【緊急特集】7.26_集中豪雨_1
すさまじい雨だった。
7月26日に降り始めた集中豪雨で、市内各地で河川が氾濫したり、土砂崩れが起きたり、大きな爪痕が残った。
2013.7.26 16:03 一関・両磐地域に大雨洪水警報発令
短時間の集中豪雨
日本海上空に寒気を伴った低気圧が停滞。低気圧に向かって暖かく湿った空気が流れ込み天気は不安定に。
市全域が豪雨にみまわれた。(写真:東山町松川地区)
7月26日16時03分―
盛岡地方気象台は、盛岡地域、花北地域、奥州金ヶ崎地域、一関・両磐地域に、大雨、洪水警報を発令。
市内でも断続的に激しい雨が降り続き、室根で1時間に49ミリ、花泉と川崎で46ミリ、大東で42ミリなど、猛烈な雨を観測。
市災害対策本部は大東地域や東山地域の36世帯に避難勧告を出した。他にも川沿いの地域で自主避難する住民が相次いだ。
局地的に降り続いた激しい雨は、土砂崩れ、土地の浸水、河川の増水やはん濫などを引き起こし、各地に大きな被害をもたらした。
8月2日現在、市のまとめによると、床上・床下浸水などの住家被害は315世帯、田畑の冠水などの農林業被害は2,249カ所、道路の損壊や冠水は1,706路線など被害は甚大だ。
暗闇で増水、怖かった
県道東山薄衣線沿いに住む鈴木イツヨさん(84)=東山町松川=は一人暮らし。
母屋と物置の浸水に気付いたのは午前0時頃。停電の中、バケツで水を汲み出した。
「怖かった。どれくらい浸かるのか不安だった」と振り返る。
「02年の台風6号より水が上がった」と話す千葉榮一さん(81)=東山町松川=は「これまで多くの水害を経験して学んだこと」と、暗闇と増水の恐怖の中で農業機械を高台に移動させた。
だが、「年を取ると体がついてこない」と本音ももらす。
降雨パターンが変化
市の要請を受けて、26日22時50分に東山町松川地区に排水ポンプ車を出動させて排水処理を行った国土交通省東北地方整備局岩手河川国道事務所一関出張所は「26、27両日の降雨は、砂鉄川上流の局地的な豪雨だった。そのため河川水位が急激に上昇したと思われる。今後もこのような集中豪雨や現象が起こると考えられる。天気予報や河川の水位情報などはいつも関心を持って見てほしい」と注意を呼びかける。
東山町松川地区や大東町摺沢地区など、大きな被害を受けた地区では、今なお復旧に追われる毎日だ。
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1)雨水が水路から溢れ冠水した国道342号(花泉町金沢地内)
2)金流川などが増水し内水で浸水した住家(同)
3)大きく崩落した法面と倒壊したビニールハウス(大東町大原地内)
4)濁流によってぐにゃりと曲がったガードレールと損壊した道路(大東町摺沢地内)
5)激しく洗掘された市道(千厩町磐清水地内)
6)氾濫した千厩川と浸水を防ぐため積まれた土のう(同町宮田地内)
7)内水が増水し県道東山薄衣線(東山町松川地内)
8)冠水した水田(同)
排水ポンプの整備 国・県に要望を
伊藤輝夫さん 63 運転手 東山町松川字六日町
消防団員の私は、26日18時頃から消防車両で地域を巡回しました。
その間に川が氾濫して自宅が浸水しました。家族はボートで避難して無事でした。
自分は屯所で二晩泊まりました。警戒広報も行いましたが、家の中にいると、なかなか聞こえにくく、浸水してから知る状況でした。
復旧には、強力な排水ポンプが必要です。ぜひ早急な整備を国や県に要望してほしいです。
もっと迅速な災害情報の提供を
松川美奈子さん 53 自営 東山町松川字六日町
夜8時過ぎくらいから浸水したと思います。突然の出来事でした。
2002年7月の台風6号による大雨洪水の経験を教訓に、初めに何を運び出すかなど、すぐに行動できたと思います。
でも、浸水してからは、自分たちのことでいっぱいいっぱいです。片付けも、掃除も、しばらくかかりそうです。
泥もまだまだ出てきます。川の氾濫は近所の人から教えてもらい知りました。
防災無線などで水位情報を放送してもらえたら、もっと早い対応ができたかもしれません。
広報いちのせき「I-Style」 平成25年8月15日号