【特集1】学校統合 第1部 閉校_1
閉校記念碑の前で笑顔で感謝する達古袋小の児童たち
最後の言葉はありがとう。「感謝」だ。
輝かしい歴史と伝統を誇る達古袋、摺沢、渋民、曽慶、薄衣、門崎の6小学校がこの春、歴史の幕を閉じた。
達古袋は厳美小学校と統合、摺沢、渋民、曽慶の3校は新生大東小学校に、薄衣、門崎両校は新生川崎小学校として新しい一歩を踏み出した。
6校の伝統と精神は、ずっと、受け継がれていく。新しい学びやで。
達古袋小学校
地域と築いた141年の歩み 変わらない教育への情熱を注ぐ
出席者が一同に歌った校歌が体育館中に響き渡った
3月24日、141年の歴史を誇る達古袋小(目時雄二校長、児童27人)の閉校式が行われ、約300人の関係者が出席した。
明治5年に創立した同校は古くから地域に根差し、教育機関としての役割にとどまらず、地域の文化やコミュニティーの拠点として親しまれてきた。
学区は栗駒山の裾野に広がる農村地帯。山林面積が広く、米作、肥育牛などの畜産、シイタケ栽培、林業などが盛んな地域だ。
地域住民の教育に傾ける熱意は強く、大正3年に公益社団法人達古袋農業教育協会を設立し、校訓の「晴耕雨読」の教育を実践するため、大正10年には農民図書館が設置された。
さらには学区内の全戸がPTAに加入し、プール清掃や校舎周辺の草刈りなどの奉仕作業を通じ教育環境の整備に取り組んできたほか、地域住民を講師に招いた郷土芸能「達古袋神楽」の伝承活動や特産のシイタケ栽培など、地域と学校が一体となった教育活動が行われてきた。
式に続いて行われたお別れの会では、児童による達古袋小の歴史や思い出をつづった「心のふるさと 達古袋」の劇が披露され、参列者は懐かしんだり、目を潤ませたりしながら児童の演技を通して思い出を振り返り、胸に焼き付けた。
4月からは厳美小と統合し、在校生の新たな学校生活がスタート。多くの新しい仲間と友情を築き、切磋琢磨しながら大きく成長してくれることが達古袋地域のさらなる願い。
学校が閉校しても地域の教育に対する情熱はこれからも変わることはない。
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目時雄二さん
めとき・ゆうじ 31代校長
懐かしさを感じさせ、いつも温かく迎えてくれた校舎が好きです。
歴史の重さや地域の皆さんの思いを感じながら閉校の任務を全うできたことに感謝しています。
児童たちの新たなスタートにエールを送ります。
佐々木明日華さん
ささき・あすか 児童会長
地域の先輩がさまざまな思いを込めて作り上げた学校。
感謝の気持ちを込めた雑巾がけでは、みんなの思いが一つになりました。
木の匂いがして温かみのある校舎は、閉校しても忘れません。
今までありがとう。
鈴木嘉人さん
すずき・よしと PTA会長兼閉校事業実行委員長
閉校で地域の拠点がなくなってしまいます。
地域の皆さんなどの寂しさははかり知れません。
達古袋小学校は、厳美小学校に統合されます。
子供たちの教育環境が整い、多くの友人に囲まれることを願っています。
達古袋小学校
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摺沢小学校
スポーツ・文化の両面で輝かしい実績 9千人を育んだ学びやに別れ
約500人が出席した摺沢小学校の閉校式。全校児童が述べた「お別れの言葉」に会場は惜別の思いに包まれた
摺沢小学校(戸田良一校長、児童151人)の閉校式は3月20日行われ、全校児童、保護者、教職員、住民、関係者など約500人が出席した。
式では、戸田校長が「長い歴史の中で、摺沢小学校は、地域に支えられながら教育環境を充実・発展させてきた。
ここでの豊かな学びが大東小学校へ引き継がれることを確信しています」と述べた。
全校児童による「お別れの言葉」では、「摺沢小学校の名前がなくなっても、たくさんの思い出は忘れません。摺沢小学校で学んだことを心に刻み、新しい一歩を踏み出します」と全員が決意した。
戸田校長から鈴木市教育委員会委員長に校旗が返納され、出席者全員で校歌を斉唱。多くの人に惜しまれながら140年にわたる校史に幕を下ろした。
「強く かしこく 美しく」を教育目標に掲げる同校。ソフトボールは平成20、21年度と2年連続で全日本小学生女子ソフトボール大会に出場。
22年度は、子どもの読書活動優秀実践校として文部科学大臣賞を受賞するなど文化、スポーツの両面で輝かしい実績を残してきた。
1873(明治6)年の創立以来、摺沢地域の教育の拠点として多くの人材を育み、これまで約9千人の卒業生を送り出した。
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戸田良一さん
とだ・りょういち 第32代校長
閉校に向かうこの一年、児童、教職員、保護者が一丸となって歩んできました。
児童は、6年生を中心に頑張りました。
その頑張りに保護者や地域などからの温かい応援をいただき、充実した一年になりました。
伊東辰巳さん
いとう・たつみ 児童会長
僕たちが、摺沢小学校の最後の卒業生です。
学校のこと、学校で学んだことは大人になっても忘れません。
摺沢小はあいさつ運動に取り組んでいました。
大東小学校でもあいさつ運動に取り組んでほしいです。
伊藤玉男さん
いとう・たまお PTA会長
閉校は、少子化を背景に苦渋の選択でしたが、子供たちの教育環境向上のため理解し、協力してくれた地域の皆さんに感謝します。
140年の歴史は、形を変えて大東小学校に引き継がれると信じています。
小原伸元さん
おばら・のぶもと 閉校記念事業実行委員長
多くの人が長年慣れ親しみ、深い思い出を刻んできた摺沢小学校がなくなることは、寂しい限りです。
新しい学びやで、賢く健やかで豊かな美しい日本人の心をもった子供たちが育っていくことを祈っています。
摺沢小学校
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広報いちのせき「I-Style」 平成25年5月15日号