人との巡り合いを求めて 新たな出合い待つ本の山

千厩図書館友の会
古本市開催に向け、楽しみながら準備を続けるメンバー

千厩図書館裏の倉庫の中に、山と積まれた段ボール箱。

中身は次の出番を待つ数千冊の古本です。

これからジャンルごとに分類、整理され、5月29・30日に行われる「古本市」で、手に取り読んでくれる新しい「持ち主」に巡り合うため、友の会メンバーが準備を進めています。

現在の千厩図書館は平成14年4月オープン。

「千厩図書館友の会(菊地保会長、会員50人)」はその翌年2月、千厩図書館の活用促進と充実を目指し、サポートするボランティアグループとして結成されました。

友の会の主な事業は、▽年2回開催している『古本市』▽企画展示や講演、イベントなどを行う『図書館まつり』▽月1回、手書きにこだわって作成する会報『ひだまり』の発行▽県内・近県の図書館や文化施設等の視察研修―など。

「千厩図書館とともだちになる。千厩図書館でともだちになる。」をモットーに、自分たちの手で図書館を盛り上げる活動を行っています。

これまでに13回催され、同図書館にすっかり定着した人気イベント、古本市。

「家では読まなくなったから、欲しい人に読んでほしい」と、年中持ち込まれる本は絵本や文庫本、マンガや月刊誌、図鑑や年代物の資料本などさまざま。

ほとんどに10円から200円の値段が付けられ、古本市で販売されます。

開催日には開館前から行列ができるほどの人気で、北上市や大船渡市、気仙沼市など市外にも多くのファンがいます。

子供連れ客も多く、絵本は初日の朝には売り切れる人気のジャンル。

雑誌や趣味の本も人気が高く、時には「源氏物語全集」や「宮沢賢治童話集」、図鑑や人気コミックのセットなどの掘り出し物が出たことも。

売上金はすべて同図書館に寄贈する児童図書などの購入費に充てられ、これまでの合計額は86万円に上ります。

菊地会長は「提供された本が古本市で買われ、読み終わってまた古本市に提供される。繰り返し3回古本市に並んだ本もあります。絵本が欲しい人が多いので、読まなくなった絵本があれば提供してほしい。今年で100万円を超す勢いなので、達成したらイベントを開催したい」と語ります。

作業に集まった友の会メンバーも「本が好きなことはもちろん、本にかかわり、人とかかわることが楽しい」「自分だけでは巡り合うことがないジャンルの本と出合えた」と、本と人との出合いを楽しみながら活動している様子。

山と積まれた段ボール箱を開けながら、その瞬間に新しい出合いが始まっているようでした。


(広報いちのせき 平成22年6月1日号)