝部修市長 4スコット・メイソン最高経営責任者
5中学生海外派遣事業の体験を発表する藤沢中の生徒たち 6式典には、多くの協会会員や関係者が出席した

1_在ベトナム藤沢会のチャン・チュン・ユン会長
2_髙橋義太郎藤沢町国際交流協会長
3_勝部修市長
4_セントラルハイランズ市のスコット・メイソン最高経営責任者
5_中学生海外派遣事業の体験を発表する藤沢中の生徒たち
6_式典には、多くの協会会員や関係者が出席した

マリ・クリスティーヌさんが記念講演

式典に続き、異文化コミュニケーターや富山大客員教授として多方面で活躍するマリ・クリスティーヌさんを講師に「国際文化講演会」が開かれた。

(財)自治総合センターによる宝くじの助成金を活用して行われた講演会は記念事業の一環。
「人と人をつなげる国際交流―多文化によって豊かになるまちづくり」と題した講演でクリスティーヌさんは、自らの経験を交えながら「おもてなしの心」など、豊かな日本文化の魅力について紹介。

「私たちの日常が、外国人にとっては興味深いことだったりします。ホームステイは一番の国際交流です。自分の国を好きになってくれる人を増やしましょう。藤沢の30年の取り組みをもっと深め、もっと広めてください」とエールを送った。

「人と人をつなげる国際交流」―多文化によって豊かになるまちづくり
マリ・クリスティーヌさんが国際文化講演

マリ・クリスティーヌさん

一関のもちは、日本の代表的な和食です。私は、日本食と和食は違うと考えています。

四の膳まで食べて、五の膳を家に持ち帰る懐石は日本食。一方、四季に応じた旬の食べ方や地域の特色があるものが和食です。

共通して言えることは、そこに「おもてなしの精神」が宿っていること。食を通して和んだり、和が生まれたりするから和食なのです。
カレーやラーメンだって、そこにおもてなしの心があれば和食です。

日本は、多文化大国です。国内で異文化交流が活発に行われています。「おもてなし」と「ホスピタリティー」は違います。
ホスピタリティーは充実したサービスのこと。それに対して、おもてなしは文化です。日本の心です。
自分の国を好きになってくれる人をもっと増やしていきましょう。それが国際交流の第一歩です。

日本人と外国人の価値観は同じではありません。私たちが日常、当たり前だと思っていることが、外国人の興味を引くことも少なくありません。
大事なことは自分たちの価値観を押しつけないことです。相手を受け入れるということは、異なる考え、気持ちや感じ方を受け入れるということなのです。

私は神奈川県の葉山に住んでいます。そこは、インターナショナルスクールや国際研究施設があって、多くの外国人が暮らしています。
日本人と外国人が共生する風景は日常の光景です。30年も前から草の根交流を繰り広げてきた藤沢町には、住民主導で築いてきた異文化交流の素地ができています。
この取り組みをもっと深め、もっと広めてください。多文化が共生することで、もっと豊かで魅力的なまちづくりができるでしょう。 

 

 

 広報いちのせき「I-Style」 平成26年1月15日号