市は、財政状況の的確な把握と透明性を高めるため、国のモデルに基づき20年度決算から財務書類の整備に取り組んでいます。
本号では、21年度決算について、その内容をお知らせいたします。


財務書類とは、貸借対照表(表1)、行政コスト計算書(表2)、純資産変動計算書(表3)、資金収支計算書(表4)の四つの表を指し、資産や負債の状況、住民サービスのコストなどをみることができます。
21年度決算財務書類の分析から、本市は平均的な水準にあるといえますが、今後とも財政状況をより的確に把握し、財政運営に反映させるとともに、市民の皆さんに分かりやすい財政情報の提供に努めていきます。

なお、今回の公表は、自治体間の財政比較のために用いられている会計区分である「普通会計※」で作成しています。

※本市では、一般会計と土地取得事業、土地区画整理事業清算、都市施設等管理、工業団地整備事業(送水施設管理分)、市営バス事業、物品調達の各会計の合算です。

表1、貸借対照表(平成22年3月31日現在)

資産の部(これまで積み上げてきた資産)  負債の部(これから支払うべき額)
1公共資産 (1)有形固定資産 2279億8600万円 1固定負債 (1)地方債 665億1800万円
(2)売却可能資産 23億4600万円 (2)退職手当引当金など 124億3200万円
小計 2303億3200万円 (3)その他 14億200万円
2投資など (1)投資および出資金 25億6100万円 小計 803億5200万円
(2)基金など 24億4900万円 2流動負債 (1)翌年度償還予定地方債 77億1200万円
(3)長期延滞債権 13億6100万円 (2)その他 8億8200万円
小計 63億7100万円 小計 85億9400万円
3流動資産 (1)資金 104億1700万円 負債合計 889億4600万円
(2)未収金など 1億6700万円 純資産の部(支払が終わっている額)
小計 105億8400万円 純資産合計 1583億4100万円
資産合計 2472億8700万円  負債および純資産合計 2472億8700万円

貸借対照表は、年度末時点において市の資産とその資産をどのような財源(負債・純資産)で賄ってきたかを示すものです。
左側に資産を計上し、右側に負債および資産と負債の差額である純資産を計上しています。

市の資産と負債の状況
  1. 社会資本に対する負担割合…道路や学校などこれまで市が形成した社会資本に対する市の支払済割合(純資産/公共資産)は68・7%です。
  2. 純資産比率…市が持つ資産のうち、負債を差し引いた正味の財産の割合を示す純資産比率(純資産/資産合計)は64・0%です。通常地方公共団体では約6割が標準とされています。

■市民一人当たりの状況…資産は約205万円、負債は約74万円、資産から負債を差し引いた純資産(これまでの世代の負担により形成した資産)は約131万円となり、前年度と比べ5万円増となっています。

【注】市民1人当たりの金額は、22年3月31日現在の住民基本台帳人口12万463人で計算しました(以下同じ)。

表2、行政コスト計算書(平成21年4月1日~平成22年3月31日)

経常費用合計 475億5300万円
1.人にかかるコスト
人件費、退職手当の支払いに必要な積立金など
113億3900万円
2.物にかかるコスト
物品購入、光熱水費、委託料、減価償却費、維持補修費など
140億9200万円
3.移転支出的なコスト
他会計への支出、社会保障給付、各種団体への補助胆金など
207億7900万円
4.その他のコスト
借入金返済に係る利子など
13億4300万円
経常収益合計 13億5900万円
使用料・手数料 7億5100万円
分担金・負担金・寄付金 6億 800万円
純経常行政コスト(経常費用-経常収益) 461億9400万円

行政コスト計算書は、市の経常的な活動に伴うコストと使用料・手数料・分担金・負担金などの収入を示すものです。
経常費用合計から経常収益合計を差し引いたものが当年度の純経常行政コスト(行政サービス提供に要した費用)となります。

■市民一人当たりの状況…純経常行政コストは38万円となり、前年度と比べ2万円増となっています。

表3、純資産変動計算書(平成21年4月1日~平成22年3月31日)

期首純資産残高 1530億6900万円
当期変動高(純経常行政コスト) △461億9400万円
財源調達(市税、地方交付税、国・県補助金) 518億1700万円
その他 △3億5100万円
期末純資産残高 1583億4100万円

純資産変動計算書は、市の純資産(資産から負債を引いた金額)が21年度中にどのように増減したかを示すものです。総額としての純資産の変動に加え、それがどのような財源や要因で増減したかを表わしています。

表4、資金収支計算書(平成21年4月1日~平成22年3月31日)

期首資金残高 16億8700万円
当期収支 8億8600万円
  1.経常的収支
税収、国庫支出金、人件費など
156億1100万円
2.公共資産整備収支
公共資産整備支出、国県補助など
△36億2200万円
3.投資・財務的収支
投資および出資金など
△111億 300万円
期末資金残高 25億7300万円

 資金収支計算書は、現金の流れを示すものです。
その収支を性質に応じて区分し表示することで、市がどのような活動に資金を必要としたかを表しています。

問い合わせ先

本庁財政課財政係

(広報いちのせき 平成23年7月1日号)