ものづくり新入社員スキルアップ
「ものづくり」担い手の育成と交流を目指して
「ものづくり新入社員スキルアップ合宿」は8月22、23の両日、花泉町の花夢パルで行われました。製造業に従事する若手社員のスキル向上と、企業の枠を超えた若者の交流による連帯感の醸成を目的に市が初めて取り組んだもので、市内の企業11社から参加した19人が熱心に学習に取り組み、交流を深めました。
あいさつやマナーの大切さ 社会人の基本を改めて学ぶ
合宿では、はじめにジョブカフェ一関センター長の金野馨さんが、「産業社会の大変革期の中で~仕事のこと、将来のこと、自分再発見!」と題し基調講演を行いました。
金野さんは、グローバル化、高度情報化による現代社会の変化や非正規型雇用の増大、終身雇用制の形化など、企業を取り巻く厳しい状況について説明。「こうした時代に仕事をしていくためには、自分自身で社会を見る目を養うことや自分で考え積極的に行動していくこと、幅広い知識を吸収することなどが大切」と語り掛けました。
続いてビジネスマナー講師や色彩心理インストラクターを務める嶋田佳子さんが、「社会人基礎力養成講座」と題してグループワークと講義を行いました。
グループワークでは、コミュニケーションゲームが行われました。参加者全体を一つの会社に見立て、六つに分かれたグループ(社内プロジェクト)で任意に配られたトランプを時間内に手本どおり集め、全グループが一定以上の得点成果を上げるというもの。最初は戸惑っていた参加者も、より効率よく作業を進めるための工夫や、不足する条件をクリアするための他グループとの交渉や協力などを活発に行うようになりました。嶋田さんは「目標を達成するためのコミュニケーション力や課題解決への自発性は仕事でも大切」と語りました。身だしなみの講義では、「人の第一印象は10秒かからずに決まる。ビジネスマナーでは『人は見かけによる』と考えて」と、仕事での身だしなみの大切さを語りました。
初日の最後は、一関青年会議所青少年育成委員会メンバーとの座談会が行われました。
参加者は、先輩社会人の豊かな経験談に耳を傾け、自分の仕事上の悩みなども語り合うなど、ざっくばらんな雰囲気の中で懇談しました。夜は、夕食会を兼ねた交流会で参加者同士の懇親を深めました。
明るく前向きな取り組みで 達成感が地域の活性化に!
二日目は、前日からの嶋田さんの講義に続いて、ジョブカフェ一関キャリアブリッジサポーターの佐藤栄也さんが「仕事人としての心得」と題し講義を行いました。佐藤さんは、社会人としての自覚やあいさつなどの職場の基本マナー、職場のチームワークなどについて触れ、「仕事は『~だからできない』ではなく『こうすれば、できる』と、いつも明るく前向きに取り組んでほしい」と励ましました。
合宿の最後は、東北日本電気㈱シニアエキスパートの高橋優さんによる講義「ものづくりの面白さ」。高橋さんは、トヨタ生産方式を模した業務改善手法の疑似体験や自社の改善事例の紹介などを行い、「皆さんが各自の会社で改善活動の中心となり活躍してほしい。ものづくりが盛んになることは自身の達成感につながり、それが地域の活性化に結び付く」とこれからを担う若手への期待を語り掛けました。
二日間の合宿を終え、参加者からは「スキルアップにとてもいい講義だった」「コミュニケーションや身だしなみの大切さが分かった」「他社の方々と親交を深めることができ楽しかった」などの意見が寄せられました。
企業・参加者の声
㈱東北マシナリー 製造部長 菅原隆芳さん
「当社では、若手の育成を特に大切と考え、研修会への参加や社内教育に取り組んでいます。この合宿には、コミュニケーション能力をさらに高めてほしいと、5人を参加させました。
参加した社員からは、翌週の最初の朝礼で、『参加してよかった』『勉強になった』という報告が多く聞かれました。今回得たことをきっかけに、さらに伸びていってほしいと期待しています。こうした市の取り組みには今後も必要に応じて参加させたい。その際は実践的な部分をより多く盛り込むと一層身に付く研修になるのでは、と感じました」
㈱日ピス岩手 西城 文さん(21)
「勤め始めて3年目となります。これまで自分の会社のことしか分からなかったのですが、今回の研修でほかの会社の人と交流し、いろいろ刺激を受けました。自分の会社の人にも教えたいと思うことがたくさんありました。
研修では、職場の業務改善などの事例も知ることができました。大変勉強になり、会社での自分の活動にも参考にしたいと思いました。
同じ年代の人たちとの交流の機会が、これからもあるといいですね」
三光化成㈱一関工場 佐藤広樹さん(24)
「打ち解けた雰囲気の中で、いろいろなことを学びました。
仕事について5年となり、会社では工場のエリアリーダーを務めていますが、特に私たちの年代はコミュニケーションが苦手な人が多いように思うので、今回学んだことを後輩たちに伝え、それを会社の向上につなげていけたらと思います。
同年代の人たちが同じ製造業で頑張っているということを研修で知り、自分の心の支えにもなりました。
今後も、機会があれば交流を続けていきたいですね」
(広報いちのせき平成20年9月15日号)