あなたの情報を守ります 新たな制度4月スタート ~個人情報保護条例~

  市では昨年12月、「個人情報保護条例」を制定しました。この条例は、新市合併時に制定していたコンピューター処理による個人情報の保護に加えて、手作業処理による個人情報も保護の対象とした新たなもので、4月1日から施行します。
 ここでは、その概要と、関連する「個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)」のポイントを紹介します。

市の個人情報保護制度の概要

 近年の情報技術の進展に伴い、コンピューターやネットワークを通じて、大量の個人情報が容易に、しかも瞬時に利用可能な状態で流通しています。
 また、こうした個人情報なしには円滑な社会生活を営むことが困難な時代となっています。
 しかし、個人情報は、いったん誤った取り扱いをされると、個人に取り返しのつかない被害を及ぼす恐れがあり、プライバシーなど個人の権利や利益の侵害に対する不安が高まっています。
 こうしたことから、市は、▽市の保有する個人情報を適正に取り扱うためのルール▽その開示、訂正、利用停止を求める個人の権利を明らかにすることで、適正で円滑な市政運営を図りながら、個人の権利や利益を保護するため、「個人情報保護条例」を定めました。

「個人情報」とは?

 個人情報には、通常個人を特定する際に用いられる氏名、住所、生年月日などの基本的な事項はもとより、次のような情報も含みます。

  • 思想や信条、信教など、個人の内心の秘密に関する情報
  • 職業や資格、犯罪歴、学歴、所属団体など、個人の経歴や社会的活動に関する情報
  • 所得や資産など、個人の財産の状況に関する情報
  • 体力や健康状態、病歴など、個人の心身の状況に関する情報
  • 家族関係や生活記録など、個人の家族や生活状況に関する情報

 なお、「個人」には、生存する個人のほか、死亡した個人も含まれます。これは、死者であっても、その個人情報の取り扱いによっては死者の名誉を損ねたり、遺族の権利や利益が侵害される恐れがあるからです。
 一方、法人や団体の役員の情報と事業を営む個人の事業に関する情報は、事業活動の一部ととらえるべきものであることから、個人情報からは除外しています。

制度を実施する機関は?

 制度を実施する機関(以下「実施機関」といいます)は、▽本庁・支所の各部課など▽教育委員会(小中学校を含む)▽選挙管理委員会▽監査委員▽農業委員会▽固定資産評価審査委員会▽消防本部(消防署、消防団を含む)▽議会で、市のすべての機関になります。

取り扱いのルールは?

 個人の権利や利益の侵害を未然に防止するため、市が個人情報を取り扱う場合のルールを定めています。
 具体的には、▽収集の制限▽利用・提供の制限▽個人情報を取り扱う事務を委託する場合の措置▽適正な管理などで、その内容は下記のとおりです。
 このうち、個人情報の収集は本人から直接、また、利用・提供は目的の範囲内で取り扱わなければなければならないこととしています。
 ただし、▽法令に基づくとき▽人の生命や財産を保護するため緊急でやむを得ないと認められるときなどは、例外的に本人以外からの収集や目的外の利用・提供ができることとしています。これは、収集や利用・提供を制限することで、住民サービスの低下や事務の非効率化を招くことが考えられるからです。
 また、思想、信条および信教など、個人の内心の秘密に関するものや社会的差別の原因となる恐れがある個人情報は、原則として収集しません。

個人情報を取り扱うためのルール
  1. 収集の制限…市が個人情報を収集するときは、その目的を明らかにするとともに、事務の目的を達成するために必要な項目を限定し、原則として本人から直接収集します。
  2. 利用・提供の制限…市が個人情報を収集した目的以外のために市の内部で利用したり、市以外のものに提供したりすることは、原則として行いません。
  3. 事務を委託する場合の措置…市が個人情報を取り扱う事務を市以外の者に委託するときは、委託を受けた者が個人情報の保護のために行うべき対策などの措置を契約書などに定めます。
  4. 適正な管理…市が保有する個人情報は、外部への流出や紛失などを防止する措置を講じるとともに、必要がなくなったときは、速やかに廃棄または消去します。
違反者には罰則が!

 個人の権利や利益を保護する目的を一層実効性のあるものとし、市に対する市民などの信頼を確保するため、個人情報の取り扱いについて一定の義務違反を行った人に対し罰則を科すこととしています。
 罰則は、市の職員(退職者を含む)だけでなく、市の委託を受けて個人情報を取り扱う業務に従事している(していた)人、さらに偽りや不正な手段により開示を受けた人などにも科されます。

市にはどんな個人情報が?

 市がどのような個人情報を収集し、利用しているかについては、個人情報を取り扱う事務の目録を作成し、誰でも閲覧できるようにします。

開示などの手続きは?

 市が保有する個人情報が正確か、また、適正な取り扱いが行われているかを確認できるよう、誰でも自分の個人情報の開示や訂正、利用停止を実施機関に対して請求できます。

①個人情報の開示

 自分の個人情報が記録された公文書の閲覧や写しの交付を請求するときは、「個人情報開示請求書」に必要事項を記入して行います。
 請求に対しては原則として開示することとしていますが、請求者以外の個人情報が記録されているなど、条例で定める不開示情報が含まれている場合には、開示しないことがあります。
 なお、閲覧は無料ですが、写しの交付を受けようとする場合や写しの交付を送付で希望する場合は、複写や送付に要する費用は請求者の負担となります。

②個人情報の訂正

 市が保有している個人情報に誤りがある場合には、実施機関に対し、個人情報の訂正を請求することができます。
 訂正の請求は、「個人情報訂正請求書」に必要事項を記入し、訂正を求める内容が事実であることを証明できる書類を添付して行います。

③個人情報の利用停止

 個人情報が、収集の際に示した目的以外に利用されている場合などには、その利用停止を請求することができます。
 利用停止の請求は、「個人情報利用停止請求書」に必要事項を記入して行います。

開示・訂正・利用停止請求の流れ
  • 請求できる人…請求は、個人情報の本人が行うことになります(原則として代理人の請求は認めません)。また、死者の情報は、その遺族が請求することがで きます。ただし、未成年や成年被後見人の法定代理人、実施機関が特別な 理由があると認めた代理人は、本人や遺族に代わって請求することができます。
  • 請求に必要な書類…請求する際は、請求者を証明する書類として運転免許証、パスポートなどの書類が必要です。また、▽遺族の場合は戸籍謄本など▽法定代理人の場合は戸籍謄本、成年後見に係る登記事項証明書など▽その他の代理人は特別な理由に該当する者であることを証明する書類が必要です。

開示・訂正・利用停止請求の流れ

 個人情報の開示や訂正、利用停止に関する手続きの流れなどは上の図のとおりです。
 個人情報の訂正や利用停止は、請求があった内容を調査し、その内容が確かであると認められた場合に行われます。
 なお、開示、訂正または利用停止するかどうかの決定の内容について不服があるときは、行政不服審査法に基づく不服申し立てをすることができます。

個人情報保護法のポイント

 個人情報保護法は、平成17年4月に施行されました。しかし、法律の趣旨が誤解され、必要とされる個人情報の利用・提供が行われないなど、過剰ともいえる反応が一部に見られます。
 国では、こうした状況を踏まえ、見直しに向けた検討に入るとともに、引き続き制度の周知を図ることとしています。

正しい理解で取り扱いを

 私たちの生活は、個人情報を利用したさまざまなサービスの提供により大変便利になっています。また、これまでも互いに個人情報を共有することによって、地域社会の協力や連携が図られてきました。
 個人情報の保護に当たっては、個人の権利や利益の保護だけを考えるのではなく、個人情報が個人や社会にとって利益をもたらす、大変役に立つものであるということについても十分配慮する必要があります。
 最近、法律の形式的な解釈や運用によって、これまで行っていた個人情報の利用や提供をやめてしまう例がありますが、このようなことは法律の趣旨に沿ったものではありません。個人情報の利用や提供に関して国などに寄せられた質問の中から、いくつかの点を下に記しましたので参考としてください。
 個人情報保護法は、すべての人が尊重すべき個人情報の取り扱いに関する基本理念と、一定規模以上の個人情報を取り扱う民間事業者(非営利団体などを含む)を対象とする個人情報の取り扱いのルールを定めています。そのため、個人が民間事業の個人情報の取り扱い義務まで負う必要はありません。
 しかし、個人情報を取り扱う場合は、信頼性を高め、誰もが安心して利用・提供できるようにする必要があります。
 提供する側、される側、すべての人がルールを守り、個人情報を適切に取り扱っていきましょう。

個人情報保護法Q&A (中央省庁のガイドラインなどによる)

質問

 家電製品に重大な欠陥がある緊急時に、メーカーから顧客情報の提供依頼があった場合、提供できますか?

回答

 重大な危険性があり本人の同意を得る時間的余裕もないときは、「人の生命、身体又は財産の保護に必要な場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき(法第23条第1項第2号)」に該当し、同意を得なくても提供できます。

質問

 警察や検察などから顧客に関する情報について、刑事訴訟法に基づく捜査関係事項照会があった場合、提供できますか?

回答

 「法令に基づく場合(法第23条第1項第1号)」に該当し、本人の同意を得なくとも提供できます。ただし、提供を求めた捜査官などの役職、氏名などを確認する必要があります。

質問

 大災害や事故などの緊急時に患者の家族などから患者に関する情報提供依頼があった場合、患者の存否を回答してもよいのですか?

回答

 「人の生命、身体又は財産の保護に必要な場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき(法第23条第1項第2号)」に該当しますので、本人の同意を得なくても提供できます。

質問

 駅のエスカレーターで転倒した人の巻き添えになり怪我をしましたが、転倒の原因となった相手と話をしていません。鉄道会社は保護のためと連絡先を教えてくれません。どうすればよいでしょうか?

回答

 鉄道会社に、「人の生命、身体又は財産の保護に必要な場合」の例外を適用し提供することを検討してもらいましょう。

質問

 同窓会名簿を作成し、配付することはできますか?

回答

 次のいずれかの手続きを行えば、作成し、配付することができます。

 また、自治会名簿なども同様の手続きにより作成・配付できます。ただし、配付された人への注意事項を明示する必要があります。

  • 本人の同意を得る…「氏名、住所など取得した個人情報については同窓生に配付する」など、利用目的を明示し、所定の用紙に記入してもらうなどの同意を得る。(全員の同意を取れなかった場合も、同意を得ることができた人のみの名簿の配付はできます)
  • 同意に代わる措置を取る…「利用目的、掲載内容、提供方法および本人の求めにより削除すること」について、あらかじめ本人に通知するか、ホームページへの掲載などによって、本人が容易に知ることができる状況におく。その際、本人からの求めがあった場合は削除しなければなりません。
問い合わせ先
本庁総務課法規文書係 TEL 0191-21-8221

(広報いちのせき 平成19年2月15日号)