【特集】ケアの心育む_1
中高生らが医療や福祉の現場を体験しながらケアの心を学ぶ「ケアチャレンジ」。
高齢社会、介護保険時代を支え合って共に生きる福祉の原点を見た。
藤沢でケアチャレンジ
看護部門」を受講した熊谷沙与加さん(一関二高3年)は、足浴補助で藤沢病院に入院しているお年寄りの足を洗い流した
ふじさわ地域包括ケア研究会(高木史江(ふみえ)会長)が主催する「ケアチャレンジ」は8月13日、藤沢町の「老健ふじさわ」で開かれ、市内の中高生9人が介護体験などを通してケアの心を学び、自分と地域の未来について考えた。
生徒は午前中、看護部門、薬剤師部門、リハビリテーション部門、老健部門の4グループに分かれて現場を体験。
看護師の仕事を学んだり、理学療法士の施術を見学したりした。
このうち看護部門では、足浴補助、血圧測定、酸素飽和濃度測定などを体験。
足浴補助では、看護師の指導を受けながら、藤沢病院に入院しているお年寄りの足を洗い流した。
午後は、疑似体験装具(耳栓、特殊眼鏡や手足の重りなど)を装着して、日常生活を体験する高齢者疑似体験からスタート。
装具を付けた生徒は、新聞を読んだり、箸を使ったり、普段できることが思うようにできないことに驚き、加齢による身体的変化(筋力、視力、聴力などの低下)に理解を深めた。
続いて佐藤元美(もとみ)藤沢病院事業管理者が医療・福祉・介護の仕事について「芸術的才能や高い身体能力は不要。こつこつ勉強すれば、必ず成果が出る分野。やりがいのある仕事です」と講話。
「ケアチャレを機に、たくさんの(医療や福祉の)仕事を見て、学んでほしい」と述べた。
まとめのグループディスカッションで、高齢者疑似体験の講師を務めた岩手県高齢者総合支援センター玉山公一(こういち)副センター長は、スーパーなどでの買い物を例に「高齢者をいたわる心が大切。お年寄りが暮らしやすいやさしいまちをつくってください」と訴えた。
9人の中高生は、真剣な面持ちで玉山副センター長の言葉に耳を傾けた。
看護師を目指す熊谷沙与加(さやか)さん(一関二高3年)は「ケアチャレンジに参加して、あらためて看護師になりたいという思いが強くなりました。患者さんと触れ合って、優しい笑顔を見せてくれたとき、この笑顔のためなら、もっと頑張れるって思いました」と意欲を高めていた。
疑似体験装具を装着した近江翔(つばさ)君(藤沢中1年)は「年をとると、目が見えにくくなったり、体が動きにくくなったりすることがわかりました。困っている人を見掛けたら、声を掛けてあげたいです」と話していた。
ケアチャレンジの前身は、合併前の旧藤沢町が97年から開催してきたケアチャレンジスクール。
スクールには延べ数百人もの中高生が参加。医療や福祉の仕事に就いた人も少なくない。
医療や福祉の仕事について講話する佐藤元美藤沢病院事業管理者
10:10 介護医療体験
「薬剤師部門」では、1,200種類もの医薬を調合する薬剤師の仕事を学んだ。
薬を分包する三浦美輝子薬剤師から説明を受ける佐々木廣太君(千厩中2年)
13:00 高齢者疑似体験
特殊装具を付け、75~80歳の高齢者と同じ状態を体験する千葉航太君(千厩高2年)。
筋力や視力などが低下すると、普段できることが思うようにできなくなる
14:20 ショート講話
佐藤元美藤沢病院事業管理者が医療・福祉の仕事について講話。
「責任は大きいが、やりがいのある仕事」と述べた。
真剣な表情で耳を傾ける生徒たち
14:30 まとめ(シェアリング)
1日の体験メニューを終えた生徒たちは、それぞれ感想を発表。
増川千穂さん(一関二高3年)は「現場のやりがいが、看護師を目指す自分に大きな力をくれた」と話した
ふじさわ地域包括ケア研究会
高木史江会長。今年1月に発足。
高齢者が、住み慣れた地域で自分らしく生きることを住民と一緒に考える研究会を毎月開催している(どなたでも参加できます)
広報いちのせき「I-Style」 平成25年9月15日号