鈴木功教育委員会委員長

鈴木功教育委員会委員長が第42回市議会定例会で述べる

はじめに

東日本大震災で被災した本市の教育施設は、ほぼ復旧しました。
しかし、今なお、校舎の使用を制限している学校もあり、早期整備と耐震補強を推進し、安全・安心な教育環境づくりに努めます。
 

放射能汚染対策は、校庭と園庭の除染を完了する見込みです。
給食食材も定期的に測定し、結果を公表しており、児童・生徒や保護者に安心感を与えることができたと考えています。
学校施設や給食食材の放射線量を引き続き測定します。
 

小中学校の学力調査等の結果分析から、本市の児童・生徒は、基礎的・基本的な知識・技能は一定レベルに達していますが、それらを活用しながら深く考えたり、適切に判断したりする力が、十分身についていない傾向にあります。
このことからモデル校を設けて理科学習支援員を配置し、実験や観察を通じて探究心と問題解決能力を身に付ける取り組みを展開します。
 

いじめや体罰などの諸問題が全国的に頻発しています。
児童・生徒が楽しく学び、生き生きと生活できる環境づくりを進めます。
教育委員会、学校、保護者、地域が連携し、児童・生徒が抱える悩みや問題の早期発見・早期対応を図り、個々に応じた適時適切な指導・支援に努めます。
 

24年9月25日に世界遺産暫定一覧表へ記載された「骨寺村荘園遺跡」の拡張登録実現に向け、有識者委員会等の指導を受けながら「陸奥国骨寺村絵図(むつのくにほねでらむらえず)」に描かれている骨寺堂跡の確認調査と梅木田(うめのきだ)遺跡の全面調査などを実施します。
 

28年に本県で開催が予定されている第71回国民体育大会「希望郷いわて国体」で本市は、バスケットボール、フェンシング、バレーボール競技会場に予定されています。
25年度に国体推進室を開設し、また実行委員会を設立して受入れ体制を整え、競技会場地としての気運の醸成に努めます。
 

これらについては、25年度、特に重点的に取り組みます。

空間放射線量の高い学校の校庭などを除染した
空間放射線量の高い学校の校庭などを除染した

人生を豊かにする生涯学習の推進
生涯学習環境の充実

一関に暮らす全ての人々が、人生の各段階で多様な目的を持って学ぶことができる生涯学習環境の充実に努めます。
ことばを学び、感性を磨き、表現力を高め、人生をより深く生きる力を身に付ける上で欠かせない読書の大切さについて、を家庭や地域で共通理解を図ります。
 

図書館

花泉図書館は今秋、一関図書館は来秋の開館に向け、整備を進めます。25年度から一関図書館を中央図書館と位置付け、市立図書館8館の利用者サービス、図書資料の充実、学校図書館との連携強化など読書環境の向上を図ります。摺沢、渋民、曽慶の3小学校が統合して開校した新生大東小学校

新しい時代に生きる力を育む学校教育の推進
確かな学力の育成
 

児童・生徒の学力実態把握に努め、指導主事と学習指導専門員による学力向上のための指導・支援の充実を図ります。
また、家庭と連携した学校の取り組みを推進します。学校研究公開、理科学習支援員の配置やALT派遣による小学校外国語活動など授業の充実に努めます。
 

ことばを大切にする教育
 

学校と家庭が連携を深めながら読書活動を展開します。
また、読書普及員の配置校を拡大し、学校図書館を学びの場としながら、学校図書の充実や市立図書館との相互利用など、さらなる読書環境の向上に努めます。

キャリア教育
 

生徒の職業観と勤労観、そして社会性を育てるために、市内全中学校の2年生を対象に社会体験学習を実施します。
また、市内中学生を最先端科学施設が集まる筑波研究学園都市へ派遣します。
 

地域に根差した教育

社会科副読本等により地域の相互理解を深めるなど、地域に着目した教育活動をさらに推進します。
また、震災直後から取り組んでいる陸前高田市、気仙沼市との学校間交流への支援を継続します。
さらに、市内全中学生を対象に救急救命講習を実施するとともに、各幼稚園、小・中学校と保護者の間で緊急連絡や安否確認などを行うことができるメールシステムを導入し、非常時などに備えます。
 

適応指導

児童・生徒一人一人の状況にきめ細かく対応するため、教育相談員等による相談・支援や適応支援教室「タンポポ広場」における学習・支援活動を進めます。
 

特別支援教育

特別支援教育コーディネーターを配置して幼児期からの就学相談体制の充実を図るとともに、特別な支援を必要とする児童・生徒の支援に当たる学校サポーターを増員します。

義務教育施設の整備

26年4月開校を目指し、東山地域統合小学校の当面の校舎となる長坂小学校を整備します。
27年4月開校を予定する磐井中学校整備を進めます。また、山目小学校、東山中学校の校舎を整備します。
さらに▼大東小学校のプールと外構等の整備▼千厩中学校の太陽光発電システムの整備▼川崎小学校の校舎大規模改修▼藤沢中学校の屋内運動場耐震補強工事―を実施するほか、金沢小学校の校舎大規模改修に係る実施設計を行い教育施設の安全確保と教育環境の向上に努めます。
 

学校給食

千厩学校給食センターから千厩・室根・藤沢地域の12小中学校に給食の提供を開始します。
27年4月の稼働を目指し、(仮称)西部第二学校給食センターの実施設計を行います。学校給食調理業務は、花泉・千厩両学校給食センターで民間委託します。

学校規模の適正化

より良い教育環境づくりに向け、学校規模の適正化について保護者と住民の理解を得る取り組みを進めます。

共に学び触れ合う社会教育の推進
社会教育

市民一人一人が生きがいのある充実した生活を送れるよう、生涯にわたる多様な学習機会の提供や学習活動の促進に努めます。
また、子どもたちが正しい生活習慣を身に付け、心身ともに調和のとれた人間に成長できるよう家庭教育を支援します。

公民館

地域の特性やニーズを生かしながら協働のまちづくりに資する学習機会の提供や地域協働体の組織化の支援に努めます。
一関公民館の市街地活性化センターへの移転、永井公民館の移転工事、中里、油島、千厩公民館の耐震補強工事、狐禅寺公民館の耐震診断や周辺環境整備を進めます。
 

多様で個性ある文化の創造
文化芸術の振興

芸術文化団体等との連携を図り、市民の文化芸術活動を促進します。

郷土芸能

郷土芸能団体等の活動を支援し、地域の伝承保存に向けた環境づくりを促進します。

有形文化財

国の登録有形文化財建造物である旧東北砕石工場の建物保存のため、改修工事を実施します。
 

民俗文化財や埋蔵文化財

市が所有する資料を体系的に管理するため、基礎調査に基づいた詳細調査に着手するとともに、保存活用について検討を進めます。

博物館

元禄時代の一関全域の景観がわかる絵図や関連資料等の「絵図の世界展」など、企画展、テーマ展を開催します。

地域に根ざした生涯スポーツの推進
生涯スポーツ

関係団体等と連携を図り、スポーツ教室やスポーツイベントなどを開催し、市民が日常的にスポーツを楽しむ機会を確保します。
国内トップレベルのプレーに触れる機会を提供するため、「日本女子ソフトボールリーグ一関大会」の開催や一関運動公園テニスコートの拡充に合わせた東日本規模の大会の開催など大規模な大会の誘致に努めます。
また、子どもたちが夢を持つことや仲間と協力することの大切さを学ぶ「夢の教室」を開催します。

北京五輪で金メダルを獲得した元日本代表監督の斉藤春香さんを講師に迎え、花泉中学校体育館でソフトボール教室が行われた
北京五輪で金メダルを獲得した元日本代表監督の斉藤春香さんを講師に迎え、
花泉中学校体育館でソフトボール教室が行われた

スポーツ施設

藤沢B&G海洋センターなど藤沢地域の8施設は25年度から社団法人一関市体育協会に指定管理し、適切な維持管理に努めます。
一関遊水地記念緑地公園多目的広場の人工芝整備をはじめ花泉野球場、大東体育館、千厩体育館、東山B&G海洋センター、室根屋内テニスコート、藤沢体育館の改修工事を進めるなどスポーツ施設の整備充実を図ります。

おわりに

生涯にわたる市民の学習活動を促進し、一関市教育振興基本計画に掲げる基本目標である「新しい時代を切り拓き豊かな心を育む学びのまちづくり」に力を尽くします。皆さまのご理解、ご支援、ご指導をお願い申し上げます。 

 

広報いちのせき「I-Style」 平成25年4月15日号