22年成人式(記念行事)
1300人の力をカタチにしたい 未来の自分たちのために 身近なエコ活動の実践を呼びかけ |
成人式企画委員会の活動開始
1300人が一堂に集まる機会はこれが最初で最後。楽しく思い出に残る成人式にしたい―」
成人式のあり方について新成人自身の考えを聞き、反映させたいと市教育委員会が公募して始まった成人式企画委員会。各地域から集まった17人が心に強く抱いた思いが、冒頭の言葉です。
11月5日の初会合の後、11月24日までに4回のワークショップを重ね、▽記念式典、アルバム作成はこれまで通り行ってほしい▽アルバムにはCDも添付してほしい▽記念品はエコに配慮した、いつも使えるものに▽思い出に残る記念行事を行い、企画・運営は企画委員が行う―などの意見をまとめ、教育委員会に報告しました。
どのような成人式のあり方が望ましいか、考えていく過程で、「1300人の新成人で何かをやるのは一関で初めて」「生まれ育った地域に恩返ししたい」などの声が高まりました。実際に何をするかとなった時、多くの委員から出たテーマが「エコ(環境問題)」でした。
3回目の会議で、二十歳のわたしたちの地球への優しさ「Eco」が、未来のわたしたちの「joy」へと結びつくはず、という願いを込めて造語したテーマ「Ecojoy×20」が決まりました。
市が新成人に贈る記念品についても合わせて検討。テーマに連動させ、エコバックとはしにしてほしいと市に提案しました。はしは、地産地消の考えから地元の名産品である秀衡塗り。持ち歩いて「マイはし」として使えるよう、布製の袋が添付されました。
学生、会社員などの本務をそれぞれ持つ企画委員。学業や仕事の後の集まりは、計14回にもなりました。初めは知らない者同士だったのが、次第に同じ方向を向くように。ニックネームで呼び合い、会議では笑顔も増えてきました。
成人式前夜の1月9日、会場の総合体育館でリハーサル。現場で確認すべきことはBGMのタイミングや音量、スポットライトの当て方、ステージ上の立ち位置などたくさんありました。千葉健也さん=厳美町=は「みんなに良かったと言ってもらえるような記念行事にできれば。楽しみです」と期待の表情を見せました。
企画委員会活動の軌跡
【第1回・11月5日】 教育委員会が新成人に意見を聞く場としてスタート。 | 【第2回・11月12日】 自分たちで何かをやりたいと意思を確認しあった。 |
【第3回・11月19日】 グループ討議を行い、記念行事のテーマを決定。 | 【第4回・11月24日】 テーマに沿って、記念行事の具体的内容を話し合い。 |
【第5回・12月1日】 環境問題の講話を聴き、課題の大きさを改めて認識。 | 【第6回・12月7日】 大まかな構成を決めて役割分担し、それぞれ調べることに。 |
【第7回・12月15日】 回を重ねてみんながまとまってきます。団結を確認した1枚。 | 【第8回・12月19日】 会場となる総合体育館を訪れ、当日のイメージをふくらませて。 |
【第9回・12月22日】 グループに分かれて作業中。スクリーンに映す写真を撮映。 | 【第10回・12月27日】 内容が次第に形になり、意見を出し合う。 |
【第12回・1月5日】 当日の役割分担を決定。BGMも決まりました。 | 【第13回・1月6日】 プレゼン内容が仕上がり、みんなで並んでリハーサル。 |
【第14回・1月9日】 前夜、式典会場で。音響の調整に苦労。 |
わかりやすい呼び掛けに大きな賛同の拍手と声が
そして成人式当日。式典に続いて午後2時から、記念行事が始まりました。暗くなった会場で「考えたことがありますか」という呼び掛けから、大型スクリーンで飢餓や感染症の大きな原因が地球温暖化であることを挙げ、気候変動による動植物の絶滅や異常気象による大災害などを紹介。
その上で市の環境問題への取り組みをクイズを交えて説明しながら、自分たちができることとしてエコドライブの実践、マイバック持参によるレジ袋削減を提案。
最後に委員がステージに上がり、「未来のわたしたちのためにも、地球環境の現状を知った今、身近なエコを今日から始めましょう」と呼び掛けると、賛同の大きな拍手が送られました。
真剣に提言を聞いた会場の新成人の菅原奈加さん=花泉町=は「勉強や仕事をしながら企画した皆さんはすごい。地球環境の深刻な状況を認識し、エコバックなどできることからエコに協力したい」と語り、2階席で見ていた家族は「若い人なりの真剣さを感じた。仕事をする上でも企画力が求められるので、自分たちで考えることは良いこと」と評価しました。
企画委員会ワークショップのファシリテーター(進行促進役)を務め、支援した市民活動センターの小野寺浩樹さんは「準備期間が短かった中、世界情勢から地域の現状までわかりやすくまとめてあり、頑張ったなと感動した。実践する大人として、これからも先を見て行動していってほしい」とエールを送りました。
企画委員の盛田綾乃さん=台町=は「ここまで計画したことが実行に移せたことに感動。会場のみんなも呼び掛けに拍手で応えてくれうれしかった。企画委員は、意見をぶつかり合わせる過程を経て、また何かあれば集まれる仲間になれたのでは。これからは自覚を持ってふるさと一関を盛り立てていきたい」と興奮冷めやらぬ表情で語ってくれました。
平成生まれの新成人の新しい取り組み。二十歳の若者が、ふるさと一関について、自分たちの未来を本気で考える契機になったのではないでしょうか。
(広報いちのせき 平成22年2月1日号)