File №6 長者滝橋(厳美町)

大地震にも耐えた「竹筋橋」

長者滝橋(厳美町)

厳美渓の上流部に架かる、下部のアーチが印象的なコンクリート製の橋。
奥州藤原氏の時代、金を商い巨万の富を得た「大すみの長者」が、盗賊に備えこの地の滝に宝物を隠したという伝説から生まれた「長者滝」。その上に架けられたことから「長者滝橋」と呼ばれています。
昭和14年に造られたこの橋は、物資不足の当時、引っ張りに強い竹が鉄筋の代わりに使用された「竹筋橋」。こうした工法による構造物が今も利用されているのは全国的に珍しく、貴重な近代化遺産として平成11年、国の登録有形文化財とされました。
6月、7月と立て続けに市内を襲った大地震にも十分な耐久力を示し、先人の知恵と技術がしのばれるこの橋からの厳美渓の眺めも格別。行き交う車も観光周遊の馬車も、ここでは皆スピードを緩め、ゆっくりと美しい渓谷を楽しみます。

(広報いちのせき平成20年12月1日号)