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大槻文彦著
縦24.2cm 横16.5cm
8帙56冊桐箱入り
大正時代(装丁は昭和時代)
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大槻文彦はその生涯で二種類の国語辞書を執筆しました。一つが『言海』、もう一つが後発の『大言海』です。名前は似ていますが内容は一新されています。
『大言海』の編纂は明治45年(1912)から始まり、以来足かけ17年にして文彦が志し半ばで没するに至っても、成稿分とあわせ文彦の原稿を基に兄如電、関根正直、新村出、大久保初男等によって整理作業は続けられて、昭和10年(1935)に4冊本として完成しました。2年後には出版社から索引が出されて全5冊となりました。
この『大言海』を作り上げるために、文彦が一からこつこつと言葉を集めては書き留め、解説の推敲を繰り返していたメモ的な原稿、それが「大言海底稿」です。「あ」から「わ」まで五十音順に和装本全56冊にまとめられています。文彦の自筆で見出し語を掲げて語原や語釈などを書き記しているほか、興味を持った言葉が掲載されている新聞の切り抜きが貼り込まれていたりします。レシピが書かれた「ライスカレエ」の記事はその好例で、出版成った『大言海』では、そのレシピが解説の多くを占めているなど興味深いものがあります。文彦の言葉に対するアンテナをこの様なところにも見いだすことができます。
言葉の大海と格闘し、辞書作りに苦心する文彦の姿を目の当たりにすることができる貴重な遺稿です。
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