【特集】学校統合 第2部 統合_3
「自立する心」「競争する心」「支え合う心」「励まし合う心」など、生きる力の基本をなす「心」は集団生活の中で自然に磨かれていきます。
多様な個性、能力や価値観をもつ仲間との触れ合いが子供たちを大きく成長させます。
第3章 みんなで一つに
児童が校庭で互いに学び合うことは、教室で教えられるあらゆることに比べて百倍以上、彼らの役に立つ―
集団の中で学ぶことがいかに大切であるかを説いたルソーの言葉です。
児童にとって魅力ある学校とは、学ぶ、遊ぶ、体験するなど多様な機会を得られること。
共に学んだり、遊んだり、体験したりする仲間をつくることができることです。
統合は、それ自体目的ではなく、子供たちが夢を抱き、希望を持って生き生きと学べる環境を実現するための手段。
古里の未来を担う子供たちが満足できる学習環境を整備して伸び伸び育てることがねらいです。
学校教育の目的は、社会と調和して生きていく力を育てること。子供たちは、集団の中で刺激し合い、学び合いながら、社会性や協調性を身に付けていきます。
「新しい友達が増えてうれしい」と言葉を弾ませる厳美小の小岩瑠華(るか)さん(6年)は、閉校した達古袋小の出身。統合前4人だった同級生は24人になりました。
友達の数だけ視野が広がり、多様な考え方に触れられるようになりました。
「周りが頑張っているから、前より自主学習の時間が増えた」と勉強にも熱が入ります。
もともと厳美小の佐々木芽衣(めい)さん(6年)は、達古袋小の子供たちの神楽に驚き「かっこいい。自分も踊ってみたい」と意欲を見せます。
学校が一つになるということは、児童だけでなく、親や地域も一つになることです。少子化が進み、子供の数は減っていますが、一人一人の元気や能力は今も昔も変わりません。
学校、PTA、地域が一つになって「1+1=2」ではなく、3にも4にもなるような学校づくりを目指す、それが、真の統合であり、教育の使命です。
厳美
星川光正教諭 6年担任
統合で達古袋の子供たちが加わりました。
厳美と達古袋の子供たちは、2年も前からさまざまな事業で交流を重ねてきたこともあり、最初から仲良く楽しい学校生活を送っています。
新しい仲間を迎えたことは、厳美の子供たちにとても良い影響を与えています。
良い影響は良い教育につながります。互いに学び合ったり、教え合ったりするなど、子供たちの自主性、協調性が高まっています。
目時雄二校長
達古袋の22人はみんないい子です。
一緒になって本当にうれしいです。これまで複式学級だった彼らにとって、多くの仲間と過ごす毎日は新鮮で貴重な体験の連続。
一日も早く厳美の子になれるよう私も全力で支えます。
佐藤正和PTA会長
達古袋地域の保護者の皆さんから「友達が増えて子供たちの笑顔も増えた」と言われます。厳美の子供たちも喜んでいます。
厳美、達古袋、旧両校のいいところを尊重しあいながらみんなで新しい学校をつくりましょう。
佐々木芽衣さん 6年 厳美小出身
達古袋のみんなと、いろいろ行事をやってきたので初めての気がしませんでした。
いろいろな考え方に触れる機会が増えたし、新しい発見もたくさんあります。
達古袋の鶏舞を間近で見た時は、「すごい」って思いました。
小岩瑠華さん 6年 達古袋小出身
達古袋小のときは4人だった同級生が24人に増えました。たくさん仲間が増えてとてもうれしいです。
厳美のみんなは、学校のことを親切に教えてくれます。みんなが頑張っているから、私も自主学習の時間が増えました。
大東
佐藤弘幸教務主任
子供たちは、統合することに少なからず不安だったはずです。一方で、新しい友達ができるなど、期待感もあったと思います。
開校から2カ月、みんな毎日楽しく過ごしています。そんな中で、特に印象的なことはあいさつです。
摺沢小で取り組んできたあいさつ運動が全校に広がっています。友達が増えて、あいさつを交わす回数も増えました。
学校中で、毎日元気なあいさつが交わされています。
戸田良一校長
児童の元気な姿を見せることが私たちの使命。そのためには、地域の協力が不可欠です。
地域の皆さんは、児童や学校のためにさまざまな活動をしてくれます。
そのことを子供たちに伝えていくことも私たちの役目です。
金秀也PTA会長
児童数が増えたことで、スポ少の活動も6種目に増えました。
子供たちが自分でやりたいことを選択できるようになり、とてもありがたいです。
3つの小学校それぞれが持っていた強いつながりを新生大東小でも築いていきます。
不破芹梨花さん 6年 摺沢小出身
統合で児童数は200人以上になりました。
学習発表会など、学校行事を多くの友達とできるのが楽しみです。
私たちは、新しい学校の最初の卒業生になります。この1年がすばらしい年になるよう、新しい仲間と頑張ります。
金彩佳さん 6年 渋民小出身
統合して、学年2クラスになりました。
渋民小の友達と違うクラスになったのは寂しいけれども、新しい友達ができたことはうれしいです。
楽しみな学校行事は学習発表会。来てくれる人が何倍にも増えるから、やりがいがあります。
小山弘樹さん 6年 曽慶小出身
新しい校舎で新しい友達と一緒に勉強できるから毎日が楽しいです。
友達がたくさん増えたから、いろいろな意見を聞くことができて新鮮です。
学校行事は規模が大きくなるからどんな感じになるのか今から楽しみです。
川崎
多田優香教諭 4年担任
門崎の子供たちは、体育でサッカーやドッジボールなどができることを喜んでいます。
薄衣の子供たちは、良い意味で競い合う気持ちや向上心が芽生えてきました。
引っ込み思案だった子供が意欲的になるなど、2つの小学校が1つになることは、さまざまな面でいい影響を与えています。
川崎の歴史・伝統・文化を一緒に引き継いでいこうという気持ちが児童たちに広がってきています。
廣長秀一校長
川崎小は川崎地域唯一の小学校になりました。それだけに、地域の期待は大きいと感じています。
統合前の薄衣・門崎両校同様に、これからも地域の中で、皆さんに支えられながら教育活動を展開していきたいと思います。
菊地輝昭PTA会長
197人の新生川崎小がスタートしました。児童数が増えたことで、学校にも活気が出てうれしい限りです。
児童は2クラスになった学年もあり、友達が増えたとよろこんでいます。勉強以外にもスポーツが盛んになりました。
三浦悠貴さん 6年 薄衣小出身
門崎の友達はみんな運動神経がよく、スポ少が強くなりました。
野球は東磐井小学校対抗野球大会で優勝しました。ソフトボールは岩手県小学生ソフトボール大会で優勝しました。
友達が増えて授業も楽しくなりました。
遠藤小菜美さん 6年 門崎小出身
薄衣の友達はとても活発で、何でも協力してくれるやさしい人たちばかりです。
運動会で踊った「布佐神楽」にも真剣に取り組み、5、6年生96人全員の力で成功させることができました。本番が一番上手にできました。
広報いちのせき「I-Style」 平成25年6月15日号