鈴木功教育委員長が平成29年2月21日、第60回市議会定例会で述べた教育行政施策の要旨をお知らせします

「学びの風土を礎に 心豊かにたくましく
   郷土の誇りを未来につなぐ 一関の人づくり」に向けて

今日の教育を取り巻く環境は、多様に変化しており、学校教育においては、グローバル人材の育成、キャリア教育の推進、子どもの状況に応じた特別支援の充実、いじめ防止等の対策、人格形成の基礎を培う幼児教育の振興など、教育の質の向上が求められております。
また、市民の学習意欲の高まりに応じた多様な学習機会の提供や、先人から受け継ぐ文化財を保護し、活用することが求められております。

教育の使命は、地域社会を担っていく人材の育成であると考えるところであります。
特に、少子化が進む中にあっては、教育の重要性がますます高まっていると認識するところであり、生涯にわたって学ぶことができる環境づくりを進めることで、地域の発展と文化の向上につなげてまいりたいと考えております。 

平成29年度は、平成37年度までを計画期間とする教育振興基本計画の2年目となります。この計画の目標に掲げた「学びの風土を礎に 心豊かにたくましく 郷土の誇りを未来につなぐ 一関の人づくり」この実現に向けて、4つのプロジェクトを重点としながら、計画の着実な推進を図ってまいります。

   それでは、4つの重点プロジェクトから、申し上げます。

1.「ことばを大切にする教育プロジェクト」

「ことばと読書」「ことばの響き」「ことばの先人」を柱として、子どもたちに、語彙の豊かさ、ことばの感性、心の豊さを育むことを目指す「ことばを大切にする教育プロジェクト」であります。
「ことばと読書」については、学校図書館と市立図書館との連携や読書普及員の配置により、児童生徒の読書活動を推進してまいります。
「ことばの響き」については、幼稚園等や小学校で「ことばの時間」を設定し、ことばの力を育て、心の豊かさを育んでまいります。幼児期の「ことばの時間」については、本年度、5つのモデル園で試行した内容に改善を加え、市立の幼稚園、こども園の全園と4つの保育園、合計17園に拡大して実施します。
また、小学校においては、俳句、短歌、詩などの美しい言葉や当市ゆかりの先人を取りあげて、独自に作成した「ことばのテキスト『言海』」を使用し、実践指定校6校で音読に取り組みます。
「ことばの先人」については、博物館学芸員を学校に訪問させて、ことばを通じて人々に大きく影響を与えた先人を学ぶ授業を行い、郷土を知り、郷土への誇りを育んでまいります。


2.「グローバル人材育成プロジェクト」

グローバル化していく現代社会に対応できる人材の育成を目指す「グローバル人材育成プロジェクト」であります。
キャリア教育につきましては、「地域に学ぶ、地域が育てる」という視点に立って、引き続き中学生社会体験事業に取り組みます。
さらに、中学生最先端科学体験研修の実施や外国語指導助手を幼稚園、小中学校に派遣し、英語力の向上を図るなど、多様な人との関わりを通して、創造性やチャレンジ精神、国際理解などグローバル社会の中で求められる力を培って
まいります。
また、多文化共生、多様な価値観を理解するうえで土台となる子どもたち自らのアイデンティティーを確立させるため、郷土の先人や歴史・文化を題材にした学習を進めてまいります。


3.「学校と地域の協働推進プロジェクト」

地域とともに歩む学校を目指す「学校と地域の協働推進プロジェクト」であります。
学校の情報や活動の様子をホームページで発信するとともに、保護者や地域住民が学校運営に参加する取組などにより、開かれた学校づくりを進めます。
また、豊富な社会経験を持つ地域の方々に、ゲストティーチャーや学校支援ボランティアとしてご協力いただき、その経験を学校教育に生かすなど、地域社会全体で子どもたちの健やかな成長を育む取組を進めてまいります。


4.「世界遺産拡張登録推進プロジェクト」

骨寺村荘園遺跡の世界文化遺産拡張登録を目指す「世界遺産拡張登録推進プロジェクト」であります。
骨寺村荘園遺跡の調査研究を進め、県・関係市町との連携のもと、文化庁に提出する世界遺産拡張登録に向けた推薦書案の作成に取り組みます。
また、地域住民と協働で重要文化的景観「一関本寺の農村景観」の保全活用に取り組むとともに、骨寺村荘園遺跡の理解を深めるための連続講座を開催するなど、世界遺産拡張登録の気運を醸成してまいります。

     

このほか、学校統合につきましては、平成30年4月の新生千厩小学校の開校及び本寺小学校と厳美小学校、本寺中学校と厳美中学校それぞれの統合に向けて、新千厩小学校の校舎、屋内運動場等を整備するほか、厳美小学校駐車場の拡張など環境整備を行います。
また、花泉地域の統合小学校整備に係る基本構想等の策定や、東山小学校の新校舎建設に向けて実施設計に取り組んでまいります。
幼稚園につきましては、安心して子育てができる環境の整備と待機児童解消の一助として、新たに全ての市立幼稚園で預かり保育を実施いたします。

 

「社会を生き抜く力を育む学校教育の充実」

◆確かな学力の育成
算数・数学を重点教科に位置づけ、学習支援員の配置による指導や、標準学力検査等の結果を分析したリーフレットの作成を通じて、各学校の「わかる授業」づくりを推進し、児童生徒の学力の向上を図ります。
また、学校が家庭と連携し、児童生徒にしっかりとした家庭学習の習慣が身につくよう、その取組を推進します。
さらに、大学の教授等を講師に、算数・数学の研修会を開催するほか、指導主事や学習指導専門員を学校に派遣して指導を行うことにより、教員の授業力の向上に努めてまいります。

◆豊かな心の育成
道徳教育や福祉・ボランティア教育を充実させるとともに、積極的に自然体験、社会体験活動を取り入れます。
また、家庭、PTA及び他の教育機関と連携し、あいさつの推進など共通の目標を設定しながら、子どもたちの社会性を育んでまいります。

◆健やかな体の育成
体育授業を一層充実させていくほか、小学校での休み時間を利用した、なわとびやランニング、中学校での運動部活動など、運動の機会を増やす取組を推進します。
また、スポーツ少年団活動と連携しながら、運動能力と体力の向上に努めてまいります。

◆学校給食
安全安心な給食の提供に努めるほか、地場産品や「もち」などの郷土食の提供、授業における栄養指導などを行い、食育の充実を図ってまいります。


◆社会の変化に応じた教育
家庭との連携によりインターネット等の安全利用など、情報モラルが身に付くよう指導していくほか、復興教育、主権者教育に取り組んでまいります。

◆特別支援教育
幼児期からの就学相談体制の充実を図るとともに、幼稚園には、きめ細かな指導支援員を配置し、集団生活への適応を支援してまいります。
また、全国的な傾向ではありますが、特別な支援を必要とする子どもが増加していることを踏まえ、小中学校に配置する学校サポーターを増員し、一人ひとりに応じた支援の充実を図ります。

◆学校適応指導
不登校児童生徒の減少に向け、教育相談員による学校訪問や適応支援教室「TANPOPO広場」における学習支援活動、適応支援相談員による相談活動等を通じ、一人ひとりの状況に応じて、きめ細かに対応してまいります。

◆いじめへの対応
各学校の「いじめ防止基本方針」に基づいた組織的な対応により、いじめの未然防止・早期発見・早期対応に努めるとともに、一関市いじめ問題対策連絡協議会の開催などを通じて、関係機関との情報共有や連携強化を図ってまいります。

◆幼稚園
引き続き、小学校と密接に連携し、就学前教育の充実を図るほか、低所得者層への教材費等の補足給付により、子育て世代を支援してまいります。
このほか、幼稚園児数が減少傾向にあることから、こども園化など幼稚園の配置のあり方を検討してまいります。

◆学校安全
放射能汚染対策として、引き続き、学校施設や給食食材等の放射線量を測定します。
また、スクールガードリーダーの巡回指導や地域ボランティア等の見守り活動の協力をいただきながら、登下校時における児童生徒の安全を確保してまいります。 

「ともに学び、まちとひとをつくる社会教育の推進」

◆社会教育
市民一人ひとりが生きがいのある充実した生活を送ることができるよう、生涯にわたる多様な学習機会の提供や、学習活動の促進に努めてまいります。

◆家庭教育
規範意識や倫理観が、家庭での教育やしつけなどを通して育まれるものであることから、命の大切さや我が家のルールなど、家庭で大切にしたいことをとり決める「いちのせきの家庭教育10か条」の普及を図るほか、学校、家庭、地域などの連携により、様々な学習活動を通して、教育の原点である家庭教育を支援してまいります。

◆図書館
市全体の貸出冊数が県内市町村で一番多くなるなど利用が伸びているところであり、今後も図書館サービスの向上に努め、地域の情報拠点としての役割をより高めてまいります。
また、学習ニーズに対応した読書環境の充実に努めるとともに、地域の特色を生かした運営を進めます。
さらに、学校図書館への支援や、乳幼児健診等で司書が読み聞かせを行うなど、館外サービスに取り組みます。

◆博物館
開館20周年事業として、文化庁との共催により、同庁が所有する国宝・重要文化財を含む絵画、武具、陶磁器、書跡などを公開する展示会を開催するほか、一関ゆかりの洋画家・森本草介の作品を紹介する企画展など事業の充実に努めてまいります。
併せて、芦東山記念館、石と賢治のミュージアム、大籠キリシタン殉教公園につきましても、展示の充実を図るなど、身近な場所で地域の歴史・文化が学べる場を提供してまいります。
また、旧東北砕石工場の耐震補強工事を完了させ、公開に対応します。

「誇りと愛着を醸成する文化の継承」

◆文化財の保護
文化財の修繕や保護活動への助成等により、地域の文化財を良好な形で後世に伝えてまいります。
また、市内の指定等文化財を紹介する「一関の文化財」の刊行や標柱・解説板整備により、当市の歴史や文化の理解促進と文化財保護意識の啓発に努めます。
さらに、市が所有する歴史民俗資料や出土遺物を保存・展示するため、平成30年度の開館を目指し、旧渋民小学校校舎を活用した公開施設の整備を進めてまいります。 

おわりに 

当教育委員会の組織は、平成29年10月に地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づき、教育委員会の代表者である「委員長」と、事務の総括者である「教育長」を一本化した新「教育長」の体制に移行となります。
これにより、教育行政における責任の明確化が図られることとなりますが、教育委員会議の合議的性格は変わらず、教育の政治的中立性、継続性、安定性を引き続き確保してまいります。 

以上、平成29年度の教育行政施策の概要を申し上げましたが、各施策の推進にあたっては、学校、家庭、地域、企業、行政が共通理解のもと、当市の教育行政に携わる全ての関係者の連携・協働が必要であります。

当教育委員会といたしましては、地域資源を生かした教育行政施策を進め、一関の伝統を未来に引き継ぎ、新たな創造を加えて参りたいと考えておりますので、議員の皆様、市民並びに教育関係者の皆様のご理解、ご協力、ご指導を心からお願い申し上げます。