水害シーズンに備えよう
水害シーズンに備えよう
昭和22年のカスリン台風、23年のアイオン台風により、当地方は2年連続して大水害に見舞われ、多くの尊い命を失うなど、未曾有の損害を被りました。今年はそれから60年の節目の年。惨事から立ち上がった人たちの思いを伝え災害に強い地域をつくるため、各種の事業を行います。本号では、水害への備えを中心に紹介します。
最近の水害は、台風による被害だけではなく、地球温暖化や都市構造の変化などに伴い局地的な集中豪雨によるものが増加しています。水害シーズンを迎える前に対策を行い、大雨や台風の接近が予想される時は、自宅周辺の点検を心掛けましょう
普段からの心構えは
気象情報に注意を
台風が接近したときや、洪水の恐れがあるときはもちろん、日ごろからテレビやラジオの気象情報に注意しましょう。
避難場所と経路の確認を
市内には、災害時に避難するための「災害時避難場所」が指定されています。避難場所まで安全に避難する経路を、家族や地域で事前に確認しましょう。地区ごとの避難場所は、市のホームページに掲載してあります。
隣近所との協力を
隣近所の人が災害時要援護者(災害時に防災活動をとることが困難な高齢者、障害者など)の場合、支援が必要となります。地域住民全員が安全に避難できるように、協力する体制を確立しておきましょう。
「非常持ち出し袋」を用意
非常持ち出し袋を準備し、食べ物や水も3日分程度準備しておくと安心です。
- 水(白いポリタンクに入れておくと長持ちします)
- 食品(缶詰・缶入りのクッキー・カップ麺など)
- 懐中電灯と予備の乾電池
- ラジオと予備の乾電池
- 薬箱
- ろうそく・マッチ
- 着替え・携帯電話・貴重品
- 携帯用トイレ(あると便利)
家の周りの点検を
家の周りに吹き飛ばされそうな物はないか、屋根や雨戸は傷んでないか確認します。飛ばされそうな物は移動するか固定します。家の周りの排水溝は、詰まらないように掃除しておきましょう。
台風や大雨が来たら
危険な場所に近づかない
水害は、大丈夫だと思っていても、急激に迫ってくることがあります。異変を感じたらすぐに対応するよう心がけましょう。 山崩れや土石流(鉄砲水)の前兆現象(前ぶれ)を見逃さないことが大切です。
- 小石がパラパラ落ちる
- 地面にひび割れができる
- 山鳴りや妙な音がする
- がけに裂け目ができる
- 陥没や隆起が起きる
- 川の水が急に濁る
- わき水が止まる
- 山の木が傾いている
- 傾斜面を水が走り出す
―これらの異変が生じたときは、早めに避難し、消防署などへ通報してください。
洪水が起きたときは
避難勧告・指示に従う
避難勧告と避難指示は、次のように違います。
- 避難勧告・・・住民の生命・身体を災害から守ると同時に災害の拡大を防止するため、市長が特に必要があると認める地域に避難を勧めるもの
- 避難指示・・・危険が迫っているときに市長が発するもので、避難勧告よりも強く避難を求めるもの
避難時は足元に注意を
水面下の側溝やマンホールなどの深みにはまらないよう、長い棒を杖にするなど、確認しながら歩きます。また、流れのあるところは足をすくわれることがあるので注意しましょう。
車での避難は控えて
自動車での避難は、緊急車両の通行の妨げになるのでできるだけ避けます。水防活動の妨げにもなるので、自動車を堤防や道路に放置しないでください。
ガス・電気などのチェックを
大きな災害の後には、火災などの二次災害の危険があります。避難する前に、ガスの元栓やブレーカーのスイッチを切るなど火の元のチェックを必ず心掛けましょう。
荷物は少なく身軽に避難を
荷物が多いと動きづらくなります。必要なものだけを持ち、すばやく行動できるようにしましょう。
身軽で目立つ服装を
避難するときは、できるだけ軽くて目立つものを着るように心掛けます。長靴は、水が入ると歩きにくく危険。ひもで締められる運動靴などを履きましょう。
みんなで一緒に避難を
一人で避難するのは危険です。複数で、お互いの体をロープで結ぶなどして避難しましょう。
大雨洪水に備える指針 市水防計画
水防計画とは、水防法に基づき県から指定された水防管理団体が大雨や洪水による水災の警戒・防ぎょ活動や被害を軽減するための大綱を示したもので、水防隊員の活動など水害時の体制について定めています。
一関市水防計画は県知事から水防管理団体に指定されたことを受け、18年8月1日から施行。▽総則▽水防体制▽雨量及び水位状況の観測並びに通信連絡、周知▽水防訓練計画―など13章で構成されています。現在は19年4月1日施行された、市の災害対策に関する計画である「一関市地域防災計画」に、「水防計画編」として編入されています。
洪水予報の発表文が見直されました
国土交通省と気象庁が発表する洪水予報は、よりわかりやすい表現となるように4月から発表文が見直されました。※〔 〕は変更前の名称
水位の危険度レベル 洪水予報の標題 水位の名称 住民に求める行動 レベル5 はん濫発生情報〔洪水警報〕 (はん濫発生) 新たにはん濫がおよぶ区域の住民の避難誘導 レベル4 はん濫危険情報〔洪水警報〕 はん濫危険水位〔危険水位〕 避難の完了 レベル3 はん濫警戒情報〔洪水警報〕 避難判断水位〔特別警戒水位〕 避難を判断 レベル2 はん濫注意情報〔洪水注意報〕 はん濫注意水位〔警戒水位〕 はん濫に関する情報に注意
リアルタイム北上川水位情報
国土交通省岩手河川国道事務所のホームページでは、北上川、磐井川、砂鉄川の水位情報を1時間ごとに更新しています。
市内の観測地点は、釣山(磐井川)、吸川内水(同)、吸川外水(同)、狐禅寺(北上川)、諏訪前(同)、妻神(砂鉄川)の6カ所です。
水位情報のほか、雨量情報や、カメラでのライブ映像なども確認できます。詳しくはこちら(アドレス:http://www.thr.mlit.go.jp/iwate/)をご覧ください。
60年事業実行委員会を設立
水害被害の記憶を風化させることなく後世に伝え、災害に強い地域社会を考えようと「カスリン・アイオン台風60年事業実行委員会」(実行委員長・浅井市長)が3月に発足しました。市、国、県、NPO法人北上川サポート協会、みんなでミュージカル実行委員会など、行政や川に関する市民団体など18団体で構成。統一ロゴマークを定め、各種事業を行っていきます。
カスリン・アイオン台風60年事業
●一関遊水地第2・第3小提着工式
7月31日(火)/舞川
●パネルディスカッション「防災・減災を 考える」・カスリン・アイオン台風60年治水大会
9月15日(土)/ベリーノホテル一関
●市民ミュージカル「今伝えよう一関の年輪」・東北防災マップコンテスト
9月16日(日)/一関文化センター
関連行事
●一関夏まつり
8月3日(金)~5日(日)/大町ほか
●おらが自慢のでっかい花火大会
8月16日(木)/川崎町北上大橋付近
●水難物故者追悼法要・流灯会
8月20日(月)/磐井川河川敷
●北上川流域交流Eボート大会
9月9日(日)/川崎町北上大橋付近
消防本部でも60年事業
市消防本部でも独自に「カスリン・アイオン台風60年事業実行委員会」を組織し、災害予防や応急対策を図るための訓練や研修会、各種情報提供などを行っていきます。この機会に、地域の防災への備えを点検してみませんか。最寄りの消防署・分署まで申し込みください。
●水害型災害図上訓練(DIG)
※自主防災組織対象
●水防出前講座/洪水出前講座
※市民対象
●北上川流域の児童・生徒交流会
(広報いちのせき平成19年7月15日号)