特定健康診査等実施計画の概要

健康で、いつまでも元気に暮らすことはみんなの願い。少子高齢化など、医療保険制度を取り巻く環境が大きく変化する中、誰もが安心して医療を受けることができる制度を将来にわたって持続可能なものとしていくため、「高齢者の医療の確保に関する法律」が制定されました。
この法律を受けて市は、国保被保険者の生活習慣病健診と保健指導などの実施に関する「特定健康診査等実施計画」を作成しました。

国保を取り巻く現状

本市の人口は、平成17年の国勢調査時点で12万5818人、そのうち65歳以上の占める割合は27.6パーセントとなっています。人口は今後も緩やかに減少する一方、65歳以上の割合は増加を続け、27年度には人口が11万7900人程度、65歳以上の割合は30.8パーセント程度となり、高齢化がさらに進むものと見込まれています。
また、死亡数は増加傾向にあります。平成17年の市の主な死因別の死亡率は表1のとおりで、ほとんどの項目で県の数値を上回る状況となっています。
国民健康保険の被保険者は、平成15年から18年度までは5万2000人前後で推移していますが、一人当たりの医療費は増加の傾向にあります。主な疾病の状況をみると、18年5月では高血圧性疾患、腎不全、糖尿病などの生活習慣病に起因する医療費が上位を占めています(表2)。

表1 主な死因別死亡率(平成17年)

順位

死因

死亡率

一関市

岩手県

1

悪性新生物 

353.7

295.2

2

心疾患(高血圧を除く)

193.9

179.1

3

脳血管疾患

162.1

160.9

4

肺炎

145.4

104.5

5

不慮の事故

41.3

39.1

6

自殺

34.2

33.9

7

腎不全

30.2

21.5

8

慢性閉そく性肺疾患

19.1

11.0

9

老衰

11.5

27.3

10

糖尿病

16.7

11.9

※死亡率は人口10万対

表2 国保被保険者の主な疾病の状況と受診者一人当たりの医療費

順位疾病名一人当たり医療費(円)県平均を100とした場合の割合

1

高血圧性疾患

2589

119.7

2

腎不全

1574

104.9

3

糖尿病

1289

119.8

4

統合失調症、分裂病型障害および妄想性障害

1132

87.4

5

脳こうそく

1058

71.6

6

その他の歯および歯の支持組織の障害

947

103.2

7

その他の悪性新生物

770

93.7

8

その他の心疾患

734

97.8

9

虚血性心疾患

555

92.3

10

その他の内分泌、栄養および代謝疾患

479

105.8

※18年5月診療分 

計画の基本的な考え

糖尿病や高血圧症などの生活習慣病の多くは、日ごろの不適切な食生活や運動不足などによる内臓脂肪型肥満が原因となって起こります。これに高血糖、高血圧などの状態が重なった場合、虚血性心疾患(心筋こうそくなど)、脳血管疾患などの発症リスク(危険度)が高くなるといわれています。このため、右の表によるメタボリックシンドロームの該当者や予備群に対し、若い時から運動習慣の定着や食生活など生活習慣の改善を図ることで生活習慣病の予防対策を進め、健康の維持増進を支援することが必要となっています。
市は20年度から、40歳から74歳の国保被保険者を対象として、メタボリックシンドロームの該当者や予備群を見つける項目に着目した健診(特定健康診査)を実施し、その結果、生活習慣病の発症や重症化を予防するための生活習慣改善が必要な人に対し保健指導(特定保健指導)を実施することとしています。
実施計画は、特定健康診査・特定保健指導を計画的に進め、生活習慣病の発症や重症化を予防することで、市民の健康増進を図り、医療費の伸びの抑制にもつなげようとするものです。

内臓脂肪型肥満
おへその高さでの腹囲が
男性85㎝以上 女性90㎝以上

またはBMIが25以上
BMI=体重(㎏)÷(身長(m))2

リスク要因二つ以上該当

血圧値高め
収縮期130mmHg以上
または
拡張期85mmHg以上
血糖値高め
空腹時血糖値100mg/dl以上
または
ヘモグロビンA1c5.2%以上

脂質異常
中性脂肪値150mg/dl以上
または
HDLコレステロール40mg/dl未満

メタボリックシンドローム

特定健康診査
対象者

各年度末で40歳から74歳までの国保被保険者のうち、職場健診を受診する人などを除いた人です。なお、19歳から39歳および75歳以上の人は、従来どおりの健康診査の受診となります。

審査項目

従来の基本健診項目に「BMI」「腹囲」「LDL(悪玉)コレステロールを追加して行います。

特定健康診査の項目(青色は新たに追加された項目)

○質問票
○身体測定(身長、体重、BMI、腹囲
○理学的検査(身体診察)
○血圧測定
○血液検査
 ・脂質検査(中性脂肪・HDLコレステロール・LDLコレステロール
 ・血糖検査(空腹時血糖、ヘモグロビンA1c)
 ・肝機能検査(GOT、GPT、γGTP)
○検尿(尿糖・尿たん白)
○心電図検査(※)
○眼底検査(※)
○貧血検査(※)

※前年度の特定健診の結果をもとに医師が必要と認めた場合のみ実施

実施方法、時期、場所など

これまで実施してきた基本健康診査などとかけ離れないよう留意して実施します。40代や50代といった平日の日中での受診が困難と思われる人については、状況をみながら休日や早朝の健診実施を検討することとし、受診率の向上に努めます。

費用負担

特定健康診査に係る費用は、公費で3分の2を負担し、残りの3分の1を本人が負担いただくことを原則としています。
ただし、20年度の本人負担額は、健診費用の5分の1である1300円(市民税非課税世帯や70歳以上の人は無料)となります。

受診案内

対象者には、4月中に保健センターから「健診日程の案内」「受診票」を郵送しますので、忘れずに受診してください。

特定保健指導

特定保健指導は、特定健康診査の受診結果により、メタボリックシンドロームの判定基準に基づく内臓脂肪蓄積の程度とリスク要因の該当数、さらに喫煙歴を加えた状況に応じて判定を行い(表3参照)、▽動機づけ支援▽積極的支援―が必要な対象者を抽出して行います。
それぞれの支援の対象者への具体的な指導内容は、次のとおりとなっています。
また、支援の対象に該当しなかった受診者には、「情報提供」として、特定健康診査の結果に応じた情報を個々に提供することとしています。

特定保健指導の内容

◇動機づけ支援
 生活習慣改善の自主的な取り組みを継続的に行うことができるよう、次のような支援をします。
○生活習慣改善の必要性の説明
○現在の生活習慣のデメリットの説明
○生活習慣改善の実践的指導
○行動目標や評価時期の設定支援
○体重・腹囲の計測方法の説明
○対象者とともに行動目標・行動計画の作成
○改善結果についての確認

◇積極的支援
 生活習慣改善の主体的な取り組みへの適切な働き掛けを継続し、進ちょく状況や計画の実績評価など、次のような支援を積極的に行います。
○「動機づけ支援」の内容を含む支援
○食生活の分析および改善支援
○運動計画実践の確認および効果の検証
○面接、電話などによる支援、励まし
○3カ月後(中間)、6カ月後(実績)の評価の実施

表3 特定保健指導対象者の階層

腹囲

追加リスク

支援の階層

①血糖②脂質③血圧

④喫煙歴

男85㎝以上

女90㎝以上

二つ以上該当

積極的

一つ該当

あり

動機づけ

なし

男85㎝未満

女90㎝未満

BMI25以上

三つ該当

積極的

二つ該当

あり

なし

動機づけ

一つ該当

計画の目標値

計画では、24年度における特定健康診査や特定保健指導の実施率などを、次の目標により実施することとしています。

◇特定健康診査実施率…65パーセント

現在、国保被保険者の健康診査の受診率は、およそ30パーセントとなっています。特定健康診査の実施に伴い、計画では、24年度にはこれを65パーセント以上とすることとしています。

◇特定保健指導実施率…45パーセント

特定保健指導の対象者への特定保健指導の実施率は、初年度の20年度は20パーセントと見込み、24年度にはこれを45パーセント以上とすることとしています。

◇特定健診などの実施成果(メタボリックシンドローム該当者および予備群)…20年度との比較でマイナス10パーセント
計画の評価と見直し

今回作成した計画は、20年度から24年度までの5年間を計画期間としています。その後は、その成果に関する評価を踏まえて検討を行い、必要に応じて見直ししていきます。

国保加入者以外の健診・指導

特定健診・保健指導は、医療保険者に義務付けられています。 国保以外の医療保険の被保険者および被扶養者は、加入している医療保険(社会保険、組合健保、共済組合など)の保険者が行う健診・保健指導を受けることになります。詳しくは、ご加入の医療保険の事務局に問い合わせください。

※計画書は、本庁国保年金課、各支所市民課、各地区公民館に備えるほか、市のホームページに掲載します。

問い合わせ先
本庁国保年金課国保係 TEL0191-21-8343 または各保健センター

 (広報いちのせき平成20年3月1日号)