若者パワーを結集して東山和紙の里を活性化

「紙すき館」の鈴木さんから昔ながらの紙すき方法を学ぶ参加者

 東山町田河津の紙生里地区は、南北に県道前沢東山線が通り、西には束稲山、その山ろくに住居が点在している地域です。「紙生里」の地名のごとく、「和紙の生まれた里」と言い伝えられてきました。
 「TABASHINE山おこし村」は今年6月、活気が少ない地域の現状に危機感を募らせた束稲集落の若者が中心となって活力ある地域づくりを推進し、人材おこしや産業おこしに取り組み、地域を活性化しようと設立されたものです。
 初代村長に就任した那須野勝久さん(33)は、「設立総会の際に『紙生里に住む人が少しでも増えるような活動にしたい』と話してくれた高校生の姿を思い浮かべると、1年や2年で終わる活動にはできない。次世代を担う子どもたちのためにも自分たちが中心となって何とかしなければ」と決意を話します。
 山おこし村は7月、市の「若者が主役の地域おこし事業」を活用し、束稲地域活性化事業計画「紙生里地名探求事業」への取り組みを本格的にスタートさせました。手始めに、平泉文化に関連があるとされる東山和紙のルーツを学ぼうと8月5日、長坂の「紙すき館」で紙すき工程講習会を開き、「東山和紙発祥の地」のルーツを学びました。町内で二人だけとなった和紙職人の一人、鈴木俊彦さん(73)から原料となるミツマタやコウゾの加工方法、製作工程など紙すきの基本を学び、実際に昔ながらの手法で紙すきを体験しました。講習会の後は、紙生里地区のミツマタ自生地を見学。午後からは束稲生活改善センターで「歴史を探る講習会」を催し、市役所東山支所の佐藤地域振興課長を講師に「紙生里」の地名の由来を学びました。
 今後の活動として、▽地域のお年寄りからの紙すき体験談の収集▽東山和紙発祥をPRする看板の設置▽地域に眠る紙すき道具の収集▽遊休農地での和紙の原料となるミツマタやコウゾの植栽―などを計画。将来的には、紙すき道具などの展示資料館の設置や、紙すき作業場を実際に設置し、東山和紙を利用した商品開発を目指しています。
 「紙すきや地域の歴史を学ぶことを足掛かりにして、世代間交流や地域の活性化を図るため、山おこし村の活動を継続していきたい」と笑顔で展望を語る那須野さんです。

活動メモ

■活動場所…束稲生活改善センターなど
■連絡先…那須野 電話0191-47-2889

(広報いちのせき平成19年9月1日号)