「挑戦・体験・感動」 感謝の心で一関の文化や魅力を発信したい

石塚裕樹さん
石塚裕樹さん 24 東山町

特定非営利活動法人地球緑化センターの「第20期緑のふるさと協力隊」として昨年4月、東山町田河津に着任した裕樹さん。
さいたま市出身の24歳は、緑の山里で農業や地域活動に精力的に取り組んでいる。

春から秋は農業に従事。水稲、トマト、小菊などを栽培した。農閑期の今は、地元の特産品「東山和紙」の製造を手伝っている。
ほかにも、消防団やバドミントンサークルに所属し、積極的に活動しながら市民との交流を深めている。
中でも消防団の「纏(まとい)振り」と「はしご乗り」に「かっこいい」とほれ込み、自ら志願してはしご乗りに挑戦した。
一方、伝統芸能や文化にも興味津々だ。地域行事に参加したことが縁で三味線を習うように。今では「マイ三味線」を持ち、レパートリーも増えた。

「北国の冬体感真っ最中」の裕樹さん。氷点下9℃の気温に驚き、凍結した水道管にお湯を掛けて解凍した。「解けて水が出たときは、ほっとした」と苦笑いする。
初めてづくしの農村生活も残すところあと一月半。充実した田河津の生活は、あっという間だった。

都会と農村の「日常」の違いについて、「不便は当たり前。むしろ、工夫して生み出す暮らしの知恵を学ぶことができた」ときっぱり。
「人脈を広げることができるだろうか」という当初の不安は、もうない。「コミュニティーは小さいけど度量が大きい。みんなが顔なじみでいつも声を掛けてくれたり、心配してくれたり、そんな温かいつながりがうれしかった」と感謝する。

都会では難しい「人づきあい」が、自然にできる田河津の暮らしに心から幸せを感じた。
「住民との絆を生かしながら、地域づくりに関わりたい」という思いが強くなった。平泉の世界遺産、餅料理など「和食」のユネスコ無形文化遺産登録やILCなど、国内外から多くの人が訪れる今こそ「一関の魅力をみんなが共有し、市民レベルで情報発信することが大事」と提案する。
「農村の日常を体験できる機会を増やすことで、観光とは違う価値や魅力が見えてくるかもしれない」とも。

第二の古里の発展を心から願う24歳。彼の存在は、春を待ちわびる田河津の人たちの心に、ひと足早い「東風(こち)」になってやさしく吹き渡る。

Profile

1989年埼玉県岩槻市(現さいたま市岩槻区)生まれ。東京農大地域環境科学部造園学科卒。
12年9月NPO法人地球緑化センターの若葉のふるさと協力隊に参加。
本市大東町京津畑集落を訪れたことがきっかけで、同法人の緑のふるさと協力隊に応募。
本市への派遣を希望し、13年4月から東山町で暮らす。 

 

 

 広報いちのせき「I-Style」 平成26年2月15日号