「いちのせき高校生チャレンジフェスタ2007」を成功のうちに終えた実行委員の中から、和賀彩佳さん、菊池冴子さん、佐藤和泉さん、佐藤裕太郎君、菅原美郷君の5人の高校生が、取り組みの成果や感想、そして若い世代から見た地域づくりへの思いなどを浅井市長と語り合いました。(7月31日、室根高原牧場「まきばのレストラン」にて)

きらめきサポートステーション一関での打ち合わせ会大東高校での直前の準備の様子チャレンジフェスタを成功のうちに終え、実行委員、出店者、イベント参加者に来場者も交えて「ハイ、チーズ」

地域の元気と出会いをテーマに

座談会の様子浅井市長 皆さん、「高校生チャレンジフェスタ」、大変ご苦労さまでした。
 私は「よくやった」というのが第一印象。去年も雨に負けず元気に頑張っていましたが、今年は天気も良く、去年よりはるかに充実して、参加してくれた人も多かった。みんながやる気になっていたと思います。
 今日は皆さんがフェスタでどんな感想を持ち、これからどうしていきたいかなど、いろいろなことを、命が洗われるような素晴らしい風景の、ここ室根高原牧場で一緒に話し合いたいと思って来ました。よろしくお願いします。  
 まず、フェスタ開催の狙いなどから話してもらえますか。
和賀彩佳さん 狙いは二つあります。一つ目は高校生が中心となって地域を元気にしたいということ。二つ目は地域と高校生と商業との大交流会による「出会い」を目的としました。
佐藤和泉さん 今回のフェスタのテーマを「出会い」としたとおり、いろいろなことに出会いたかった。高校生同士なら別の機会でも交流できるので、お店を呼ぶことで大人と交流でき、そこでも新たな出会いが見つけられたと思います。
市長 参加した皆さんは、どうして一緒にやってみようと思ったの?
菅原美郷君 去年も参加しましたが、千厩高校は自分たちのクラスだけだったので、今年はいろいろな人に呼び掛けて楽しみたいと思い参加しました。5人で参加しましたが、みんな「楽しかった」と言っていました。
和賀 私は、地域おこしのために協力しようと思いました。
佐藤裕太郎君 初めてのことでも、やってみるといろいろな経験ができるのでは、と思い参加しました。
菊池冴子さん 地域おこしもありますが、自分のためにいろいろなイベントに参加したいし、積極的になりたかったので参加しました。
佐藤和 やはり、地域おこしに参加したかったので参加しました。
市長 やってみてどうでしたか。
佐藤和 全体的に忙しかったり大変なことも多かったのですが、お客さんの笑顔をみると自分もうれしくなるので、また機会があったら参加したいなと思いました。
市長 大人たちとやることも勉強、自分たちでやるのもまた勉強ですね。自分たちでやれることはやっていく、これもいいことだね。去年より参加した高校が増えましたね。
菅原 去年は一関工業高校と大東高校、千厩高校です。
市長 今年はそれに一高が加わった。そうやってどんどん輪が広がっていくといいんだよね。お客さんの呼び込みとかはやりましたか?
菅原 会場で広告を配ったりし、けっこう多くの人がもらってくれました。
菊池 かき氷を作っていて、お子さん連れのほうが売れることがわかったので、親子連れが近くに来たら「かき氷いりませんか」と声を掛けるようにしました。
和賀 本部前を通る人に、アンケートに答えれば抽選ができるということを声掛けしました。
佐藤和 当日以外にもポスターやテレビ出演などでたくさん呼び掛けをしました。
市長 やっぱり自分で呼び込んでお店に入ってもらったり買ってもらったりするとうれしいでしょ。商売、仕事は、自分の真心を訴えるということ。「これをぜひ買ってください」「おいしいですよ」と。それに応えてくれる人がいると非常にうれしいんだよね。こうしたことは今までに体験のないことだと思いますが、どうでしたか?
菊池 ドキドキして不安も同じくらいありました。
和賀 不安もあったけれど頑張りました。
佐藤和 初めてだったので、どうなるのかという不安が今までに感じたことのないぐらいありました。 
市長 皆さんは学校でいろんなことを習っているわけだけれど、実際やってみるとまた違うでしょ、楽しさが出てくるよね。お家の人は何か言っていましたか?
和賀 「実行委員長をよくやれたなぁ」って言ってもらえました。
佐藤裕 「一人でよくやってきたな」と言われました。
佐藤和 楽しかったし、親も来て「高校生がこんなに大きいものをつくってすごいな」と言ってくれました。 

反省を生かしてより良いものを

市長 準備がいろいろ大変だったでしょう。その辺の苦労はどうですか?大東高等学校2年 和賀彩佳さん 「みんなが支えてくれたから、実行委員長を最後までやり遂げられました」
佐藤和 準備の過程で、みんなの気持ちを一つにまとめることと、すべてのことが初めてだったので何をして良いのか分からずに取り掛かりが遅かったので苦労しました。
菊池 やはり個人個人意見が違うので、それをまとめるのが大変でした。
市長 そうですか。考え方はみんな違うからね。でもあれだけの大きな出店から何からたくさんあったのによく準備しましたね。よくやったと思ってますよ。
佐藤和 良かった点と課題点が自分たちでそれぞれ見つかりました。またやりたいので、その機会に今回出た課題を改善していきたいと思います。
市長 だんだん良いものにしていきたいですね。
 当日はさまざまなイベントも行われましたね。そのことについてはどうですか?
大東高等学校2年 菊池冴子さん 「積極的に行動する気持ちを忘れずに成長していけたらいいなと思います」菊池 大東高校の鹿踊りや藤沢高校のよさこいソーラン、みちのくプロレスなどさまざまなイベントで盛り上げていただきました。その人たちとも交流ができたと思います。
市長 もう少しこういうのをやればよかったとか、こうあればよかった、といった反省点はありましたか?
菊池 接待で、相手の方がいらしたときに気が付かずにいたりしたことがあったらしいので、そこを直せばと思います。
菅原 今回のフェスタはやはり規模が大きかった分、人手もいっぱい必要だったのですが、事業を起こすというか、主催者である高校生たちが出店とかをやったほうが良かったと思いました。
市長 人に頼まないで自分たちでということ?
菅原 材料なら材料を受け取って調理したり、業者さんから受け取ったものを売ってみたりすることをやってみても面白いんじゃないかと思います。去年のフェスタではそういうのがあったので。
市長 自分たちでできればなお楽しいね。それもあるかもしれないなぁ。
菅原 それから、去年のチャレンジフェスタでは話し合いの回数が多かったのですが、今回は少し足りなかったと思います。
市長 もっと話し合って意思の統一を図るべきでしたか。学校も離れているから集まるのは大変なんだよね。
菅原 次回はもっと高校生を集めて、さらに大きいイベントにできたらいいなと思います。
市長 みんなで仲間を誘い合って、もっとにぎやかにやれるといいですね。
 参加してみて、今までの自分が変わった、あるいは何か新しい夢が開けたとかはありますか?

フェスタの経験通じ成長を実感

菅原 今まであまり学校行事には積極的に参加していなかったんですけれど、フェスタでいろいろな人と接する機会を得たことが楽しかったです。大東高等学校2年 佐藤和泉さん 「その場限りでない、その後も友達の関係でいられるような交流の機会を」
市長 何か今までの自分に無いものを得ましたか?
菅原 人と接する行事に参加する意欲が今までは少なかったのですが、そういう意欲が持てるようになりました。
和賀 実行委員長と言われた時に「できるかな」と思いました。でも、みんなが支えてくれたから最後までやることができたと思っています。
市長 実行委員長になり、自分が責任を持ってやらないといけない。これは素晴らしい体験だったね。そのことで、自分に今までないものを何か発見できた?
和賀 積極的に発言できるようになってきました。
市長 やればやれると思った、それは大きなプラスだよ。
佐藤裕 今回一関工業からは一人での参加でしたので、忙しすぎて楽しむ余裕がなかったです。ほとんど本部で音響の仕事をしていたんですけど、みんなの姿を見ていて、楽しそうに仕事しているなぁと思いました。
市長 一人で参加したのはえらいじゃない。どうだった。どうしようかなぁと思いましたか?
一関工業高等学校2年 佐藤裕太郎君 「一関市自体に明るい印象を与えられる催し物があれば良いと思います」佐藤裕 不安が大きかったですが、やってみたら思うほど不安なことはなかったです。
市長 それは良かった。一つ壁を乗り越えましたね。一人だと引っ込み思案になってしまうことも、やってみれば結構やれるという。
佐藤和 どこがというふうにはよくわからないですが、自分の何かが少し成長できたのではと思いました。
市長 いずれこれは学校と違って実社会の一つになるわけだよね。まだみんな学生だから本当の実社会ではないけれど、体験としていろいろ勉強になったと思います。学校で習っていることと比べてどうでしたか?
佐藤和 実践で、今までの授業と重なる部分があったので、自分のためにもなったし、今後の授業にも役に立つと思いました。
菊池 私の担当では子どもと接することが多くて、子どもと話したり、笑顔を見られたのはとても楽しく、こちらも素直に笑えるようになりました。
和賀 本部で何かあった時のために待機していてけっこう大変だったけれど、いろいろ手助けすることもできたし良かったです。
市長 学校で習っているものとも違う意義がいっぱいあったっていうことだなぁ。それが一つの大きな点です。学校では基礎を習いますが、ああいう所では応用編なので、その時に応じてパッと処理しなければなりませんからね。
 さて、それでは若い皆さんに、これからのまちづくりについて、考えを聞かせてください。

交流の場でより良いまちづくり

佐藤和 交流できる場が今の時点では少ないので、それを若者でどう変えていくのかが今後の一関市の課題だと思います。私たちも積極的に協力していき、一関のまちを明るくしていきたいと思います。
菊池 今、大人と子どものかかわりが少なくなっているし、交流の場も限られていると思うので、それを自分たちで変えていきたいと思います。千厩高等学校2年 菅原美郷君 「もっと高校生を集め、さらに大きいイベントにできたらいいなと思います」
菅原 交流をやらないと良いまちにならないので、いろいろなイベントなどを増やしていくことで、若者たちが住みやすいまちになっていくのではと思います。
和賀 やはり交流する場が少ないと思うので、もっと増やせばいろいろな人との交流が深まると思います。
佐藤裕 交流の場を設けることに加えて、一関市自体に対し明るい印象を他の県や市の人たちに与えられるような催し物があれば良いと思います。
市長 交流の場が少ないというのは確かだね。私も、これからは交流人口をどんどん増やしていくことが必要と思って取り組んでいるところです。
 チャレンジフェスタも立派な交流をつくったよね。ただ、遊ぶところでの交流もあるだろうし、いろいろあるよね。交流というのはどういう内容を皆さんが目指しているのかな。
菅原 高校生同士とか大人とか子どもと遊べるような交流です。
浅井東兵衛一関市長 「自信を持って思い切りやってみる。その経験を地域づくりにつなげてほしい」市長 地域の人たち同士の?
菅原 地域の人たち同士でもですし、他県の人たちとも交流できたら良いと思います。
和賀 年代に関係なく、主催する人も来る人も楽しめるようなものがあったら良いと思います。
佐藤裕 世代に関係なく楽しめるようなものがいいです。
佐藤和 交流した時にその場限りの付き合いとなるのではなく、その後少しでも友達の関係でいられるような交流です。
菊池 必ずその場に来た人全員と話すことができる交流。そうすれば、その場に自分の知らない人もいなくなるし、また会った時もしゃべることができます。来た人全員と友達になれるような交流です。
菅原 限られた個人個人でなく、いきなり知らない人と会ったとしても話したりできるような、人と人との交流がしたいです。
市長 それには自分から積極的にどんどんと話しかけていく、来るのを待っているのではなく、こっちから出て行く積極性も必要になりますね。その意味からも、皆さんは今回いい経験をしたと思います。
 皆さんは、このチャレンジフェスタの経験を今後の自分にどう生かしていきますか?
菅原 今回は前回と比べて多くの人が来てくれたので、人と人とが接するという機会をちゃんと得ることができました。自分たちがお客さんに対して積極的に接したことなどは、学校や家などでも応用できると思うので、生活の中で生かしていきたいです。
和賀 自分の意見を少しずつ積極的に言えるようになってきたので、これからもいろいろな場で自分の意見を言っていけたらいいなと思います。
佐藤裕 みんなで頑張るということ。これからも、このようにみんなで頑張れるような行事を提案していきたいと思います。
佐藤和 今回の機会で人をまとめる力が少しでもついたと思うので、部活やさまざまな場面でもこのような力を発揮していきたいと思います。
菊池 このイベントを通して積極的に行動することが、少しずつだけどできました。これからもその気持ちを忘れないで成長していけたらいいなと思います。
市長 そうですね。学んだことは自分で前にどんどん出していかなきゃいけない。
 そして、やはり皆さんが人と人とのつながりが希薄だと感じ、何とかしたいと思ったことも一つの前進です。室根山の中腹、目の前にのどかな牧野が広がるすばらしい環境の中で親しく意見を交わした浅井市長と高校生の皆さん
 私が若い人に一番期待していることは、一人一人が伸びてもらいたい、ということ。一つ経験を積んだら一段上がる、そこでもう一つ経験したらもう一段上がる。みんながそうやることで初めて立派な地域づくりになります。一人一人が良くならないと全体が良くならないからね。みんなは本当に良い経験をしましたよ。どうかそれをもっともっと明るい地域づくりにつなげて、たくましい生き方をどんどん身に付けていってもらいたいです。自分に自信を持って思い切りやってみること。今回勉強したことを直ちに実行してくださいね。そうすることによって伸びると思います。
 皆さんに大いに期待していますよ。 来年はもっと大きく、さらに良くなった、となるように頑張ってもらえればと思います。
 今日はありがとうございました。
高校生 ありがとうございました。

ささえた人たちから

昨年に続き2度目の出店 ㈲一関ミート 石川聖浩さん(40) 「このフェスタは手づくりの感じがあっていいですね。会場の既存の施設をうまく活用し、イベントの企画など集客にも工夫が見られて、昨年からの成長を感じます。
 物産業者として参加した私たちも含め、子どもたちを育てるという意味で、周りの大人がいい方向に導いてやれればと思います。
 高校生には、大人とのつきあい方を学んだり、地域を見つめ直したりするいい機会。この経験を、何年かして自分が社会に出て行くときの糧にしてもらいたいですね」

生徒たちの指導に携わった 大東高商業研究部顧問 川原佳訓教諭(30) 「昨年の『にぎわいど市』参加がチャレンジフェスタ開催のきっかけになりました。
 2回目の今年は、昨年の反省も踏まえて準備、運営に当たりました。地域の人たちの協力もいただき、生徒たちにとって大変やりがいのある事業に取り組んだと感じています。
 多くのお客さんの積極的な参加に支えられて目に見える成果が実現でき、生徒たちは達成感を得ました。生徒たちには、学校の中だけでなく、さまざまな人との出会いの下、地域の人たちと一緒に活動する経験を通じて成長していってほしいと願っています」

(広報いちのせき平成19年9月1日号)