花相撲で地域づくり 願いあふれる女性の力

花相撲のクライマックス。横綱愛宕山の土俵入り
花相撲のクライマックス。横綱愛宕山の土俵入り

「はぁー どっこい、どっこい、どっこいな」の唄声を響かせながら相撲甚句を踊る女性たち。
着物にまわしをまとう姿は勇ましく、そして華やかです。

赤ちゃん相撲でにぎわう中、他では見られない女相撲の土俵入り。
太鼓に続いて拍子木が打ち鳴らされ、呼び出し役が名調子で力士を呼び出します。
幕内力士十数人の土俵入りに続いて大関「弓手川」、関脇「室根山」、小結「三島山」が三役揃い踏みを披露。
その後、行司に続き露払い、太刀持ちを従え、横綱「愛宕山」が入場。
いよいよ横綱の土俵入りです。
かしわ手を打ってせり上がり、四股に合わせて「よいしょ」の声が掛けられる様は力強く見事です。

『愛宕花相撲』は、大正初期に地域の女性たちが長い髪を髷に結い、初午や祭りの呼び物として始めたもの。
その堂々たる姿は大変な人気だったそうです。

横綱土俵入りの後は、甚句に合わせて幕内力士が土俵を回ります。
甚句は昭和25年頃、力士だった人から教わりました。
花相撲が姿を消した28年以降も27年間にわたって、歌い継がれてきたそうです。

そして55年、愛宕神社を移したことに合わせて、地区の女性たちが花相撲を復活させようと千厩出身の力士「高田山」の指導を受けて復活させました。
当時は手作りのまわしをつけたそうです。

愛宕花相撲は、赤ちゃん相撲大会も併せて準備から当日の運営まで、全て女性が主役で男性は裏方。
そのパワーは目を見張るばかり。
地区の活力源になっています。

9年目を迎えた「みちのく千厩赤ちゃん相撲大会」も年々にぎわいを増しています。
今年は震災の影響もあり、「丈夫で健やかに育ってほしい」との願いから多くの参加申し込みがありました。

花相撲でうたわれる甚句の一節は「赤ちゃん相撲バージョン」

金銀珊瑚
     山ほどあれどネー
 勝れるものはノホホエー
        子宝よネー
這えば立てよ
     立てば歩めよネー
 愛し子幸あれノホホエー
       健やかにネー

母として、女性として地域や社会の一員として、子宝、赤ちゃんの健やかな成長、希望を担う子供たちの成長を願ってうたわれています。

結びに、弓取り式が行われ、土俵入りをしめます。
終了後に行われた横綱にだっこしてもらっての記念撮影には、長蛇の列ができていました。

愛宕花相撲保存会(片岡宏子会長、会員60人)
 

(広報いちのせき 平成23年11月1日号)