1 国の動向と地方財政を取り巻く状況

国の平成24年度予算においては、昨年度と同様、「新成長戦略」の目標とする経済成長や国民生活の質の向上を実現するため、ムダづかいの根絶の徹底や不要不急な事務事業の徹底的な見直しにより財源を確保し、必要性や効果のより高い政策に重点配分するという、省庁を超えた大胆な組み替えを行うこと、また、義務的経費等を除き前年度当初予算の90%の範囲内の要求とするなどの厳しいルールの下で概算要求がまとめられたところです。

地方財政においては、「財政運営戦略」の中期財政フレームにおいて、国の歳出の取り組みと基調を合わせることを前提に、安定的な財政運営に必要となる一般財源総額について、実質的に平成23年度の水準を下回らないよう確保するとされていますが、平成24年度から市町村に対しても実施が予定されている「補助金等の一括交付金化」の動向や上記のシーリング、並びに現時点では別枠とされている震災復興財源の確保等のため、今後の予算編成過程における各分野での制度改正等が見込まれるところであり、併せて概算要求が例年より1か月遅れとなっているなど例年にも増して不透明な状況ではありますが、これらの動向を見極めていく必要があります。

2 本市を取り巻く状況と財政状況

本市は、東日本大震災により、市民生活の基盤となる住宅等に甚大な被害を受けるとともに、長引く不況から回復基調にあった地域経済や雇用においても計り知れない影響を受けました。
この震災からの復旧・復興が最優先で取り組むべき課題であり、13万人規模となった市民の力を結集し、この困難に一丸となって取り組んでいかなければなりません。

 ○平成22年度決算
歳入

歳入の根幹である市税が落込んだものの普通交付税の増額によって経常一般財源を前年度並みに確保できたところではありますが、自主財源比率は26.7%と依然として低い状況にあって、地方交付税等に大きく依存した財政体質となっており、平成28年度以降の普通交付税の合併算定替え縮小を見据えた行財政運営が肝要です。

歳出

行財政改革の取り組み等により、義務的経費のうち人件費及び公債費が減少し、財政構造の弾力性を示す経常収支比率は若干改善したものの85.2%と依然として硬直した財政構造となっており、健全化判断比率については、国が示す基準以下であるものの、類似団体の平均を上回っている状況にあります。

○今後の見通し

昨年9月に一関市・藤沢町合併協議会で作成した新市基本計画の財政計画においては、平成33年度までのほぼ毎年度において多額の基金取り崩しを見込まなければならない状況が続いており、総合計画等に基づく事業を実施していくためには、一層の行財政改革を進めていく必要があります。

3 平成24年度予算編成の基本的な考え方

このような状況の下、平成24年度予算については、財政の健全性の確保に留意しつつ、競い合いながら成長していく「競生」、お互いの存在を認め合って共に生きる「共生」、地域経営の主体として市民と行政が協働で取り組む「協生」の3つの「きょうせい」によるまちづくりを基本とし、総合計画基本構想に掲げる将来像「人と人、地域と地域が結び合い 未来輝く いちのせき」を実現するため、重点施策を明確に位置づけ、総合計画及び新市基本計画の着実な推進に努めるとともに、直面する課題や多様な市民ニーズに的確に対応していくこととします。
このため、本年度策定する新たな行政改革大綱及び集中改革プランを着実に実行し、歳出・歳入全般にわたる徹底した見直しにより財源不足額を可能な限り圧縮するとともに、「市有財産活用推進事業」を計画的に実施し、既存施設の長寿命化と遊休資産の民間利用の促進を図るなど、持続可能な財政構造の確立を図っていくこととします。

(1) 平成24年度の重点施策は次のとおりとします。

  1.  「中東北」の拠点都市一関の形成
  2. 雇用対策
  3. 企業育成
  4. 産業振興
  5. 教育・人材育成
  6. 保健・福祉・医療の連携強化
  7. 地域コミュニティの自立支援
  8. 環境対策
  9. 震災からの復旧・復興と教訓を生かしたまちづくり
  10. 骨寺村荘園遺跡の世界遺産登録に向けた取組み

(2) 職員一人ひとりがコスト意識を持ち、必要性・有効性・効率性・公平性の観点から徹底した見直しを行うこととします。
   このため、職員が年齢や役職にとらわれることなく大胆な発想で自由にアイディアを出し合い、その提案を生かして十分な検討を行った上で新たな事業や既存事業の改善を生み出すよう努めることとします。
   併せて、予算執行段階においても経費節減や財源確保に取り組み、インセンティブ予算制度を積極的に活用することとします。

(3) 東日本大震災からの復旧・復興と災害に強いまちづくりについては、平成23年度補正予算と一体的に最優先で取り組むこととします。
   陸前高田市・気仙沼市の後方支援都市として、両市の復旧・復興に向けた取り組みへの支援についても同様に推進することとします。

(4) 藤沢町との合併による新たなまちづくりが始まっていますが、速やかな一体感の醸成と行政サービス水準の均衡化を図るとともに、旧両市町がこれまでに創り上げてきた地域資源を生かしながら、拠点都市としての連携強化と地域間競争力を強化するため、戦略的に事業を実施することとします。

(5) 国・県の補助制度等については、その動向を十分に注視し、安易に継続を見込むことのないよう特に留意するとともに、震災復興や経済対策等の新設・拡充の制度については、後年度負担を考慮しつつ、積極的に活用を検討することとします。

(6) 部局横断的な事業や課題等については、関係課等で十分に協議・調整を行った上で連携して取り組み、円滑な執行を確保するとともに、改めて最小の経費で最大の効果を発揮するよう努めることとします。

(7) 各種の事務事業の推進にあたっては、計画の段階から雇用創出の視点と協働の視点を取り入れ、スピード感をもって実施にあたるとともに、行政の「品質」の向上を図ることとします。

(8) 負担の公平化・適正化を図るため、市税はもとより税外収入についても収納率向上の取り組みを一層強化し、収入未済額の削減に努め、自主財源の安定確保を図ることとします。
   また、公営事業においては、受益者の加入促進に努めるなど、使用料収入等の確保を図ることとします。

 問い合わせ先

本庁財政課財政係