第2特集 唯一夢二 3
みんなが一つになって生み出した地域の「和」は
やがて音楽の「輪」となり、大きく広がった
紡がれた絆は人を育て、無二の感動を生み出していく
古里の大いなる大地で、夢に挑み、未来を開く
サキソフォビアとキッズの初共演「第1回ファンタジックコンサート」は09年2月、曽慶地区センターで行われた。
「ファンタジック」(Fantasic)はファンタスティック(Fantastic)とミュージック(Music)を掛け合わせた和製英語。
「音楽を通して、夢と感動の舞台を創りたい」という願いが込められている。
子供たちとプロミュージシャンとのコラボレーションは同センターに詰めかけた250人を魅了。
大盛況だった。
コンサート後、サキソフォビアから「もっと子供たちと関わりたい。ぜひ音源を残したい」とCD制作が提案される。
こうして10年1月、千厩町奥玉の「角蔵ホール」でレコーディングが実現。
「世界中のこどもたちが」が「サキソフォビア&ドリームキッズ」名義で全国に販売された。
角蔵ホールをスタジオに提供した及川一郎さんは「23人のキッズと4人のサキソフォビアをマイク10本で一発録りした。生録りの空気感がリアルに伝わるすてきな作品になった」と振り返る。
菅原角栄代表は「多方面から好評で、セカンドアルバム制作の話も出ている」と次のステージに目を向ける。
今年のコンサートには、陸前高田市立矢作小学校と石巻市の「桂心舘道場」に通う児童と父母ら約40人を招待した。
ドリームキッズは震災後、陸前高田市、釜石市、宮城県石巻市を訪問し、復興を願って歌を届けた。
「私たちのコンサートを被災地の友達に見てほしい」
子供たちの提案だった。
被災地を気遣うやさしさ、友達への思いやりなど、子供たちの成長が見て取れる提案に、大人たちは二度返事で了解した。
石巻市から訪れた佐藤かおりさんは「お世辞抜きにすてきなコンサートで感動した。キッズの歌声にパワーをもらった」とにっこり。
元気いっぱいのステージから復興の力をもらったようだ。
子供たちが通う曽慶小学校の金野健校長は「子供たちはみんな前向きで一生懸命。保護者や地域の皆さんは、子供たちの気持ちを大事にしてキッズの活動を応援している。曽慶は子供を中心に地域全体が一つにまとまっている理想の地域」と胸を張る。
ドリームキッズは、親子をつなぐ縦軸と音楽で結ばれた横軸とがリンクして地域の一体感を醸成。
誰もが参加できる音楽、誰もが楽しめる舞台を創ってきた。
保育園、学校、家庭、地域が一つになって生み出した曽慶の「和」は、やがて音楽の「輪」となって大きく広がり、アマとプロ、子供と大人、農村と都市、内陸と三陸など、次々と新しい交流を創り出した。
聴く人に勇気と元気を与えるまっすぐな歌声は、地域の「宝」。
子供たちの夢は、大人たちの夢であり、地域の夢でもある。
唯一夢二―。
曽慶で紡がれた絆は、人を育て、無二の感動を生み出していく。
Sugawara Kakuei
無限の可能性を秘めた
子供たちの能力を
引き出してあげることが
私たち大人の使命
4回目のコンサートを無事に終えることができ、ほっとしています。
会場に足を運んでくださった多くの皆さん、演奏でステージに花を添えてくれたサキソフォビアとファンタの皆さん、縁の下の力持ちとなって頑張ってくれた父母やスタッフの皆さん、全ての人に感謝しています。
大人の出番が多かった前回とは打って変わり、今回はキッズメーンのコンサートにしました。
もっと、子供たちの潜在能力を引き出して、キッズ本来の魅力を伝えたかったからです。
子供たちは持てる力を発揮して、応えてくれました。
来年は5回目。
5周年の節目にふさわしいコンサートにしようとキッズプロジェクトのスタッフはすでに構想を練っています。
セカンドアルバム制作の話も出ているほか、4月には陸前高田市のイベントに吉野さんと出演することが決まっています。
歌うことが好きで集まった子供たち。
さまざまな活動を通して、無限の可能性を秘めた子供たちの能力を引き出してあげることが私たち大人の使命です。
菅原角栄(すがわら・かくえい)
1971年大東町生まれ。
農業。
いちのせきキッズプロジェクト代表。
音楽イベントをプロデュースしたり、音響など舞台業務をこなしたりする舞台職人。
藤沢町縄文ホールのJスタッフとしても活躍。
41歳
Suzuki Chika
私たちの歌を聴くことで
被災地の人たちが元気になってくれたら
そう思って歌いました
いいコンサートになったと思います。
たくさんのお客さんを前に、緊張した仲間もいると思うけど、みんな笑顔で楽しみながら演じることができました。
客席の皆さんがコンサートを楽しんでくれていることが舞台にも伝わってきて、とてもうれしかったです。
震災で大変な1年だったけど、私たちの歌を聴くことで、「被災地の人たちが少しでも笑顔になったり、元気になったりしてくれたら」と願って、最後まで頑張りました。
4月から中学生です。
部活で忙しくなるのでステージには立たないと思いますが、歌や踊りを教えたり、サポートしたりすることで、キッズに関わっていきたいです。
鈴木千佳(すずき・ちか) 曽慶小6年
3年生からキッズに所属。
結成当初リーダーとして活躍
被災地からコンサートに参加
佐藤かおりさん
37 石巻市あけぼの 保育士
久恵さんは短大時代の友人です。
そのつながりで震災後、キッズが石巻で歌ってくれました。
今回は桂心舘道場の子供たちを招いてもらってうれしかったです。
初めて見たコンサートは感動しました。
元気な歌声に励まされました。
私も頑張ります。
キッズが通う曽慶小の校長
金野 健さん
57 曽慶小学校長
児童の活躍は学校や地域の誇り。
キッズの活動は子供たちの自己表現の場、それぞれの思いを発信する場でもあります。
子供たちから、被災地の児童を招待したいと提案されたとき、思いやりや自主性が育っていることを感じました。
保育士として第1回目から支援
菅原二見さん
56 大東町大原 保育士
曽慶保育園に通算8年勤めています。
第1回から衣装作りに協力しています。
子供たちの成長を見るたびに胸が熱くなります。
晴れ舞台を見ると涙が出そうになります。
キッズの活動に参加できることは私の喜び。
これからも見守っていきたいです。
菅原涼葉 |
藤原梨瑚 |
岩渕菜摘 |
佐藤来夢 |
佐藤美吹 |
藤原瑚都 |
及川陽菜乃 |
岩渕莉世 |
熊谷ほのか |
岩渕晟也 |
青柳千羽 |
岩渕愛実 |
菅原彩華 |
岩渕倖大 |
畠山彩心 |
佐藤貴咲 |
千葉茉依 |
及川星空 |
岩渕莉央 |
畠山心遥 |
佐藤未知花 |
千葉拓夢 |
広報いちのせき「I-style」4月1日号