建物・農作物などに被害

北上川が増水し、大量の水が流れ込んだ一関遊水地(9月18日午後2時ごろ、舞川地内から)籠止め・月の輪工法で堤防を補強する水防隊員(9月18日午後12時30分ごろ、花泉町老松地内)

 9月7日に東北地方を縦断した台風9号および9月17日から降り始めた秋雨前線に伴う大雨は県内に大きな被害をもたらし、当市では負傷者があったほか、北上川などの水位上昇による住居への浸水や農地冠水、道路の通行止めなどで大きな被害を受けました。

 台風9号での降り始めからの総降雨量は、栗駒山で285ミリ、一関で135ミリ、大東町中川で139ミリ、千厩町千厩で82ミリ。瞬間最大風速は、消防本部観測で7日午前10時21分に28.1メートルを記録しました。
 北上川での最高水位は、狐禅寺で8.75メートル、諏訪前で7.68メートル、七日町で7.44メートルとなり、各観測点ともはんらん注意水位を超えました。
 市は7日午前5時30分、大雨、洪水警報の発表に伴い災害警戒本部・支部を設置し、水位などの情報収集や河川、急傾斜地などの警戒巡視を実施。同11時には災害対策本部・支部に切り替え、被害への対応や住民への広報、自主避難所の開設などに当たりました。
 市内6地区で21世帯47人が6施設に自主避難。JR大船渡線が終日運休となったほか、道路の通行止めなどで市民生活に影響を及ぼしました。
 9月20日現在の被害状況は、屋根からの転落により1人が重傷を負い、建物被害は住宅の半壊や床上浸水など17棟、住宅以外が9棟、16世帯46人が被災しました。また、水稲、野菜、果樹などの農地619ヘクタール、ため池など農業用施設338カ所、河川、市道などの公共土木施設509カ所など、市全域にわたり被害を受けました。

 9月17日から18日にかけては、発達した秋雨前線に伴い、奥州市以北の県内陸部を中心に長時間にわたって降り続いた大雨のため、北上川が増水しました。
 北上川の最高水位は、狐禅寺で12.18メートルと近年では平成14年の6号台風(13.51メートル)に次ぐ水位を記録したのをはじめ、諏訪前ではんらん危険水位の8.70メートルを越える10.18メートル、七日町で9.75メートルとなりました。
 市は17日午後5時、災害警戒本部・支部を設置し、水位情報の収集や広報活動を行い、18日午前6時災害対策本部・支部に切り替え、水位情報などの提供や避難者への対応、水防対策などを行いました。
 安全確保のため、川崎地域で避難指示を出し8世帯30人が川崎農村環境改善センターへ避難したほか、一関地域で避難勧告を出しました。
 9月26日現在の被害状況は、一関、花泉、川崎地域を中心に床上浸水2棟、床下浸水10棟などにより13世帯45人が被災。916ヘクタールの農地の冠水などにより、収穫目前の水稲など農作物や農業用施設71カ所などが被害を受けました。
 交通機関では、JR大船渡線が増水により運休。県道、市道の冠水などによる通行止めで市民生活に影響がありました。
 これら二つの災害により被害を受けた公共土木施設、農業用施設などの復旧については、応急対策を実施していますが、今後さらに調査を行い、その対策を進めていくこととしています。

固定資産税の減免について

 災害により土地、家屋などに被害があった人に対して、固定資産税を減免する制度があります。詳しくは問い合わせください。
■土地
 災害により地形を変じたり、作土を損傷して宅地や農地としての利用価値を減じた場合、当該土地での被害面積の割合に応じて減免
■家屋
 災害により著しく損傷を受け、家屋としての利用価値を減じた場合、損傷の程度により減免
■償却
 災害により著しく損害を受け、償却資産としての利用価値を減じた場合、家屋の規定に準じて減免

※該当することになった日以後に到来する納期に係る固定資産税の額に減免の割合を乗じて得た額に相当する額を減免するものです。

 

(広報いちのせき 平成19年10月15日)