開始時刻9時30分

1 市長発表事項

1 平成29年度一関市当初予算案について
【市長】
(1) 当初予算の推移
平成29年度の予算は、私にとって8度目の予算編成になります。
これまでの予算を振り返りますと、平成22年度の「守りを固めて踏み出す予算」、私が市長に就任した時が、岩手宮城内陸地震からの復旧の最中でした。
守りを固めるという防災関連を重点的に予算措置していこうという思いがありました。
平成23年度予算は「中東北拠点都市への基礎づくり」。
「中東北」というのは、私が市長に就任するにあたって掲げたスローガンでもあります。
22年度には、内陸地震からの復旧の最中ということで、打ち出せない部分もありましたが、23年度は、はっきりと「中東北拠点都市への基礎づくり」という方向性を示しました。
市独自に小学生の医療費の無料化をしました。
磐井川堤防改修を契機としたまちづくりの推進など、中東北の拠点としての基礎を固めました。
24年度は、23年度に藤沢町との合併があり、新たな枠組みで一体的な地域振興を図っていこうということで、「新たな枠組みで力強く踏み出す予算」という名前を付けました。
25年度は、東日本大震災からの復旧復興、復旧を復興に結びつけていくような取り組みに主眼をおきました。
被災者の生活再建、あるいは放射線対策に特に力を入れたところです。
26年度は国際リニアコライダー(ILC)プロジェクトが少し具体化してきた時期でもあります。
ILCを一関の発展の基軸と位置づけようということで世界の人々から親しみを持たれて信頼されるまちを実現するために取り組んでいこうと市民に呼びかけた年度です。
私がILCに関わりを持った平成4、5年当時から世界の人々から親しみを持たれるような、信頼されるような地域、これを作っていくというのがILCの一つの大きな理想の形でもありました。
27年度は、その前から子育て支援をやっていましたが、さらに明確に一関市の最重要課題として子育て支援を市独自の支援策として位置づけました。
一つ一つの点の取り組みではなく、線でつながる、子供の成長段階に応じて支援をしていく一連の施策として高齢化と人口減少社会を踏まえた子育て支援策を位置付けました。
それによって、人口減少のスピードを緩められることができればという思いもあり、「子育て応援予算」という名称を使いました。
28年度は、前年度に公民館から市民センターへの移行。
そして市の体制でもまちづくり推進部の設置という組織改正も行い、本当の意味でのまちづくりを重点的な取り組みとしてやっていこうという思いを込めて、「まちづくり正念場」という言葉を使って予算編成を行いました。
それまで国主導型の取り組みからの転換。
市民が主体となって本当の意味でのまちづくりという大きな転換期にあるということを踏まえて、正念場という言葉を使わせていただきました。


(2) キャッチフレーズと予算の組み立て
29年度予算のキャッチフレーズを「世界を観る眼で 一関を拓く 未来へのかけ橋予算」としました。
この「世界を観る眼で 一関を拓く」というフレーズは私がILC、当時はJLCでしたが、このプロジェクトに関わった当初から当時、指導的立場にあった方がよく使っていたフレーズを使わせていただいて、岩手となっているところを一関と置き換えたもので、了解をいただいています。
私は何かあるとこの言葉をいろいろなところで使ってきました。
いよいよILCが現実のものになろうとしている時でもあり、世界を観る眼、グローバル化、国際化そういう中で一関を発展に導きたい、そして次の世代の子供たちに対して、しっかりとILCというものを引き渡していきたいというかけ橋の役割を担っていければという思いで、このキャッチフレーズにしました。
直面する課題、多様な市民のニーズがあるわけですが、それらに的確に対応していくために「資源エネルギー循環型のまちづくり」への取り組みというものは重要です。
それから「まち・ひと・しごとの創生」への取り組みも重要です。
そして「東日本大震災からの復旧復興への取り組み」も重要です。
これらを特別に重視した予算となります。
予算規模は645億円となり、前年度当初予算額との比較でみると2%ほどを上回っています。
子供たちの未来に残すまちづくりに3つの施策を定めました。もう1つは最優先で取り組むでき4つの施策。
こういう組み立てをしました。
これらの施策を柱として総合計画の将来像に掲げている、「見つけよう 育てよう郷土の宝 いのち輝く一関」の実現に向けてまち・ひと・しごと創生総合戦略との整合を図りながら、着実に計画を推進していきたいと思います。


(3) 子供たちの未来に残すまちづくり
1つ目は「ILCを基軸としたまちづくり」です。
ILCは東北のみならず日本の未来を大きく変える可能性を秘めた夢のある大きなプロジェクトです。
と同時に日本が国際貢献できる数少ないプロジェクトでもあります。
そのため政府に対して早期に誘致を表明するよう、今後も要望をしていきたいと思います。
政府、日本が最終的に日本でやるという意思表示が遅れると、世界から日本に対する信頼を損なうということにもなりかねない、あるいは日本に対する求心力を失いかねない、そういうことを懸念しています。
ILCの実現に向けて一層の普及啓発に取り組むとともに地元の熱意を国内外に広く情報発信していきたいと考えています。
子供たちの未来に残すまちづくりへの施策の2つ目です。
「資源エネルギー循環型のまちづくり」です。
ILCを基軸としたまちづくりと併せて資源エネルギーが循環するまち、エネルギーの地産地消を目指した取り組みを進めていかなければなりません。
資源エネルギー循環型まちづくりビジョンにおいて、まちづくりの方向性として掲げた「いかす・つくる・つなぐ 資源エネルギー好循環のまち一関」の実現に向けて廃棄物の資源化、それから新エネルギーの活用を促進していきたいと思います。
一関は、昨年岩手県内では初めてバイオマス産業都市として選定を受けました。
この施策を進める上で何としてもこのバイオマス産業都市を一関市として獲得したかったのです。
それが計画通りに認められたということであり、今後はこれを確実に実行に移していきたいと思います。
市内のバイオマス資源エネルギーによる循環型社会への構築、これに向けて様々な分野からもご意見をいただきながらバイオマス産業都市構想の具体的な取り組みを推進していきたいと思います。
主な取り組みを紹介しますと、資源エネルギー設備の設置について、対象となる設備を拡充して補助するとともに、新たに市民による集材活動、薪づくりの組織化をはかるための人的支援や薪ストーブ購入設置費に対する補助を創設していきたいと思います。
また、当市から使用済み小型家電の回収金属で東京オリンピックメダルを作ろうと関係機関に提案をしてきたところです。
昨年、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に提案。当初は一関市だけで提案したのですが、翌年からは八戸市、大館市の3市で共同提案のかたちに切り替え、提案してまいりました。
その提案に対してオリンピックの組織委員会は国民参加型のプロジェクトとして取り組むことを決定したところです。
これを機に環境意識の向上をはかって、小型家電リサイクルや資源集団回収事業などの活動を市民運動として展開して廃棄物の減量、資源化に向けた取り組みを推進してまいりたいと思います。
昨日、上京してメダルの関係ではありませんでしたが、松尾芭蕉の「奥の細道」。あのコースを聖火リレーのコースにしてもらえないかということで、一関市も平泉町と共に構成メンバーなっている奥の細道サミットの構成自治体でオリンピック組織委員会に聖火リレーのコースの要望にいってきたところです。
この金メダルについても一関の現在の取り組み状況等を説明してきました。
この資源循環型まちづくりについては、これまでの廃棄物減量の取り組みに加え、新たに食品ロス。食べることができるにもかかわらず廃棄されている食べ物の削減に向けて啓発活動を推進してまいりたいと思います。
子供たちの未来に残すまちづくりの施策の3つ目です。
「世界の『財産』を目指すまちづくり」と見出しをつけています。
一関平泉エリアには、地域資源を生かしたプロジェクトもまちづくりの大きな柱となってくると思われます。
平泉の文化遺産が世界遺産に登録されました。
そして平成25年には和食がユネスコ無形文化遺産に登録され、その中で当市のもち文化が地方に伝わる食文化として大きく取り上げられました。
昨年の11月には照井堰用水が「世界かんがい施設遺産」に登録、さらには当地方のもち食文化が農林水産省の「食と農の景勝地」に認定されました。
これらは先人たちが大切に守り伝えてきた地域の財産であり、この財産をしっかりと受け継いでそして確実に後世へ伝えていかなければならないものです。
照井堰用水については子供たちへの教育の場としての活用の支援をしていきます。
食と農の景勝地については当地域の食文化を生かして外国人旅行者の誘致を進めるように関係機関と連携をはかると共に、市民の皆さんの参画をいただきながら取り組んでまいります。
併せて近年急増している訪日外国人旅行者の当地方への誘客をはかって、観光客の旅行スタイルの変化などに対応するために平泉町と共にDMOの設立に向けた取り組みを進めています。
栗原、登米、平泉、あるいは秋田県の湯沢市、東成瀬村と連携した取り組みも進めてまいりたいと思います。
一関・平泉を中心としたこのエリアは極めてコンパクトなエリアですが、このエリアに世界に誇れる多くのプロジェクトがこれから具体的に動き出すことになります。
観光や農業というくくりではなく、多様な関係機関との連携、そして市民レベルでの参画これが重要です。
一丸となって取り組んでいけるように上手くリードしていきたいと思います。


(4) 最優先で取り組むべき施策
まず1つ目は、まち・ひと・しごとの創生のうち、仕事づくりです。地方からの若者流出に依然として歯止めがかかっていません。
これが人口減少の要因の1つになっていますが、若者の流出をいかに抑制していくかということが大きな地域課題です。
当市でも進学や就職を機に若者が地元から離れる傾向が続いていることから若者の地元定着を一層図っていくために地元産業の成長をサポートして若い世代の雇用の受け皿を確保することが不可欠です。
企業誘致だけでは不十分だと認識しています。
また、雇用の大きな受け皿として仙台圏も視野に入れた大きな枠組みで雇用の場の確保を考えていかなければならないと考えていますし、企業創業の支援にも取り組んでいく必要があると考えています。
新規、拡充する主な事業は、若者等への就職支援では地域企業魅力発見事業として市内の高校生を対象に少人数での地元企業見学会を開催する。
それから企業向けに説明力、情報発信力の勉強会を開催したあと、企業が自社の魅力をPRする場を設けるようにしていきたいと思います。
いわゆる採用する側の企業において自分達の企業の魅力をいかに若者に情報発信していけるかというあたりも企業の支援の中でやっていければと思っています。
それから企業立地の促進では、狐禅寺地区に3棟目の貸し工場を整備する予定です。起業では、女性、若者の起業を支援していきます。
祭りや地域イベントなどに対する支援になりますが、これは新規として本年6月に全国のハーブのファンが集まり、一関ハーブフェスティバルが開催されます。
実行委員会に対しての支援をしていきたいと思います。
次に2つ目の最優先で取り組むべき施策ですが、人づくりとしての子育て応援です。
当市の人口減少の大きな要因は、出生数が死亡数を大きく下回る自然減です。
全国で昨年の年間出生数が統計調査開始以降初めて100万人を下回ったと推計され、全国的にも一層進んでいる現状です。
一関市の場合はこれまでも各分野が点ではなく線でつながるように子育て支援を重点的に取り組んできたところですが、今後も若い世代の結婚、出産、子育てという人生の中で最も大切な場面をきめ細やかに支援していく、そういう一連の取り組みを強化して切れ目のない支援にしていきたいと考えています。
当市では予防接種の公費助成、あるいは中学生までの医療費無料化、幼稚園、保育所における全ての所得階層での保育料の軽減、第3子以降の無料化、所得の低い世帯への教材費、給食費など実費と徴収額に対する給付を実施していますが、新たに松川保育園を改修して、0歳児の受け入れ環境を整備します。
それから、長坂保育園とげいび幼稚園を統合して認定こども園にするため、必要な園舎の改修を行う実施設計を行います。
また、新たに公立幼稚園で預かり保育を実施します。
小学生が放課後安全に活動できる居場所を確保するために真滝と東山に放課後児童クラブを設置する実施設計を行うとともに千厩地域統合小学校内に放課後児童クラブを整備します。
言葉の力を育てる教育推進事業では公立幼稚園とこども園の全ての園。
それから公立保育園4つの園において、毎日10分程度、言葉の時間を設けて、音読などを行うとともに小学校6校を実践指定校として言葉のテキストを活用した音読活動を行い、言葉の感性や語彙の豊かさ、心の豊かさを養う取り組みを進めることとしています。
子育て教育環境の整備では千厩地域統合小学校の整備、これを継続して進めます。
また、東山小学校校舎建設のための実施設計を行います。また、花泉地域統合小学校の整備に伴う測量調査を実施します。
最優先で取り組む施策3つ目は地域・まちづくりです。
高齢化社会への対応も重要です。特に地域包括ケアシステムの構築と共に健康長寿への取り組みは極めて重要です。健康づくりは地域づくりそのものという考え方のもと、今後も健康長寿への取り組みを進めていく予定です。
医療介護の分野においては、人材の育成確保が極めて重要です。人材の確保、介護技術の習得、職員の定着支援を目的として医療介護人材育成事業を実施していきます。これは継続です。また将来にわたり看護師、介護福祉士などを安定的に確保していく必要があります。そのため医療介護従事者修学資金貸付事業を実施し、医療介護専門職の育成確保を推進していきます。安全に安心して暮らせる環境の整備では、緊急通報整備事業として一人暮らしの高齢者等に対応する緊急通報用端末機器等の更新を進めます。
そして避難場所等の標識整備事業費として非難場所等の見直しによる標識の張り替え、あるいは設置等を進めます。
高齢化が進行する中で、あらゆる分野において高齢者を意識した施策の展開が必要です。
人口減少社会にあって、高齢者は新たな担い手としても期待されているという面がありますので、高齢者が住み慣れた地域でいきいきと自分らしく日常生活を送ることができるように高齢者の生活を支える施策が必要です。
生活習慣病予防と介護予防ですが、介護保険制度の改正に伴い、平成29年度から介護予防日常生活支援総合事業、これを新しい総合事業と呼びますが、そちらへの移行があります。
地域が一体となって、要介護・要支援者を支える地域づくり、地域の実情に応じた介護予防活動を推進していきたいと思います。
地域の見守り体制づくりでは、特殊詐欺が急増していますが、その被害防止に向け警告メッセージや自動録音装置等がついた機器の購入への助成を行います。
また認知症高齢者等見守り体制の充実を図ります。
最優先で取り組むべき施策の4つ目、最後ですが、東日本大震災からの復旧復興です。
放射性物質による汚染問題への対策では、農林業の生産基盤の再生、側溝土砂の除去。これは27か所中、13か所が既に措置済みですが、まだまだ残っていますので、市民の安全・安心に向けた対策に引き続き取り組んでいきます。
農林業の再生へ向けた取り組みについては、汚染された牧草などの一時保管と処分を進めるとともに今後も産地再生に向けた生産農家の取り組みを継続的に支援していきたいと思います。
また、牧草以外の農林業系汚染廃棄物については、一時保管施設での安全管理を継続するとともにほだ木や落葉草については焼却によらない処理を含めて、適切に対応してまいります。


質問
【記者】全て大事な事業だとは思いますが、市長として重点的に配分した部分はありますか。
【市長】一番難しい質問です。子供たちの未来に残すまちづくりの施策、この3つが一番重要だと思いまして特別に3つの項目を前に出しました。
その次に最優先で取り組むべき政策として4つ。
計7つの中から3つを抜き出したということですので、次の世代を担っていく子供たちに何とかして一関というこのまちを残していくため、引き継いでもらうためにしっかりしたまちづくりをやらなければと思います。
一つにはILCがありますし、資源エネルギー循環型のまちづくりもあります。
それから一関平泉の中に様々なプロジェクトがこれから動きだしていきますので、それをしっかり作って引き渡すという役割が私たち大人社会のやるべきことだろうという思いです。

【記者】子育て支援も地域の事業が多くありますが、昨年の県内の待機児童は統計上一関市が一番多いという課題もありました。
子育て支援の思いは。
【市長】昨年から継続していて、重要な項目ですので、考えられることは全て検討して実践に移していこうと思います。
子育て支援策については、一気に全部やれない部分もあり、計画的に確実に一つ一つやっていかなければだめですが、まだ29年度の当初予算に盛り込んだ以外にこれからやっていかなければならないものもありますので、条件が整い次第、前倒しでやっていくようにしたいと思っています。


【記者】ILCに関しては平成29年度中に動きがいろいろ出てくるというようなことも話されていましたが、そういった変化が出てきた段階で、その都度予算で対応していく部分も出てくるのでしょうか。
【市長】動きに合わせて対応していきたいと思います。
政府が29年度中の決定になるかどうかはわかりませんが、29年度中に間違いなく決まっているのは有識者会議からの最終報告が政府に対してなされる。
それを受けて政府が判断するわけですから、そこのところでどれくらいの期間を要するのかということは、はっきり分かりませんが、いずれそう遠くはないだろうと。
したがって政府が判断したらすぐにでも動き出すハード面の部分もありますので、それは今の当初予算に計上している金額では足りませんので、そういうものは、新たに予算措置をしていかなくてはならないと考えています。
【記者】岩手宮城の4首長連携の関係ですが、関係する市町村の首長選挙があるということで年度予算としてどの程度、4市町の枠組みで反映されるのでしょうか。
【市長】少なくとも一関の予算としては特に首長選挙で関係することは特になく、自然体で臨んでいます。

閉会 午前11時00分