浅井東兵衛市長 台風9号ならびに9月17日からの洪水により被害に遭われた皆様には、心からお見舞い申し上げます。
 昔から、二百十日、二百二十日は台風襲来の時期といわれています。60年前、この地方に2年連続でカスリン・アイオン両台風が襲来し、未曾有の被害をもたらしたのも二百二十日過ぎでした。
 「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という言葉の通り、人の痛みは時間とともに薄れます。災害もまた同じ。まして長い時間が経てば、体験者が少なくなり、これも忘れ去られる要因の一つでしょう。また、「災害は忘れたころにやってくる」ということわざもあります。過去の大きな災害の記憶は、風化させてはならないのです。
 アイオン台風で一関の市街が大きな被害を受けたあの日、私も大町にあった自宅2階の屋根で一晩を過ごしました。足元の恐ろしい濁流と比べて、こうこうと輝く月が誠に美しかったのをよく覚えています。
 災害が起こる地域は地形的な要因があり、いわば起こるべくして起こっているのです。いかに堤防が整備されたといっても、そのような条件の中で暮らしていることを忘れてはなりません。自然の力は時として人智の及ばぬもの。備えを常に忘れてはならないと改めて思うこのごろです。
  

(広報いちのせき平成19年10月1日号)